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ー雪山ー196

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 そう和也は茶化すように言うのだ。

「まったくーお前はうるさいやつだなー。 俺がそういう風に言われるの嫌いだって事知ってんだろ?」

  そう望はそこまで言うと拳を握って和也の頭を叩くのだ。

「痛ってー! 何で俺ばっか叩かれなきゃいけねぇんだよ! 雄介だって言ったじゃねぇか……」

 望はその和也の言葉を遮るように、

「雄介は今怪我人だしな……それに、雄介の場合には和也みたいに言葉では言ってなかったし」
「そこは、やっぱ、雄介には愛があって、俺には愛がないって事なんじゃねぇのか?」
「当たり前だ……」

 その望の言葉に望以外の三人は笑い始める。

 望はその三人が急に笑い出した事にどうやら気付いてないようだ。 その三人を見ながら望は首を傾げてしまっているのだから。

「……って、分からないのか!?」

 そう言いながらも未だに和也は笑い続けている。

「あ、ああ……まぁ……?」
「今、俺なんて言ったか覚えてるのか?」
「雄介には愛があって、和也には愛がないだろ?」
「ああ、そうだ! それだ! 雄介って、なんだかんだ言っても望に愛されてんだなぁーって思ってよ」
「……ったり前だろ」

 望の方はそう言われてやっと自分が何に返事をしていたのか。 っていう事に気付いたのであろう。 顔を俯きながら答える。

「当たり前に決まってるじゃねぇか。 俺はお前なんかより全然! 雄介の方が好きなんだからな」

 今までこういう事に関してみんなの前でそんな事を言った事がない望に他の三人は目を丸くしてまで望の事を見ていた。

「雄介ー良かったんじゃねぇのか? お前はホント望に愛されてるようでな」
「みたいやな」

 雄介はそう安心したような表情をすると望と視線がぶつかる。

 だが今日の望は珍しく視線を外す気配がない。 そう寧ろいつも以上に優しい瞳で雄介の事を見つめていたのだから。

 雄介はその望の瞳に吸い込まれるかのように望にキスをしようとしたのだが、そこはいつもの調子で、

「調子に乗るんじゃない……」

 と返される。

「やっぱりー、そういう方が望って感じがするわぁ」

 そう雄介はため息混じりに言うのだ。

「だな……」

 そこで会話が途切れてしまった四人。
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