767 / 2,140
ー雪山ー197
しおりを挟む
外の方は相変わらず吹雪いているようで風がガラス窓を叩く音がひっきりなしに響き渡っている。
「そうだー! 和也ー!」
と珍しくこの空気を打破してくれたのは望だ。
「ん? 何?」
「お前、この前の引き抜きの話はどうするんだ?」
そういきなり望の口から出てきた言葉に和也は勿論、裕実も雄介も望の事を見上げる。
「望さん……それって、どういう事ですか!?」
その言葉に一番最初に食いついて来たのは裕実だ。 そして興奮気味に聞く。
「あー、この話、裕実も雄介も知らなかったんだっけ? この前さー……」
そう望はこの前あった和也が新城に引き抜きの話をし始める。
「和也さん! 何でそんな大事な話、今まで僕にしてくれなかったんですか!?」
望が話終えたとほぼ同時位に声を荒らげたのは裕実だ。
「べ、別に……黙っておいたってお訳じゃねぇよ……だって、俺はそんな話の事なんかスッカリ忘れてた位だしな。 それに、新城が働いている病院なんかにさらさら行く気なんかねぇしな。 だって、俺的には望が働いている病院で満足してるしな。 それに、アイツ、あの時点で多少は俺の事諦めてたみたいだし、全然、気にしてなかったっていうのかな?」
「和也ー、そうは言うけどさ、たしかに、あそこでアイツは和也の事は諦めていたのかもしれねぇけど、今度またいつ仕掛けてくるか分からないぞ……」
そうそこまでハッキリと言う望。
一方、きっと和也の中ではその話をして欲しくなかったと思っているのかもしれない。 そして、この事については自分の問題であって和也自身で解決するつもりでいたのだから。
「そんな話すんなよ……って顔してるよな? じゃあ、どうして、恋人である裕実にはこの話しなかったんだ?」
そう静かに突っ込む望なのだが、こういつも以上に威圧感みたいなのがあるのはどうしてなんであろうか。
「そ、それはさっき言っただろ? それと、裕実を心配させたくなかっただけだしな」
「じゃあ、和也はこの問題を一人で解決させようとしてたって訳だ。 その事を恋人には話していないって一体どういう事なんだろうな? となると、和也は俺たちや裕実の事信用してないって事にならないか?」
その望の言葉に和也は言葉を詰まらせる。 そう望が言ってる事が正しいからなのかもしれない。 人間というのは、そういう風に口喧嘩になった時に言い返せなくなった時というのは相手の方が正しい事を言っているという事なのだから黙ってしまうという事だ。
そして和也的にはもう一つ気付いた事があったのであろう。 そう自分一人で解決しようとしていたという事だ。 仲間や恋人の事を信じていない自分がいたという事だ。
「ゴメン……別に俺はお前等を信じてないっていう訳じゃねぇんだ。 これは俺だけの問題だったから、俺、この問題だけは自分一人で解決したかっただけなんだからさ。 ただ、それだけだ……」
「そうだー! 和也ー!」
と珍しくこの空気を打破してくれたのは望だ。
「ん? 何?」
「お前、この前の引き抜きの話はどうするんだ?」
そういきなり望の口から出てきた言葉に和也は勿論、裕実も雄介も望の事を見上げる。
「望さん……それって、どういう事ですか!?」
その言葉に一番最初に食いついて来たのは裕実だ。 そして興奮気味に聞く。
「あー、この話、裕実も雄介も知らなかったんだっけ? この前さー……」
そう望はこの前あった和也が新城に引き抜きの話をし始める。
「和也さん! 何でそんな大事な話、今まで僕にしてくれなかったんですか!?」
望が話終えたとほぼ同時位に声を荒らげたのは裕実だ。
「べ、別に……黙っておいたってお訳じゃねぇよ……だって、俺はそんな話の事なんかスッカリ忘れてた位だしな。 それに、新城が働いている病院なんかにさらさら行く気なんかねぇしな。 だって、俺的には望が働いている病院で満足してるしな。 それに、アイツ、あの時点で多少は俺の事諦めてたみたいだし、全然、気にしてなかったっていうのかな?」
「和也ー、そうは言うけどさ、たしかに、あそこでアイツは和也の事は諦めていたのかもしれねぇけど、今度またいつ仕掛けてくるか分からないぞ……」
そうそこまでハッキリと言う望。
一方、きっと和也の中ではその話をして欲しくなかったと思っているのかもしれない。 そして、この事については自分の問題であって和也自身で解決するつもりでいたのだから。
「そんな話すんなよ……って顔してるよな? じゃあ、どうして、恋人である裕実にはこの話しなかったんだ?」
そう静かに突っ込む望なのだが、こういつも以上に威圧感みたいなのがあるのはどうしてなんであろうか。
「そ、それはさっき言っただろ? それと、裕実を心配させたくなかっただけだしな」
「じゃあ、和也はこの問題を一人で解決させようとしてたって訳だ。 その事を恋人には話していないって一体どういう事なんだろうな? となると、和也は俺たちや裕実の事信用してないって事にならないか?」
その望の言葉に和也は言葉を詰まらせる。 そう望が言ってる事が正しいからなのかもしれない。 人間というのは、そういう風に口喧嘩になった時に言い返せなくなった時というのは相手の方が正しい事を言っているという事なのだから黙ってしまうという事だ。
そして和也的にはもう一つ気付いた事があったのであろう。 そう自分一人で解決しようとしていたという事だ。 仲間や恋人の事を信じていない自分がいたという事だ。
「ゴメン……別に俺はお前等を信じてないっていう訳じゃねぇんだ。 これは俺だけの問題だったから、俺、この問題だけは自分一人で解決したかっただけなんだからさ。 ただ、それだけだ……」
0
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる