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ー空間ー214

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 そう雄介は望に告げると奥にあるトイレへと向かう。

 望は雄介に言われた通りにリビングへと入ると雄介の言った通りに部屋内は暖かかった。

 望は昨日と同じ食卓の椅子へと腰を下ろす。 すると目の前には雄介が飲んでいたコーヒーが置いてある。

 雄介は望よりも先に起きて望と同じような事を考えていたのであろうか? そうだ望が下に降りて来た時にはそう呟いていたのだから。

 望は頭を抱えたまま、ため息を吐く。

 今日はもう雄介と別れなければならない日だ。

 それが現実ではなく夢であって欲しいと思いたい。

 本当に好きなのだから雄介と一緒にいたい。 そして別れたくないと思うのが本当の気持ちだ。

 さっきだって異様に雄介の様子がおかしかった。 ここに居て何か考え事をしている間はずっと切なそうな表情をしていたのに望に会った途端にいつもの笑顔で望に声を掛けていた。 しかも雄介だって望がそこに居たという事は独り言を聞かれていたと分かっていた筈なのに、そこを突っ込まずに雄介はトイレへと向かって行ってしまっていた。

 望も望だ。 雄介がいつもに調子で来たのだから望もいつもの調子で答えてしまっていたのだから。

 そうだ! 本当なら昨日一昨日のように素直な気持ちを言いたかった筈なのに雄介がいつもと変わらない感じで声を掛けて来てしまったのだから、いつものように言ってしまっていたのかもしれない。

 そんな事を考えていると雄介がリビングへと戻って来たらしく望からしてみたら斜め後ろにあるドアが開く。

「あ! 望もコーヒー飲むか?」
「ああ……」

 いつもと変わらない会話のように感じるのだが、やはり今日はそれさえも不自然に聴こえてしまうのは気のせいだろうか。
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