上 下
494 / 2,140

ー空間ー159

しおりを挟む
 そう雄介に聞かれてフライトアテンダントは雄介に操縦席へと行けるドアの暗証番号を教える。

 普段はきっと一般客には教える事はないのだが、きっと今までの雄介の活躍振りを見ていたのであろう。 だから教えたのかもしれない。

 雄介はその間も何かイメージトレーニングでもしているのか、ただただ操縦席前のドアで考え事をしているようだ。

 何かいい作戦はないのであろうか。 雄介の中ではきっと必死に乗客を助ける方法を考えているのかもしれない。

 ただ今は雄介一人だ。 仕事でなら沢山の仲間がいるのだが、どう雄介一人で犯人のところに突撃しようかと考えているという事だろう。 いや今のこの状況だとこのまま一人で操縦席の方に向かっていったら命さえも怪しくなってくる。

 そうだ雄介の中ではきっと自分一人が犠牲になっても乗客みんなが助かればいいとさえ思っているもかもしれないのだが、先程、望に『命だけは落とすなよ』と言われたばかりなのだから迷いが出てしまっているのかもしれない。

 雄介は人の命を助けるという仕事をしている以上、自分が動かなければ誰が動くんだ!? と思っているらしく全くもって知識の無い一般人に比べたら今は自分が動くしかないと思っているのであろう。

 しかし操縦席の方は今どのような状況なのであろうか。 機長は勿論副操縦士は今どうしているのであろうか? 犯人にやられてしまっているのか? それとも犯人に指導されて飛行機を操縦しているのであろうか? このドアの向こうで何をしているのか? っていうのが未だに分からない状況だ。

 犯人に脅されて操縦していても、もし犯人の方が操縦している状況でも乗客の命が危ないのは間違いない。

 いつか見た外国でのハイジャック犯はそのまま飛行機ごとビルへと突入していた。 そんな事をされたら本当に全員が生きられるか? っていうのは保証出来ない。 それに大惨事にもなり兼ねない。

 雄介は大きく息を吸い込むと、とりあえず何も内部の状況が分からないまま操縦席の方に向かおうとしたのだが、そこへ内線電話が鳴り響く。

 内線電話があるのは客席の一番前。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕と先生との物語

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:2

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

BL / 連載中 24h.ポイント:4,416pt お気に入り:1,471

架空セラピスト日記 【R18】

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:12

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

恋愛 / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:412

悪役令息にならなかったので、僕は兄様と幸せになりました!

BL / 連載中 24h.ポイント:2,529pt お気に入り:2,727

ネカマ姫のチート転生譚

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:28

処理中です...