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31話

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 あれから数日後、私はラッセルが用意した武器を使って、都市からかなり離れた草原でモンスターを狩ろうとしていた。

 どうも今まで作ったことがある武器よりも、私の安全を考えて完璧な物を作ると張り切った結果だけど……私はラッセルが作った武器の性能を見て、驚くことしかできなかった。

 冒険者になって依頼を受けたりはしないけど、強力なモンスターの居る場所には冒険者の姿が見える。

 私はラッセルが作った武器、魔道具の魔本を開き、魔力を籠めることで全体を発行させる。

 魔本を向け、杖のように火球を飛ばす魔法を何度も使うことで虎の姿をしたモンスターを問題なく倒すと、珍しい武器を眺めていた冒険者の姿があったから、私は自分から近づくことにしていた。

「大丈夫ですか?」

「あっ、ああ……君のお陰でモンスターの増援がなくて助かったけど、その本はなんなんだ?」

 やっぱり未知の武器は気になるようで、私がラッセルが作った魔本について説明をする。

「これは杖のように扱える魔本という武器……魔道具です。強力なものは無理ですけど、中級ぐらいまでの魔法なら、本に記録することができます」

「そ、それは凄いな……」

「都市フーラスのトールズ魔道具店で売っていますよ。素材が貴重だからあまり作れないみたいで、高価ですけど……それだけの価値があります」

「売っているか!?」

 私の発言を聞いて、冒険者パーティの人達は驚いていた。

 ラッセルが作った武器の魔道具――魔本は、これを売って話題になってないのが理解できないほどの性能だ。

 驚くべき点は、魔法を記録して数回使えるという点にある。

 上級魔法は無理だけど、初級魔法なら三つ、中級魔法も2つまで記録できる。

 最も凄い点は記録していない人でも扱えることで、攻撃手段が1つ増えるという点だった。

 私は自然な形で、自慢するように魔本を説明していくと。

「なんか台本がありそうな話し方だけど……その魔道具は凄いな!」
 
 どうやらバレてしまったようだから、私はこほんと咳払いをして。

「実を言いますと、私はトールズ魔道具店の店員です。興味を持たれると、つい商品の説明をしたくなりました」

「なるほどな。いや、普通に冒険者をやった方が儲かる気がするのだが……」

 冒険者が納得しながらも、普通に冒険者をやるべきだと言ってくる。

 確かに、この周辺のモンスターは冒険者でも上位ランクの人達が戦うぐらい強力で、私も数回魔法を使うほどだ。

 それでも冒険者になる気はないから、私は本心を呟く。

「店主と一緒に居たいので」

「そうか。人の幸せは人によって違う。俺も親父の宿屋を継いでいれば、あの子が振り向いてくれたかもしれない……」

 なんだか冒険者パーティのリーダーらしき人を傷つけてしまったみたいだけど、これって私のせいじゃないはず。

 それから――私は魔本を使いながらモンスターを狩り続けることで、トールズ魔道具店の宣伝をすることができていた。
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