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2章
32話
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二人の決闘が終わってから――レックス殿下とアスファは仲良くなったようだ。
あの後、私達を交えながら、訓練場で二人は話をしている。
「最後にアスファが見せた剣技はとてつもない威力だった……教えてもらえないだろうか?」
「魔法剣技ですね。レックス様でもすぐ取得できるとは思えませんが、師匠を紹介致します」
アスファは自らの魔法剣技を教えてくれた師匠に、レックス殿下を紹介するらしい。
話を終えたレックス殿下は、私達を眺めて話す。
「今日は一日、アスファの師匠に魔法剣技について学ぼうと思う。明日からは元に戻るだろう」
「今日一日、リリアン様の護衛はお任せください」
どうやらアスファは、レックス殿下に負けたと確信している様子だ。
私に向けていた憧れの眼差しを、アスファはレックス殿下にも向けている。
どうやらレックス殿下としては、その眼差しが異性として強く意識していると思っていたからこそ、敵視してたようだ。
憧れの眼差しをレックス殿下にも向けてきたことで、異性ではなく憧れによるものだと確信したからこそ、アスファなら大丈夫だと考えたのかもしれない。
レックス殿下は私に関することなら、とてつもなく鋭い。
だから今までロイを警戒しているし、ルートも時々注意していたのかと……私は再認識することができていた。
◇◆◇
午後になって――レックス殿下は訓練場に向かい、私は午前と同じように広場で魔法を試していた。
傍で護衛を務めているアスファに、私は尋ねる。
「今日、レックス殿下が魔法剣技について学んで……扱うことができますか?」
「流石に無理だと思いますけど……レックス様なら、覚えたとしてもおかしくないほどの素質があります」
そう断言しているアスファは、昨日までのレックス殿下に対する態度が嘘のようだ。
決闘する前と後で全然違う反応に、私は唖然としながら尋ねる。
「あの……決闘の後から、レックス殿下に対する反応が、変わり過ぎではありませんか?」
「最初は隣国の王子だから褒められているだけで、そんな王子と対等に扱われているのがとてつもなく嫌だっただけです」
ロイが聖堂に支援しているから、私達はお客様で気分を害してはいけないと考えていたのかもしれない。
その結果――観光気分の王子が煽てられて、同年代を理由に同格扱いされたのがアスファにとっては気にくわなかったのでしょう。
今までアスファは私達の護衛をしていたから、レックス殿下の実力を確認せず推測だった。
決闘して力の差を見せつけようと考えていたのに……逆に自分の方が弱いと確信したからこそ、ここまで変わっている。
「レックス様はあそこまで強いのに、リリアン様と同じで向上心がとてつもない。私も見習わなければなりません!」
そう言われて――私は、一学期の出来事を思い返していた。
本来ゲームでは一学期の間は一度も敵わなかったダドリックを相手に、レックス殿下は勝利している。
ロイは「とてつもない努力をしたから」と言っていて……それは、ゲームのレックス殿下とは全然違っていた。
私も、レックス殿下の努力を近くで見てきたからこそ――ゲームと違うけど、同じように魔法剣技を会得できると確信していた。
あの後、私達を交えながら、訓練場で二人は話をしている。
「最後にアスファが見せた剣技はとてつもない威力だった……教えてもらえないだろうか?」
「魔法剣技ですね。レックス様でもすぐ取得できるとは思えませんが、師匠を紹介致します」
アスファは自らの魔法剣技を教えてくれた師匠に、レックス殿下を紹介するらしい。
話を終えたレックス殿下は、私達を眺めて話す。
「今日は一日、アスファの師匠に魔法剣技について学ぼうと思う。明日からは元に戻るだろう」
「今日一日、リリアン様の護衛はお任せください」
どうやらアスファは、レックス殿下に負けたと確信している様子だ。
私に向けていた憧れの眼差しを、アスファはレックス殿下にも向けている。
どうやらレックス殿下としては、その眼差しが異性として強く意識していると思っていたからこそ、敵視してたようだ。
憧れの眼差しをレックス殿下にも向けてきたことで、異性ではなく憧れによるものだと確信したからこそ、アスファなら大丈夫だと考えたのかもしれない。
レックス殿下は私に関することなら、とてつもなく鋭い。
だから今までロイを警戒しているし、ルートも時々注意していたのかと……私は再認識することができていた。
◇◆◇
午後になって――レックス殿下は訓練場に向かい、私は午前と同じように広場で魔法を試していた。
傍で護衛を務めているアスファに、私は尋ねる。
「今日、レックス殿下が魔法剣技について学んで……扱うことができますか?」
「流石に無理だと思いますけど……レックス様なら、覚えたとしてもおかしくないほどの素質があります」
そう断言しているアスファは、昨日までのレックス殿下に対する態度が嘘のようだ。
決闘する前と後で全然違う反応に、私は唖然としながら尋ねる。
「あの……決闘の後から、レックス殿下に対する反応が、変わり過ぎではありませんか?」
「最初は隣国の王子だから褒められているだけで、そんな王子と対等に扱われているのがとてつもなく嫌だっただけです」
ロイが聖堂に支援しているから、私達はお客様で気分を害してはいけないと考えていたのかもしれない。
その結果――観光気分の王子が煽てられて、同年代を理由に同格扱いされたのがアスファにとっては気にくわなかったのでしょう。
今までアスファは私達の護衛をしていたから、レックス殿下の実力を確認せず推測だった。
決闘して力の差を見せつけようと考えていたのに……逆に自分の方が弱いと確信したからこそ、ここまで変わっている。
「レックス様はあそこまで強いのに、リリアン様と同じで向上心がとてつもない。私も見習わなければなりません!」
そう言われて――私は、一学期の出来事を思い返していた。
本来ゲームでは一学期の間は一度も敵わなかったダドリックを相手に、レックス殿下は勝利している。
ロイは「とてつもない努力をしたから」と言っていて……それは、ゲームのレックス殿下とは全然違っていた。
私も、レックス殿下の努力を近くで見てきたからこそ――ゲームと違うけど、同じように魔法剣技を会得できると確信していた。
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