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11 愉快なオッサンを目指そう
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名前 ソブル
種族 人族
年齢 42歳
職業 冒険者
Lv 21
スキル 【言語翻訳】【鑑定】【マッピング】【健康維持】【アイテムボックス】
魔法 【生活魔法】【回復魔法(小)】
タバサの【鑑定】で、怪しい所は見られないと言われ、一安心だ。
2人が言うには、多分密輸業者か何かに騙されて使われたのではないかと理由を推察してくれた。
【アイテムボックス】に私物が殆ど入ってない事、冒険者カードもない事、レベルの割に、こんな難易度の高い森にいた事が理由らしい。
俺は、死ぬ程の体験を散々して、記憶がどうにかなったんだろ……で落ち着いた。
今後ありがたく、その理由を使わせて貰おう。
てか、俺のレベルがかなり上がってんだが?
キングスライムの核を回収したからか?
『※その認識でOKです』
倒した事になって、レベルアップした訳か。
そのお陰で怪しまれなかったんだな。
この歳でスキルもあって、Lv1だったらギルティだ。
荷物持ちメインの活動してたって、そこそこのレベルがないと暮らして行けないだろうな。
『※その認識でOKです』
そう言えば、2人の御陰で助かったが、そもそもなんでここにいたか尋ねてみた。
最近、近隣でゴブリン被害が多いので調査依頼があり、その途中で俺が運ばれてるのを見つけたらしい。
「まぁ、ゴブリンが運ぶ先までつけて行けば、拠点まで突き止めれたんだがな」
「その場合、間違いなく俺は食われてたな……助かったよ」
「……いや、一応異世界人か確認しとかないとな」
「異世界人か……」
「異世界人を食わせたら、低レベルの魔物がいきなりロード級になるからな……いや、そうじゃなくても一応助けたぞ?」
「一応かよ……まぁ、助けて貰った身で贅沢はいえんからなぁ……異世界人に感謝だな」
「そう言う事だ」
とりあえず、保護した俺を町まで連れて行ってくれるらしい。
ありがたい話しだ。
サバイバルを覚悟していた分、助かったとも言えるが……敵に囲まれた生活になるのがシンドいかもしれんな。
ん?
【癒やし草】
・ 傷を癒す効果がある。薬の材料にもなる。
「すまん……ちょっといいか?アレ」
「この辺りなら平気だが……あぁ、お前、ポーションも無かったのか?」
「役に立つもんが、根こそぎ何にも無いんだよ」
「まさか、銅貨すらないとか言わないよな?」
「その銅貨すらねぇんだよ……」
「「「…………」」」
「……この辺で見張っててやるから、取って来ていいぞ……」
「……心底憐れんだ目が痛いな。けど、すまんな」
「頑張って生きろよ……」
「そこまで言うなよ……泣くぞ?」
「「ぶふっ!!」」
「あ~あ~笑っとけ笑っとけ……ちぇっ」
2人共に遠慮なく笑ってやがる……
まぁ、でもいい奴らで助かったよ。
話す内容に気をつけていれば、なんとかなりそうだな。
さて、癒やし草は根っこごと取ればいいのか?
『※その認識でOKです』
数株残すのが決まりとかか?
『※その認識でOKです』
認識さんのお陰様で助かったよ……
ボロ出るからなぁ。
根っこを傷付けないようにソッと掘り出し回収を繰り返し、完了。
「おい!ソブル!こっちに痺れ草もあるが、いるか?」
痺れ草、素手で取れるか?
……取れないのか?
『※その認識でOKです』
「助かる……が、道具がないんだよ……あっ、涙出そう」
「涙は嘘だな?ったく、しょうがない奴だ……」
どうやらタバサが取ってくれるらしい。
「すまん、タバサ……マジでイイ女だな……」
「なっ?!黙ってろっ!!」
真っ赤な顔してても、取ってくれるのか……ありがたいな。
「ソブル……手を出すなよ?」
「タバサの好意なんだが?」
「なっ、タバサは俺のだかんなっ?!手を出すなって事だっ!!」
ん?タバサがフリーズして、真っ赤になっとるなぁ……
あ~……はいはい。そう言う事。
「まっ、確かに。最初に見つけたのはリックん所だからな……諦めるや」
「そうしてくれ」
「素手だと厳しいもんな……痺れ草」
「そうし……ん?なんの話しだ?」
「なんのって、痺れ草の話しだが?」
「タバサに目をつけたんじゃ……」
リックの顔が徐々に赤くなっていくぞ?
なんだ……その歳で青春か?!ピュアなのかっ?!
さては、まだ告ってないなっ?!
「ん?あぁ、確かにタバサはイイ女だが……お前のなんだろ?リック」
「「ななななな……」」
「なんだ?いい歳して初々しい反応しやがって」
真っ赤になった2人に大爆笑しながら、町まで連れて行って貰ったよ。
俺、案外馴染めそうだ。
門番チェックで犯罪歴がないか調べられた。
まぁ、水晶玉に手を置く簡単なヤツだ。
青く光ったから入れたよ。
通行料の銀貨1枚は、リックに借りた。
冒険者カードが無いからな。
門番には、全裸でスッカラピンになった事を大爆笑されたが、最後には肩を叩かれ励まされた……
いい気分にはならんが、いい奴等だと思う。
冒険者カードの再発行は、金貨5枚。
まずカード持った事がないから無理。
ついでに金がないから無理。
「あ~ソブル……その、なんだ、あれだ」
「濁すなよ、リック。この歳で再出発だって事だろ?」
「ぁあ、その、頑張れ……」
なんかリックは滅茶苦茶イイ奴だな……
色々隠してるのが心苦しくなる位だが、それはそれ。
「まぁ、この歳でこのレベルだ。出来る範囲で生き延びるだけさ……お前と違って、多分独り身だしな。何とかなるさ」
「なっ?!いやっ、まだ所帯を持った訳ではっ!!」
「まだって事は……?」
「えっ?!えっ?!なっ、リックっ?!」
おぉ~慌てふためいているなぁ……いやぁ、羨ましい。
オッサンの胸に刺さるものがあるよねぇ……グスン。
「まぁ、俺はそこまで言ってないけどな?コンビ組んでると大変だよな~って事しか言ってないが……そっかそっか。所帯持つつもりだったかぁ」
「「なっっ?!」」
「お前ら、顔、真っ赤だぞ?」
「「誰のせいだっ?!」」
わぁわぁギャーギャー言いながらも、冒険者ギルドに到着だ。
受け付けで、1番若く不馴れそうな女子の所に立つ。
【鑑定】
名前 ララ
種族 人族
年齢 16歳
職業 ギルド受付
Lv 11
スキル 【言語翻訳】【真偽の目】
魔法 【生活魔法】【回復魔法(小)】
「新規登録で頼む」
「ぎ、銀貨2枚になります」
キリリッとした顔を作ったせいか、後ろで2人が吹き出しているのが目の端に映るが、ギャグっぽく誤魔化すのだ。
勿論、受付さんには慌て続けて貰いたい。
【真偽の目】を持っているからな。
目をキメ顔でジッと見るのだ。
そらしたら負けとばかりに見るんだ。
キモいオッサンに見られ、セクハラでつまみ出されないかだけが心配だが……
「はわわ……はい。こ、こちらに記入をお願いします!」
上手く行きそうだな。
記入も【言語翻訳】で自動補正が仕事してくれるのは、確認済みだ。
ギルドの規定に従う、あとは自己責任って事に同意した際に名前を書くだけ。
要は契約書だな。
「ほいよっと……できたぞ、嬢ちゃん」
キリリ顔を持続だ。
「は、はい。で、では、こちらに手を置いて下さい」
【ステータスの石板】
・触れた者のステータスが表示される。
ステータスが表示されるだけか……
良かった、記録はされてないんだな。
あれか?名を上げなければ、認知されない系か?
『※その認識でOKです』
なるほどなるほど。
冒険者カードは記録されるのか?
……それもされないのか?
……名前だけ記録か?
『※その認識でOKです』
随分とザルな登録だな……
犯罪者が混じり放題じゃないか。
『※その認識でOKです』
怖っ……
「では、カードを準備しますので、少しお待ち下さい」
まぁ、犯罪者が紛れ込む様な所じゃないと、自分も浮いちまうからな。
お陰ですんなり身分証を手に入れれるんだ。
ささやかな事にツッコミは入れないぞ。
「おまたせしました。こちらが冒険者カードです……あっ、ここに本人登録の為、血をお願いします」
針が手渡された……
使い回し……針……
感染対策もザルかよ?!
って、これくらいなら【清浄】と【回復】でどうにかなるのか?
『※その認識でOKです』
「ほいよ……終わったら、嬢ちゃんが優しく手当てしてくれるのか?」
「ふへっ?ふぁ、ふぁい。回復があるのでっ!」
「優しく、優しぃ~く、頼むぞ?」
「ふぇっ?!」
……今の隙に針を【清浄】っと。
あとは、指にプスっと刺して、1滴落とす。
血を舐め取って……
「ほい、嬢ちゃん。優しくしてね……?」
「ふえぇっっ?!」
その様子を見てたリックが肩をすくめながら声を掛けて来た。
「おい、こら、ソブル。全裸でそれは犯罪だぞ?」
「ぜっ、全裸っ?!」
あぁ~……受付さんの目が変態を見る目に変わってしまった……
「ったく、好きで全裸になんかならねぇよ……しかも身ぐるみ全部溶けるとかよぉ……どっかで癒やしが欲しいって思うだろうが……」
「まぁ、なぁ……まっ、頑張れ」
リックからポフンッと肩に手を置かれるオッサン。
侘びしく見えるだろうさ。
「あ、あの、冒険者カードですっ……あの、今度は、気をつけて下さいっ……あわわっ、えっと、元気出して下さいね……?」
受付さんにも誤解してもらった様だ。
変態疑惑が取れて何よりだ。
心配してくれるんだな……えぇ娘さんだよ。
「ありがとう……あっ、早速だが、買い取り頼めるか?癒やし草と痺れ草なんだが」
「お前……切り替えが早過ぎるぞ?」
「馬鹿野郎。こういうのは、切り替えが肝心なんだぞ?」
「そう言うもんか?」
「そう言うもんだ」
俺の真面目臭い顔に受付さんが笑い出した。
「ふふふ……買い取りは、あちらです」
「おっ、ありがとうな」
「いえ、お気をつけて」
最後は笑顔で手を振ってくれた。
受付さんは可愛いな。
「いやぁ、初々しくて可愛いなぁ。荒んだ心が癒やされる様だなぁ」
「だな……」
「……おいリック。お前は同意しない方がいいぞ?」
「はっ?何でだよ……︵ビクンッ︶っ?!」
タバサが仁王像になってるからだよ……怖いわぁ。
素早くリックから離れ、買い取りコーナーへ。
こっちはオッサンが対応か。
種族 人族
年齢 42歳
職業 冒険者
Lv 21
スキル 【言語翻訳】【鑑定】【マッピング】【健康維持】【アイテムボックス】
魔法 【生活魔法】【回復魔法(小)】
タバサの【鑑定】で、怪しい所は見られないと言われ、一安心だ。
2人が言うには、多分密輸業者か何かに騙されて使われたのではないかと理由を推察してくれた。
【アイテムボックス】に私物が殆ど入ってない事、冒険者カードもない事、レベルの割に、こんな難易度の高い森にいた事が理由らしい。
俺は、死ぬ程の体験を散々して、記憶がどうにかなったんだろ……で落ち着いた。
今後ありがたく、その理由を使わせて貰おう。
てか、俺のレベルがかなり上がってんだが?
キングスライムの核を回収したからか?
『※その認識でOKです』
倒した事になって、レベルアップした訳か。
そのお陰で怪しまれなかったんだな。
この歳でスキルもあって、Lv1だったらギルティだ。
荷物持ちメインの活動してたって、そこそこのレベルがないと暮らして行けないだろうな。
『※その認識でOKです』
そう言えば、2人の御陰で助かったが、そもそもなんでここにいたか尋ねてみた。
最近、近隣でゴブリン被害が多いので調査依頼があり、その途中で俺が運ばれてるのを見つけたらしい。
「まぁ、ゴブリンが運ぶ先までつけて行けば、拠点まで突き止めれたんだがな」
「その場合、間違いなく俺は食われてたな……助かったよ」
「……いや、一応異世界人か確認しとかないとな」
「異世界人か……」
「異世界人を食わせたら、低レベルの魔物がいきなりロード級になるからな……いや、そうじゃなくても一応助けたぞ?」
「一応かよ……まぁ、助けて貰った身で贅沢はいえんからなぁ……異世界人に感謝だな」
「そう言う事だ」
とりあえず、保護した俺を町まで連れて行ってくれるらしい。
ありがたい話しだ。
サバイバルを覚悟していた分、助かったとも言えるが……敵に囲まれた生活になるのがシンドいかもしれんな。
ん?
【癒やし草】
・ 傷を癒す効果がある。薬の材料にもなる。
「すまん……ちょっといいか?アレ」
「この辺りなら平気だが……あぁ、お前、ポーションも無かったのか?」
「役に立つもんが、根こそぎ何にも無いんだよ」
「まさか、銅貨すらないとか言わないよな?」
「その銅貨すらねぇんだよ……」
「「「…………」」」
「……この辺で見張っててやるから、取って来ていいぞ……」
「……心底憐れんだ目が痛いな。けど、すまんな」
「頑張って生きろよ……」
「そこまで言うなよ……泣くぞ?」
「「ぶふっ!!」」
「あ~あ~笑っとけ笑っとけ……ちぇっ」
2人共に遠慮なく笑ってやがる……
まぁ、でもいい奴らで助かったよ。
話す内容に気をつけていれば、なんとかなりそうだな。
さて、癒やし草は根っこごと取ればいいのか?
『※その認識でOKです』
数株残すのが決まりとかか?
『※その認識でOKです』
認識さんのお陰様で助かったよ……
ボロ出るからなぁ。
根っこを傷付けないようにソッと掘り出し回収を繰り返し、完了。
「おい!ソブル!こっちに痺れ草もあるが、いるか?」
痺れ草、素手で取れるか?
……取れないのか?
『※その認識でOKです』
「助かる……が、道具がないんだよ……あっ、涙出そう」
「涙は嘘だな?ったく、しょうがない奴だ……」
どうやらタバサが取ってくれるらしい。
「すまん、タバサ……マジでイイ女だな……」
「なっ?!黙ってろっ!!」
真っ赤な顔してても、取ってくれるのか……ありがたいな。
「ソブル……手を出すなよ?」
「タバサの好意なんだが?」
「なっ、タバサは俺のだかんなっ?!手を出すなって事だっ!!」
ん?タバサがフリーズして、真っ赤になっとるなぁ……
あ~……はいはい。そう言う事。
「まっ、確かに。最初に見つけたのはリックん所だからな……諦めるや」
「そうしてくれ」
「素手だと厳しいもんな……痺れ草」
「そうし……ん?なんの話しだ?」
「なんのって、痺れ草の話しだが?」
「タバサに目をつけたんじゃ……」
リックの顔が徐々に赤くなっていくぞ?
なんだ……その歳で青春か?!ピュアなのかっ?!
さては、まだ告ってないなっ?!
「ん?あぁ、確かにタバサはイイ女だが……お前のなんだろ?リック」
「「ななななな……」」
「なんだ?いい歳して初々しい反応しやがって」
真っ赤になった2人に大爆笑しながら、町まで連れて行って貰ったよ。
俺、案外馴染めそうだ。
門番チェックで犯罪歴がないか調べられた。
まぁ、水晶玉に手を置く簡単なヤツだ。
青く光ったから入れたよ。
通行料の銀貨1枚は、リックに借りた。
冒険者カードが無いからな。
門番には、全裸でスッカラピンになった事を大爆笑されたが、最後には肩を叩かれ励まされた……
いい気分にはならんが、いい奴等だと思う。
冒険者カードの再発行は、金貨5枚。
まずカード持った事がないから無理。
ついでに金がないから無理。
「あ~ソブル……その、なんだ、あれだ」
「濁すなよ、リック。この歳で再出発だって事だろ?」
「ぁあ、その、頑張れ……」
なんかリックは滅茶苦茶イイ奴だな……
色々隠してるのが心苦しくなる位だが、それはそれ。
「まぁ、この歳でこのレベルだ。出来る範囲で生き延びるだけさ……お前と違って、多分独り身だしな。何とかなるさ」
「なっ?!いやっ、まだ所帯を持った訳ではっ!!」
「まだって事は……?」
「えっ?!えっ?!なっ、リックっ?!」
おぉ~慌てふためいているなぁ……いやぁ、羨ましい。
オッサンの胸に刺さるものがあるよねぇ……グスン。
「まぁ、俺はそこまで言ってないけどな?コンビ組んでると大変だよな~って事しか言ってないが……そっかそっか。所帯持つつもりだったかぁ」
「「なっっ?!」」
「お前ら、顔、真っ赤だぞ?」
「「誰のせいだっ?!」」
わぁわぁギャーギャー言いながらも、冒険者ギルドに到着だ。
受け付けで、1番若く不馴れそうな女子の所に立つ。
【鑑定】
名前 ララ
種族 人族
年齢 16歳
職業 ギルド受付
Lv 11
スキル 【言語翻訳】【真偽の目】
魔法 【生活魔法】【回復魔法(小)】
「新規登録で頼む」
「ぎ、銀貨2枚になります」
キリリッとした顔を作ったせいか、後ろで2人が吹き出しているのが目の端に映るが、ギャグっぽく誤魔化すのだ。
勿論、受付さんには慌て続けて貰いたい。
【真偽の目】を持っているからな。
目をキメ顔でジッと見るのだ。
そらしたら負けとばかりに見るんだ。
キモいオッサンに見られ、セクハラでつまみ出されないかだけが心配だが……
「はわわ……はい。こ、こちらに記入をお願いします!」
上手く行きそうだな。
記入も【言語翻訳】で自動補正が仕事してくれるのは、確認済みだ。
ギルドの規定に従う、あとは自己責任って事に同意した際に名前を書くだけ。
要は契約書だな。
「ほいよっと……できたぞ、嬢ちゃん」
キリリ顔を持続だ。
「は、はい。で、では、こちらに手を置いて下さい」
【ステータスの石板】
・触れた者のステータスが表示される。
ステータスが表示されるだけか……
良かった、記録はされてないんだな。
あれか?名を上げなければ、認知されない系か?
『※その認識でOKです』
なるほどなるほど。
冒険者カードは記録されるのか?
……それもされないのか?
……名前だけ記録か?
『※その認識でOKです』
随分とザルな登録だな……
犯罪者が混じり放題じゃないか。
『※その認識でOKです』
怖っ……
「では、カードを準備しますので、少しお待ち下さい」
まぁ、犯罪者が紛れ込む様な所じゃないと、自分も浮いちまうからな。
お陰ですんなり身分証を手に入れれるんだ。
ささやかな事にツッコミは入れないぞ。
「おまたせしました。こちらが冒険者カードです……あっ、ここに本人登録の為、血をお願いします」
針が手渡された……
使い回し……針……
感染対策もザルかよ?!
って、これくらいなら【清浄】と【回復】でどうにかなるのか?
『※その認識でOKです』
「ほいよ……終わったら、嬢ちゃんが優しく手当てしてくれるのか?」
「ふへっ?ふぁ、ふぁい。回復があるのでっ!」
「優しく、優しぃ~く、頼むぞ?」
「ふぇっ?!」
……今の隙に針を【清浄】っと。
あとは、指にプスっと刺して、1滴落とす。
血を舐め取って……
「ほい、嬢ちゃん。優しくしてね……?」
「ふえぇっっ?!」
その様子を見てたリックが肩をすくめながら声を掛けて来た。
「おい、こら、ソブル。全裸でそれは犯罪だぞ?」
「ぜっ、全裸っ?!」
あぁ~……受付さんの目が変態を見る目に変わってしまった……
「ったく、好きで全裸になんかならねぇよ……しかも身ぐるみ全部溶けるとかよぉ……どっかで癒やしが欲しいって思うだろうが……」
「まぁ、なぁ……まっ、頑張れ」
リックからポフンッと肩に手を置かれるオッサン。
侘びしく見えるだろうさ。
「あ、あの、冒険者カードですっ……あの、今度は、気をつけて下さいっ……あわわっ、えっと、元気出して下さいね……?」
受付さんにも誤解してもらった様だ。
変態疑惑が取れて何よりだ。
心配してくれるんだな……えぇ娘さんだよ。
「ありがとう……あっ、早速だが、買い取り頼めるか?癒やし草と痺れ草なんだが」
「お前……切り替えが早過ぎるぞ?」
「馬鹿野郎。こういうのは、切り替えが肝心なんだぞ?」
「そう言うもんか?」
「そう言うもんだ」
俺の真面目臭い顔に受付さんが笑い出した。
「ふふふ……買い取りは、あちらです」
「おっ、ありがとうな」
「いえ、お気をつけて」
最後は笑顔で手を振ってくれた。
受付さんは可愛いな。
「いやぁ、初々しくて可愛いなぁ。荒んだ心が癒やされる様だなぁ」
「だな……」
「……おいリック。お前は同意しない方がいいぞ?」
「はっ?何でだよ……︵ビクンッ︶っ?!」
タバサが仁王像になってるからだよ……怖いわぁ。
素早くリックから離れ、買い取りコーナーへ。
こっちはオッサンが対応か。
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