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限界
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元和木がバイト先のアパレル倉庫で倒れた。
理由は……、まぁ何となく予想はついたが過労らしい。
今は倉庫近くの病院に入院しているようだ。
あの様子じゃ無理もない。
遅かれ早かれ、いつかはこうなっていただろう。
「一応アイツの病室に行ってみたんだがな。寝てて話が出来なかった。にしても、母親が仕事で来れねぇとはな……。今はアイツのバイト仲間が付き添ってくれているみたいだが」
「そうか……。で、これからどうするんだ?」
「明日退院するみたいだからな。明日もう一回会って話してみるよ」
「それは分かった。俺が聞きたいのは元和木の今後についてだ。まぁ本来お前に聞くべきことではないんだろうけどよ」
「アイツがとっくに限界迎えてるなんてことは分かっている。もう今のペースでバイトなんて無理だろう。だからっつって俺に何が出来るんだよ……」
あぁ、コイツも同じだ。
元和木を助ける理由に〝アイツ〟を利用することに後ろめたさを感じている。
だから、決めきれない。腹を括れない。
だが〝俺〟は既に彼女と関わってしまった。
一度でも彼女を庇い、その存在を植え付けてしまった。
「正しい正しくないはこの際どうでもいい。結果で見れば、お前は元和木の仕事を一つ奪った。その責任は取るべきなんじゃないか?」
「無茶苦茶言うなよ……。あのまま続けていたらアイツの人生台無しになっていたことくらい分かるだろ」
「だが今のままでは元和木は何も変わらん」
「…………」
「俺さ、この世界線に来る前に『中途半端に関わることで傷つく人もいる』って、ある人に言われたんだよ」
「そうか……」
「あぁ。それでな、今さっき久慈方さんから『人を傷つける覚悟をしろ』って言われたんだ」
俺がそう言うと、案の定久慈方さんは恥ずかしそうに顔を赤らめた。
すまん、許してくれ。気持ちは分かるが。
「……それ、矛盾してねぇか? 結局どうしろってんだよ」
「お前がどうしたいか、だ。お前が依頼を放棄してまで彼女を庇おうとした理由は何だ?」
「別に放棄した覚えはねぇよ……」
「嘘つけ」
「…………」
〝俺〟の行動はエゴでしかない。子供の駄々と何ら変わらない。
実際に所属している探偵事務所や顧客に多大な迷惑を掛けている。
だからこそ、ただのエゴで終わらせて欲しくない。
自分の立ち位置を鮮明にした上で、堂々と自分勝手を働いて欲しい。
「まぁ早い話、最後まで面倒見てやれっつぅことだよ。このまま中途半端な気分屋で終わりたくなかったらな」
「…………」
「お前が元和木と〝アイツ〟を重ねてることは分かる。だったら、なおさらこのままじゃ終われないはずだ。〝アイツ〟は、俺の気まぐれな正義感の被害者なんだからな」
「それはお前にだけは言われたくない」
「俺もお前にだけは言いたくなかったんだけどな。さっきから、いや、正確に言えば3日前からブーメランで自爆しまくりだよ」
「ふざけた野郎だな……」
「あぁ、お互いにな」
俺たちは顔を見合わせ、フフッと笑った。
周りから見れば何ともまぁ異様な光景だろうか。
少し冷静になったのか、そんな場違いな感傷に浸る余裕が生まれてきた。
「〝俺〟の相方がさ……、今度独立するみたいなんだ。そこで事務方やってくれる奴探してるらしくてよ。パソコン使えりゃ大丈夫だっつってたから今度話してみるよ。まぁスタートアップだから、あんまり出せねぇとは言ってたけど掛け持ちするよりかは効率的だと思う。まぁアイツ次第だが」
「そうか」
「本当は〝俺〟が直接何とかしてやるべきなんだろうけどさ。まぁ、この流れでウチの事務所で雇うってわけにもいかねぇだろ?」
「それは気にすんなよ。結果的に元和木が助かればいいんだ」
「……だが借金だけはどうにもならん。はっきり言ってここまでの話は全部、焼石に水だ」
今からする提案は、極めて無責任なものかもしれない。
しかし、当事者の枠にいないからこそ、客観的で冷徹な意見が言えるものである。
そして、それこそが事態の収束を図る上で最も効率的な手段でもあるのだろう。
「あー、それなんだけどな。もう破産した方がいいんじゃないか?」
「まぁ、そりゃそうなんだけどさ。アイツの婆ちゃんがそれを許さねぇだろうな。ほら、田舎の土地手放したくないって話しただろ」
「田舎の土地、なんだよな? 言っちゃなんだが、大して価値ないだろ。それだったら個人再生という手もある。負債が資産価値を上回っていないと出来ない方法だが、元和木のケースだと当てはまるんじゃないか? それなら土地を手放さずに借金をかなり圧縮できるぞ」
「個人再生か……。どうだろうな。そもそもアイツの婆ちゃんは体裁を気にして相続放棄を受け入れなかったわけだからな」
体裁に固執した先にあるのは破滅であることを、俺たちは身を持って知っている。
そもそも、体裁や正義という言葉は極めて感情的なものなんだ。
だからこそ、元和木の家族はきちんとコミュニケーションを図り、お互いの真意を把握するべきだと思う。
「まぁぶっちゃけ、これは飽くまでも話の入り口だ。大切なのは、元和木の婆ちゃんの意向も汲んだ折衷案であることを伝えることだ。そこで元和木親子にどれだけ負担が掛かっているか、婆ちゃんが何故その土地に拘っているかを話し合う。お互いの想いが伝われば、もっと踏み込んだ選択が出来るかもしれない。そうだろ?」
「…………」
「どうした?」
「いや。今ちょっとだけ弁護士っぽかったぞ」
不敵に笑いながら、〝俺〟は答えた。
「……そりゃどーも」
資格もなければ、現場も知らない。
そんな俺に弁護士らしいという言葉は相応しくない。
ただそれでも、一周回って嫌味とも取れるそんな言葉でも、嬉しいと思ってしまった。
俺でもこういったカタチで自分の役割を果たすことが出来たのだと。
「まぁ、参考くらいにはしてくれ。俺の話はこんなところだ。待たせたな、アンタも話があるんだろ?」
俺が久慈方さんに話を振ると、彼女はハッとした表情でこちらを向いた。
まさか忘れてたのか?
「はい、〝近江さん〟。特典について言いそびれていたことがありまして」
「またそれか。特典なんていらんって言っただろ」
「申し訳ありません。一律の規則ですので。もちろん、特典を行使するかは任意ですのでその点はご安心下さい。ただ一つ補足がありまして、今日はその件についてお話しするために伺いました」
「……なんだ?」
「特典保持者に対しては機構の監視が強化されます。具体的には、定期的に職員と面談を行う必要があります」
「はっ!? 聞いてねぇよ」
「はい、ですから言いそびれていたと申し上げました」
おい、俺も知らなったぞ。
機構の不手際にここまで振り回されるこの世界線の〝俺〟が哀れで仕方ない。
いや、それを言ったら俺も同じか。
「何か禁則に触れる罪を犯していないかの確認の意味もありますので。煩わしいとは思いますが、何卒ご協力下さい」
特典を使う直前にも立ち会うんだよな?
念には念を入れてということだろうか。
「ハァ……、分かったよ」
「ご理解いただき、感謝します」
「まぁ俺たちの話はこんなところだ、長居して悪かったな」
「いや、〝俺〟こそ色々勝手なことを言ってすまん。何だか実際に自分の他の可能性を見ちまうとな、色々と自信無くすんだよ」
「お前がそう感じるなら、俺はどうすりゃいいんだよ? こちとらただのフリーターだぞ」
「そのまま終わるつもりがないことくらい分かるさ。まぁせいぜい頑張れよ」
「あぁ、お互いにな」
隣りの芝生は青い、なんて言葉があるがそれは自分の足りない部分を客観的に見れているからこそ、そう感じるのだろう。
それを負けを認めることが出来ると捉えるならば、ある種の甲斐性なのかもしれない。
だから、きっと俺自身も過度に卑屈になる必要はない。
そんな下らない屁理屈を自分自身に言い聞かせながら、俺たちは部屋を後にした。さて、問題はここからだ。
浄御原が嘘をついていた以上、本来の俺がココへ来た目的は消滅した。
ほとんどあの女に流されるカタチで来た挙句、最後は放置プレイ。
アイツを拘束した暁には、小一時間ほど問い詰めてやらにゃ気がすまん。
「一度機構に行くんだよな?」
「えぇ。ですから手引きをしたいので、少し人目の少ない場所へ行きたいのですが……」
忘れてた。
まぁでも相手は久慈方さんだ。
人道に反するようなことはしないはずだ、多分。
でもわざわざ人目の少ない場所に行くって言ったよな?
てかこの格好の彼女をそんな場所へ連れ込むのか?
もう職質は御免だぞ。
「分かってるよ、じゃあどこか路地裏に……」
「近江さんっ!!」
俺たちのいる路地の数メートル先から、聞き覚えのある声が耳に入った。
「っ!? 享保か。どうした?」
「何度もすみません。あの、さっきは言おうか迷っていたんですが……。やっぱり聞いて欲しいことがあって!」
「そうか。で、何だ?」
「実は今朝、彼女に会ったんです。飛鳥 令那に!」
一度はその存在を自分の中に封印しようとした。
だが、身体がそれを許さなかった。
一部分を切り取られ残った記憶は、この4年間俺を苦しめ続けた。
そして今、享保の口を通して、4年ぶりに彼女の名前を聞いたことで実感する。
どうやら、俺は目を背けていた過去と向き合うべき時が来たようだ。
理由は……、まぁ何となく予想はついたが過労らしい。
今は倉庫近くの病院に入院しているようだ。
あの様子じゃ無理もない。
遅かれ早かれ、いつかはこうなっていただろう。
「一応アイツの病室に行ってみたんだがな。寝てて話が出来なかった。にしても、母親が仕事で来れねぇとはな……。今はアイツのバイト仲間が付き添ってくれているみたいだが」
「そうか……。で、これからどうするんだ?」
「明日退院するみたいだからな。明日もう一回会って話してみるよ」
「それは分かった。俺が聞きたいのは元和木の今後についてだ。まぁ本来お前に聞くべきことではないんだろうけどよ」
「アイツがとっくに限界迎えてるなんてことは分かっている。もう今のペースでバイトなんて無理だろう。だからっつって俺に何が出来るんだよ……」
あぁ、コイツも同じだ。
元和木を助ける理由に〝アイツ〟を利用することに後ろめたさを感じている。
だから、決めきれない。腹を括れない。
だが〝俺〟は既に彼女と関わってしまった。
一度でも彼女を庇い、その存在を植え付けてしまった。
「正しい正しくないはこの際どうでもいい。結果で見れば、お前は元和木の仕事を一つ奪った。その責任は取るべきなんじゃないか?」
「無茶苦茶言うなよ……。あのまま続けていたらアイツの人生台無しになっていたことくらい分かるだろ」
「だが今のままでは元和木は何も変わらん」
「…………」
「俺さ、この世界線に来る前に『中途半端に関わることで傷つく人もいる』って、ある人に言われたんだよ」
「そうか……」
「あぁ。それでな、今さっき久慈方さんから『人を傷つける覚悟をしろ』って言われたんだ」
俺がそう言うと、案の定久慈方さんは恥ずかしそうに顔を赤らめた。
すまん、許してくれ。気持ちは分かるが。
「……それ、矛盾してねぇか? 結局どうしろってんだよ」
「お前がどうしたいか、だ。お前が依頼を放棄してまで彼女を庇おうとした理由は何だ?」
「別に放棄した覚えはねぇよ……」
「嘘つけ」
「…………」
〝俺〟の行動はエゴでしかない。子供の駄々と何ら変わらない。
実際に所属している探偵事務所や顧客に多大な迷惑を掛けている。
だからこそ、ただのエゴで終わらせて欲しくない。
自分の立ち位置を鮮明にした上で、堂々と自分勝手を働いて欲しい。
「まぁ早い話、最後まで面倒見てやれっつぅことだよ。このまま中途半端な気分屋で終わりたくなかったらな」
「…………」
「お前が元和木と〝アイツ〟を重ねてることは分かる。だったら、なおさらこのままじゃ終われないはずだ。〝アイツ〟は、俺の気まぐれな正義感の被害者なんだからな」
「それはお前にだけは言われたくない」
「俺もお前にだけは言いたくなかったんだけどな。さっきから、いや、正確に言えば3日前からブーメランで自爆しまくりだよ」
「ふざけた野郎だな……」
「あぁ、お互いにな」
俺たちは顔を見合わせ、フフッと笑った。
周りから見れば何ともまぁ異様な光景だろうか。
少し冷静になったのか、そんな場違いな感傷に浸る余裕が生まれてきた。
「〝俺〟の相方がさ……、今度独立するみたいなんだ。そこで事務方やってくれる奴探してるらしくてよ。パソコン使えりゃ大丈夫だっつってたから今度話してみるよ。まぁスタートアップだから、あんまり出せねぇとは言ってたけど掛け持ちするよりかは効率的だと思う。まぁアイツ次第だが」
「そうか」
「本当は〝俺〟が直接何とかしてやるべきなんだろうけどさ。まぁ、この流れでウチの事務所で雇うってわけにもいかねぇだろ?」
「それは気にすんなよ。結果的に元和木が助かればいいんだ」
「……だが借金だけはどうにもならん。はっきり言ってここまでの話は全部、焼石に水だ」
今からする提案は、極めて無責任なものかもしれない。
しかし、当事者の枠にいないからこそ、客観的で冷徹な意見が言えるものである。
そして、それこそが事態の収束を図る上で最も効率的な手段でもあるのだろう。
「あー、それなんだけどな。もう破産した方がいいんじゃないか?」
「まぁ、そりゃそうなんだけどさ。アイツの婆ちゃんがそれを許さねぇだろうな。ほら、田舎の土地手放したくないって話しただろ」
「田舎の土地、なんだよな? 言っちゃなんだが、大して価値ないだろ。それだったら個人再生という手もある。負債が資産価値を上回っていないと出来ない方法だが、元和木のケースだと当てはまるんじゃないか? それなら土地を手放さずに借金をかなり圧縮できるぞ」
「個人再生か……。どうだろうな。そもそもアイツの婆ちゃんは体裁を気にして相続放棄を受け入れなかったわけだからな」
体裁に固執した先にあるのは破滅であることを、俺たちは身を持って知っている。
そもそも、体裁や正義という言葉は極めて感情的なものなんだ。
だからこそ、元和木の家族はきちんとコミュニケーションを図り、お互いの真意を把握するべきだと思う。
「まぁぶっちゃけ、これは飽くまでも話の入り口だ。大切なのは、元和木の婆ちゃんの意向も汲んだ折衷案であることを伝えることだ。そこで元和木親子にどれだけ負担が掛かっているか、婆ちゃんが何故その土地に拘っているかを話し合う。お互いの想いが伝われば、もっと踏み込んだ選択が出来るかもしれない。そうだろ?」
「…………」
「どうした?」
「いや。今ちょっとだけ弁護士っぽかったぞ」
不敵に笑いながら、〝俺〟は答えた。
「……そりゃどーも」
資格もなければ、現場も知らない。
そんな俺に弁護士らしいという言葉は相応しくない。
ただそれでも、一周回って嫌味とも取れるそんな言葉でも、嬉しいと思ってしまった。
俺でもこういったカタチで自分の役割を果たすことが出来たのだと。
「まぁ、参考くらいにはしてくれ。俺の話はこんなところだ。待たせたな、アンタも話があるんだろ?」
俺が久慈方さんに話を振ると、彼女はハッとした表情でこちらを向いた。
まさか忘れてたのか?
「はい、〝近江さん〟。特典について言いそびれていたことがありまして」
「またそれか。特典なんていらんって言っただろ」
「申し訳ありません。一律の規則ですので。もちろん、特典を行使するかは任意ですのでその点はご安心下さい。ただ一つ補足がありまして、今日はその件についてお話しするために伺いました」
「……なんだ?」
「特典保持者に対しては機構の監視が強化されます。具体的には、定期的に職員と面談を行う必要があります」
「はっ!? 聞いてねぇよ」
「はい、ですから言いそびれていたと申し上げました」
おい、俺も知らなったぞ。
機構の不手際にここまで振り回されるこの世界線の〝俺〟が哀れで仕方ない。
いや、それを言ったら俺も同じか。
「何か禁則に触れる罪を犯していないかの確認の意味もありますので。煩わしいとは思いますが、何卒ご協力下さい」
特典を使う直前にも立ち会うんだよな?
念には念を入れてということだろうか。
「ハァ……、分かったよ」
「ご理解いただき、感謝します」
「まぁ俺たちの話はこんなところだ、長居して悪かったな」
「いや、〝俺〟こそ色々勝手なことを言ってすまん。何だか実際に自分の他の可能性を見ちまうとな、色々と自信無くすんだよ」
「お前がそう感じるなら、俺はどうすりゃいいんだよ? こちとらただのフリーターだぞ」
「そのまま終わるつもりがないことくらい分かるさ。まぁせいぜい頑張れよ」
「あぁ、お互いにな」
隣りの芝生は青い、なんて言葉があるがそれは自分の足りない部分を客観的に見れているからこそ、そう感じるのだろう。
それを負けを認めることが出来ると捉えるならば、ある種の甲斐性なのかもしれない。
だから、きっと俺自身も過度に卑屈になる必要はない。
そんな下らない屁理屈を自分自身に言い聞かせながら、俺たちは部屋を後にした。さて、問題はここからだ。
浄御原が嘘をついていた以上、本来の俺がココへ来た目的は消滅した。
ほとんどあの女に流されるカタチで来た挙句、最後は放置プレイ。
アイツを拘束した暁には、小一時間ほど問い詰めてやらにゃ気がすまん。
「一度機構に行くんだよな?」
「えぇ。ですから手引きをしたいので、少し人目の少ない場所へ行きたいのですが……」
忘れてた。
まぁでも相手は久慈方さんだ。
人道に反するようなことはしないはずだ、多分。
でもわざわざ人目の少ない場所に行くって言ったよな?
てかこの格好の彼女をそんな場所へ連れ込むのか?
もう職質は御免だぞ。
「分かってるよ、じゃあどこか路地裏に……」
「近江さんっ!!」
俺たちのいる路地の数メートル先から、聞き覚えのある声が耳に入った。
「っ!? 享保か。どうした?」
「何度もすみません。あの、さっきは言おうか迷っていたんですが……。やっぱり聞いて欲しいことがあって!」
「そうか。で、何だ?」
「実は今朝、彼女に会ったんです。飛鳥 令那に!」
一度はその存在を自分の中に封印しようとした。
だが、身体がそれを許さなかった。
一部分を切り取られ残った記憶は、この4年間俺を苦しめ続けた。
そして今、享保の口を通して、4年ぶりに彼女の名前を聞いたことで実感する。
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