最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

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第80話

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「おはようございます」
「おはようございます、本日はどうされましたか?」
「土地の購入と、商人ギルドへ来るようにと伝言があったので来ました。名前はユーマです」
「あ、ユーマ様ですね。少々お待ち下さい」

 そしてしばらく待っていると、先程とは違う人が来た。

「おはようございます。待っておられる間に先に土地の購入の方の話をしましょうか」
「ありがとうございます」
「どの土地の購入を検討されているなどありますか?」
「自分の家の近くの土地を買いたいんです。まだ他の人がいるのを見てないですし、たぶん買われてないと思うんですけど」
「少々お待ちくださいね」

 分厚い本の中から探してくれてるのだろう。もう既に買われている可能性も少しはあるのでドキドキする。

「はい、確認できました。こちら500万Gの一括払いとなりますがよろしいですか?」
「はい、お願いします。あと、アイスを商人ギルドの方で売ってもらっているので、そのお金を先に土地の購入にあててもらってもいいですか?」
「分かりました。計算しますね」

「計算が終わりました。21万Gを引いた479万Gのお支払いとなります」
「はい、これでお願いします」

 思ったよりもアイスが売れてたし、たぶんほぼ売りに出したものは買ってくれてるのだろう。

「ご購入ありがとうございました」
「もう買っちゃいましたけど、他のプレイヤーの中にこの土地を買おうとしてた人とかいました?」
「いえ、街の中心から特に離れた場所なので、それほど人気はありませんでした。ですが他に購入できる土地もあまりありませんので、あと数日後には購入される方はいらっしゃったと思います」

 誰かが買おうとしてたなら余計な恨みを買うところだったが、そうじゃなくてよかった。

「ユーマ様おまたせしました。こちらへどうぞ」
「分かりました」

 商人ギルドの奥の部屋へと通され、扉の前で立ち止まる。

「こちらにユーマ様と交渉をされたいという方がいらっしゃいます」
「え、あ、そうなんですね」

 まさか交渉の話だなんて全く思ってなかったので、急に緊張してきた。

「え、えっと、失礼します」
「ふふっ、どうぞ、お入りください」

 そして中に入ると、見慣れた顔の2人がそこには居た。

「あ、ベラさんとシュガーさんじゃないですか」
「ベラ様はいたずらがお好きですので」
「信じないでください。爺やが商人ギルドの方にも協力してもらって全てやりました」
「急に交渉って言われて緊張しましたよ」
「それに関しては本当のことです」
「ユーマ様、こちらでお話するのもいいのですが、ユーマ様のお家にお邪魔することは出来ませんか?」
「爺や! ユーマ様に無理を言わないの」
「あ、全然いいですよ。行きますか」

 ということで商人ギルドの人にお礼を言い、ベラさんとシュガーさんを連れて家に戻る。

「お、お邪魔します」
「これは大きなお家ですね」
「リビングでお話しましょうか」
「あ、先にお土産を渡しておきますね」
「あ、わざわざありがとうございます。ウル達に早速食べてもらいますね」
「クゥ!」「アウ!」「……!」 

 ウル達はケーキが食べられると知って嬉しそうだが、俺はベラさんとシュガーさんに家を鑑定されているような気がして緊張する。

「ユーマくん、さっき果物の味を確認するって話だったのにうっかり忘れて帰ってしまったよ。あ、もしかしてお客さん?」
「俺も完全に忘れてました。えっと、こちらははじめの街でケーキ屋とパン屋さんをやってるベラさんです。そしてこちらがベラさんの執事のシュガーさん」
「ユーマくんの隣の家に住んでいるレイと言います。まさかユーマくんの他に誰かいると思わなくてね。お邪魔してしまって申し訳ない」

 フカさんはベラさん達に頭を下げて帰ろうとするが、ベラさんがそれを止める。

「あの、果物の話なのですが、私も食べさせていただくことは可能でしょうか?」
「俺は全然良いですよ。フカさんにもベラさんにも味の感想を聞けるなら俺にとってはありがたいですし」

 ということで交渉の話がいつの間にかこの家で取れたものを皆で食べる会になってしまった。
 ウル達にはシュガーさんにさっきもらったケーキを食べてもらうことにして、俺達もここで取れたフルーツを食べる。

「このアポルの実は野生で取れるものと全く違いますね」
「ユーマくん、このグラープの実を使ってワインを作る気はないかい? いや、でもこれをワインにするのはもったいないかな」
「ユーマ様、とても美味しいです」
「良かったです。ありがとうございます」
「爺や、今はアイスといちごミルクをいただく時間ではありません」
「まぁ俺は食べたいものを食べてもらうのが1番ですから」

 ベラさんとフカさんが果物の味を確かめている間、シュガーさんはただただアイスを食べ、いちごミルクを飲んでいた。

「ユーマくん、私としてはどれも美味しかったから、変に加工して味を落とすようなことはしない方がいいと思うよ」
「私はイチゴやアイスの件でお話するために来たのですが、今いただいたフルーツについてもお話したいです」
「フカさんわざわざ戻ってきてくれてありがとうございました。加工するかどうかはもう少し考えてみますけど、フカさんの意見も参考にしますね。ベラさんもまずは何の交渉で来たのかも分からないので、お話から聞きます」
「では私は帰るよ。とても美味しかった。ありがとう」
「あ、またアイスの箱を持ってきてくれたら入れますから、なくなったらハセクさんに持ってきてもらってくださいね」
「そうさせてもらうよ。ありがとう」

 そう言ってフカさんは帰り、ベラさんの話が始まった。

「単刀直入に言いますと、ユーマさんの商品を私のお店で扱わせていただくことはできないでしょうか?」
「それは良いですけど、運ぶ手段とかはどうします? 商人ギルドを通して送るのはたぶん高くつきますよね。一応農業は自分達で食べたりするもの以外はお金を稼ぐためにやってるので、あまり安くは売れないですけど」
「北の街に私のお店を出すことが決まりましたので、そこでユーマ様の作られたものを使った商品を出したいと考えています」

 それならさっき土地を買ったのは良かったかもしれない。

「じゃあ値段次第でお願いしますって言おうと思ったんですけど、たぶんベラさんのことなので普通よりは高く買ってくれそうですよね」
「最低でも相場の1.5倍以上は出します」
「俺としては相場以上だったら全然いいので、よろしくお願いします」
「では、まず先程いただいたものでは無く、ミルクとアイスのお話から……」

 そこからはベラさんが言う条件に俺がハイかYESと答えるだけの時間が続いた。

「ありがとうございました。ユーマ様のおかげでお店の目玉商品が出来ました」
「今作ってる分はこのまま売ることが出来ると思いますけど、それ以外の新しいものはあまり期待しないでくださいね。おそらく同じようなものが出来るとは思いますけど」

 さっき買った土地でも色々作ろうと思っているのだが、そっちには神聖な置物の効果があるか分からないので、もしかしたら期待されたクオリティに届かない可能性もある。

「いえ、ユーマ様のお話を聞いている限りお隣の土地にも効果はある気がしていますので、ここで取れたものは全て購入させていただきます」
「そ、そうですか。そうだ、一応立ち入り許可出しときますね」
「ありがとうございます」
「私にまでいただきありがとうございます」
「シュガーさんもここに来た時は商品用アイスじゃなかったら冷凍庫から取って食べていいですからね」
「ユーマ様、爺やがここにずっと居ることになるのでそれはおやめください」
「お気持ちとアイスだけ受け取っておきます」
「爺や!」
「そ、そうですか」

 ということで俺が作ったものは北の街に新しく出来たベラさんが経営するスイーツ店で買ってくれることになった。

「ではまた来ますね」
「はい、ありがとうございました」
「ご馳走様でした。また食べに来ますね」
「爺や!」
「あははは……」

 最後までシュガーさんはベラさんを怒らせて楽しんでいたが、2人ともなんやかんや楽しそうだった。

「で、結構勢いで土地買っちゃったけど、結果的には買って良かったな」
「クゥ」「アウ」「……!」
「それでウル達には悪いんだけど、耕すのとか種蒔きとか水やりとか、手伝ってくれる?」
「クゥ!」「アウ!」「……!」
「ありがとう」

 そして畑のことをする前に、先にハセクさんにはさっきベラさん達と話した内容を伝え、商人ギルドではなくベラさんのお店の裏にこれからは商品を持っていってもらうことを言う。

「あの、たぶん商品が多くて持って行くのがしんどいと思うんですけど」

 するとハセクさんは文字を紙に書いて渡してくる。

「ライドホースに引っ張ってもらって持っていくんですか。確かにそれなら大丈夫だと思いますけど、ホントにお願いして良いんですか?」
「(ぶんぶんぶん)」
「そ、そうですか。じゃあお願いします」

 本当にハセクさんはモンスターと一緒に居るのが好きなんだろう。荷物が増えたことよりもライドホースと一緒に行動できることに喜んでいる気がする。

「よし、じゃあとりあえずはベラさんに売る用のフルーツを植えてくか」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 こうして俺達は職人ギルドで買ってきた種や苗を新しい土地を耕して植えていくのだった。


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