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【SS(日常話)】
1-SS.ピタと謎の踊り
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ミラが師匠のメリエラたちに合う少し前の出来事だ。
薬を作るために必要な器具を買い揃えるために、お金をためていた。そこで薬草採集の仕事を受けていたある日のこと。
『モイ草』という薬草を採集する依頼を受けた。
受付のスフィアには「モイ草は採集がめちゃくちゃ大変ですけど頑張って下さい」と言われて、ミラにはその理由が薬草大全の書物でなんとなく知っていた。
しかし、それはミラが知識の「大変さ」にすぎないことをまだ知らなかったのである。
***
森に歩く途中、出くわしたのはハーフリングのピタだった。
「あ、ミラちゃん。なんか久しぶりだね」
「はい、この前はお世話になりました」
ミラは丁寧にお礼を言った。
「今から薬草採集の依頼?」
「モイ草を依頼されました」
それを聞いて、ピタは苦笑いを浮かべた。
「あちゃー」
「大変な理由は本で読んでなんとなく知っているんですけど、そこまで苦労する採集なんですか?」
「うん、やってみればわかると思うよ」
そういって、一緒に歩いて湖の畔に足を運んだ。
途中、この街での生活や出来事などを軽く話した。ピタは、フレアボアにチームを壊滅させられたため、新たな冒険者チームが集まるまで待機して、1人で受けられる程度の依頼や魔物討伐をしているとのことだった。
モイ草は水辺付近に生息しており、柔らかい土の中に根を張っている。
「このへんかしら?」
「ちょっと待って!」
ピタが先に進もうとするミラを片手で制止した。
足元を見ると、地面が水気でぐちょぐちょになっていて、足を入れるとハマりそうだ。
「これって……沼になっているんですか?」
「そうだよ。このモイ草が生えているところだけ、そうなるんだって。詳しい理由は知らないけど、根が土を柔らかくしてしまうんだって」
「つまり、この沼に注意しなさい、ということですか?」
「う~ん、それだけじゃないんだ」
ミラは試しに靴を脱いで沼に足を入れてみた。
すると、沈んでどこまでも足が中に入る。
終わりがなく、膝丈まで泥に埋まり、ミラは必死に足を引き抜いた。
「はあはあ……、これ知らずに入ると戻れなくなりますね」
底なし沼が、こんなところにあるとはミラもびっくりである。
「うん、モイ草の採集は普通1人ではしないんだけど、スフィアちゃんはどういうつもりでミラちゃんにこの依頼書を渡したんだろう」
「あ、たぶん純粋に報酬の良い依頼を出してくれたんだと思います」
「そっか。モイ草は二人が基本だから成功報酬が高いんだよね。それでか~」
とりあえず、沼に注意しながらモイ草の先端を引っ張る。
しかし、なかなか抜けない。
「ミラちゃん、それじゃたぶん抜けないよ。まずは先端をこうしてぐるぐる巻きにして」
「はい」
「次に、周囲の土を掘って周囲に穴を開けること」
言われたとおりにしてみる。
「やってみます」
しかし、下の岩盤まで掘り進めると、結構な硬さだ。
「深くなくていいよ」
「わかりました」
硬い部分があればそこを少しだけ掘って止めた。それでも結構手が疲れた。
「本当は専用のスコップが必要だけど、ミラちゃんは手で掘れたね」
「ちょっと硬かったですけど」
「じゃあ、2人で正面と反対側に立って、茎を回しながら周囲を回ろうか」
ミラとピタは、まるで謎の儀式のように沼の回りをぐるぐると回り始めるのだった。
最初は絡まるだけだったツタが、1つの縄のようになる。
すると、その遠心力と押し返す力、中心から生まれる上への力で、自然とモイ草が沼の中央に浮かび上がってきた。
「あ、出てきました。なるほど、こうするんですね」
ミラは文献にも資料にも載っていない方法での採取に驚きと感動を覚えた。
こういう特殊な採集は、実践でないとわからないこともあるらしい。
これを採集するモイ草の数だけ繰り返した。
2人の姿は、何か儀式の舞をしているみたいだ。
***
一通り採集が終わって、二人共はネタ泥で汚れてしまった。
「これは洗わないとダメだね」
「そこの水を使いましょう」
仕方なく、近くの湖で水浴びをして、汚れを落とすのだった。
「今日はありがとうございました」
最後にお礼を言ってピタと別れる。
「ううん、初心の冒険者にはやっぱり難しいことも多いよね。偶然だったけど手伝えてよかったよ」
***
「それにしてもツタも長いけど、根も長いのね……」
円形に丸めて布袋に包んで持ち帰る。これがけっこう大変だった。
グネグネするツタを丸めて、押し止める作業はピタと一緒にしてようやく終わった。
「あ、今度、ピタさんにお礼しないと。ハーフリングの方って何を贈ればいいんだろう?」
本当なら報酬の発生する依頼を手助けしてくれたのだから、それなりのものをスフィアと相談して贈ることにした。
ふと、ミラはさっきした人の気配を感じとろうとしてもう一度周囲を見回すが、誰もいる様子はない。さっきは誰か湖にいた気がするのだ。
偶然通りかかった人がいたのだろう。
そう思って冒険者ギルドに帰ると、スフィアがなぜかミラのことを心配していた。
「あ、帰ってきましたね。噂になって心配したんですよ?」
「噂にですか? 一体どのような?」
「実は……ミラさんが邪教の儀式を湖のほとりで行っていたとか何とか」
「え?」
そんな儀式した覚えはない。
「二人組で儀式の踊りをしていたのを見た人がいて」
「あ、ああ! それはモイ草の採取ですよ」
「そうなんですか? でも、モイ草ってそんなおかしな踊りをしながら採取するものではないですよ?」
「あれ? でも……」
ピタと聞いたことと違った。
そこで、スフィアにピタに手伝ってもらったことを説明した。
すると、スフィアが納得の行く顔をする。
「なるほど、ピタさんなら種族的にそういう採集の仕方になるのかも知れませんね」
背丈が低い種族だからこその採集の仕方だという。
どうやらあの儀式は必要ではなかったらしい。
「普通はもっと違う採集方法があるんですか?」
「大全を読んだミラさんならすでに知っていると思っていたんですけど、そうでもなかったんですね。そういえば、採取の細かい説明は本にも書かれていない気がします……なんかすいません」
うっかりなスフィアが依頼説明を間違えることはミラと出会ってから知る限りよくあることだった。
そのままスフィアは説明を続けた。
「モイ草はツタと根の浅い部分だけを使用しますから、全部抜かなくてもナイフでカットすればよいんです。ただ、沼が周囲にあるので、身長がそれなりにないと、それはできないので、背丈のある男性の依頼受注が多いんです」
「そうなんですね……。まあでも楽しかったし、これでよかったのかもしれないわ」
ピタと楽しく踊りのように遊んだ気分なので、よしとするミラだった。
薬を作るために必要な器具を買い揃えるために、お金をためていた。そこで薬草採集の仕事を受けていたある日のこと。
『モイ草』という薬草を採集する依頼を受けた。
受付のスフィアには「モイ草は採集がめちゃくちゃ大変ですけど頑張って下さい」と言われて、ミラにはその理由が薬草大全の書物でなんとなく知っていた。
しかし、それはミラが知識の「大変さ」にすぎないことをまだ知らなかったのである。
***
森に歩く途中、出くわしたのはハーフリングのピタだった。
「あ、ミラちゃん。なんか久しぶりだね」
「はい、この前はお世話になりました」
ミラは丁寧にお礼を言った。
「今から薬草採集の依頼?」
「モイ草を依頼されました」
それを聞いて、ピタは苦笑いを浮かべた。
「あちゃー」
「大変な理由は本で読んでなんとなく知っているんですけど、そこまで苦労する採集なんですか?」
「うん、やってみればわかると思うよ」
そういって、一緒に歩いて湖の畔に足を運んだ。
途中、この街での生活や出来事などを軽く話した。ピタは、フレアボアにチームを壊滅させられたため、新たな冒険者チームが集まるまで待機して、1人で受けられる程度の依頼や魔物討伐をしているとのことだった。
モイ草は水辺付近に生息しており、柔らかい土の中に根を張っている。
「このへんかしら?」
「ちょっと待って!」
ピタが先に進もうとするミラを片手で制止した。
足元を見ると、地面が水気でぐちょぐちょになっていて、足を入れるとハマりそうだ。
「これって……沼になっているんですか?」
「そうだよ。このモイ草が生えているところだけ、そうなるんだって。詳しい理由は知らないけど、根が土を柔らかくしてしまうんだって」
「つまり、この沼に注意しなさい、ということですか?」
「う~ん、それだけじゃないんだ」
ミラは試しに靴を脱いで沼に足を入れてみた。
すると、沈んでどこまでも足が中に入る。
終わりがなく、膝丈まで泥に埋まり、ミラは必死に足を引き抜いた。
「はあはあ……、これ知らずに入ると戻れなくなりますね」
底なし沼が、こんなところにあるとはミラもびっくりである。
「うん、モイ草の採集は普通1人ではしないんだけど、スフィアちゃんはどういうつもりでミラちゃんにこの依頼書を渡したんだろう」
「あ、たぶん純粋に報酬の良い依頼を出してくれたんだと思います」
「そっか。モイ草は二人が基本だから成功報酬が高いんだよね。それでか~」
とりあえず、沼に注意しながらモイ草の先端を引っ張る。
しかし、なかなか抜けない。
「ミラちゃん、それじゃたぶん抜けないよ。まずは先端をこうしてぐるぐる巻きにして」
「はい」
「次に、周囲の土を掘って周囲に穴を開けること」
言われたとおりにしてみる。
「やってみます」
しかし、下の岩盤まで掘り進めると、結構な硬さだ。
「深くなくていいよ」
「わかりました」
硬い部分があればそこを少しだけ掘って止めた。それでも結構手が疲れた。
「本当は専用のスコップが必要だけど、ミラちゃんは手で掘れたね」
「ちょっと硬かったですけど」
「じゃあ、2人で正面と反対側に立って、茎を回しながら周囲を回ろうか」
ミラとピタは、まるで謎の儀式のように沼の回りをぐるぐると回り始めるのだった。
最初は絡まるだけだったツタが、1つの縄のようになる。
すると、その遠心力と押し返す力、中心から生まれる上への力で、自然とモイ草が沼の中央に浮かび上がってきた。
「あ、出てきました。なるほど、こうするんですね」
ミラは文献にも資料にも載っていない方法での採取に驚きと感動を覚えた。
こういう特殊な採集は、実践でないとわからないこともあるらしい。
これを採集するモイ草の数だけ繰り返した。
2人の姿は、何か儀式の舞をしているみたいだ。
***
一通り採集が終わって、二人共はネタ泥で汚れてしまった。
「これは洗わないとダメだね」
「そこの水を使いましょう」
仕方なく、近くの湖で水浴びをして、汚れを落とすのだった。
「今日はありがとうございました」
最後にお礼を言ってピタと別れる。
「ううん、初心の冒険者にはやっぱり難しいことも多いよね。偶然だったけど手伝えてよかったよ」
***
「それにしてもツタも長いけど、根も長いのね……」
円形に丸めて布袋に包んで持ち帰る。これがけっこう大変だった。
グネグネするツタを丸めて、押し止める作業はピタと一緒にしてようやく終わった。
「あ、今度、ピタさんにお礼しないと。ハーフリングの方って何を贈ればいいんだろう?」
本当なら報酬の発生する依頼を手助けしてくれたのだから、それなりのものをスフィアと相談して贈ることにした。
ふと、ミラはさっきした人の気配を感じとろうとしてもう一度周囲を見回すが、誰もいる様子はない。さっきは誰か湖にいた気がするのだ。
偶然通りかかった人がいたのだろう。
そう思って冒険者ギルドに帰ると、スフィアがなぜかミラのことを心配していた。
「あ、帰ってきましたね。噂になって心配したんですよ?」
「噂にですか? 一体どのような?」
「実は……ミラさんが邪教の儀式を湖のほとりで行っていたとか何とか」
「え?」
そんな儀式した覚えはない。
「二人組で儀式の踊りをしていたのを見た人がいて」
「あ、ああ! それはモイ草の採取ですよ」
「そうなんですか? でも、モイ草ってそんなおかしな踊りをしながら採取するものではないですよ?」
「あれ? でも……」
ピタと聞いたことと違った。
そこで、スフィアにピタに手伝ってもらったことを説明した。
すると、スフィアが納得の行く顔をする。
「なるほど、ピタさんなら種族的にそういう採集の仕方になるのかも知れませんね」
背丈が低い種族だからこその採集の仕方だという。
どうやらあの儀式は必要ではなかったらしい。
「普通はもっと違う採集方法があるんですか?」
「大全を読んだミラさんならすでに知っていると思っていたんですけど、そうでもなかったんですね。そういえば、採取の細かい説明は本にも書かれていない気がします……なんかすいません」
うっかりなスフィアが依頼説明を間違えることはミラと出会ってから知る限りよくあることだった。
そのままスフィアは説明を続けた。
「モイ草はツタと根の浅い部分だけを使用しますから、全部抜かなくてもナイフでカットすればよいんです。ただ、沼が周囲にあるので、身長がそれなりにないと、それはできないので、背丈のある男性の依頼受注が多いんです」
「そうなんですね……。まあでも楽しかったし、これでよかったのかもしれないわ」
ピタと楽しく踊りのように遊んだ気分なので、よしとするミラだった。
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