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1-18.特別な期間
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長蛇の列となっていた受付前。
スフィアの列が進み、ミラはようやく受付にたどり着いた。
「あの、この依頼を受けたいのですけど」
「あ、ミラさん。こんにちは。依頼書ですね」
だいぶ顔が疲れているように見えるスフィア。
依頼書に判子を押して了承した。
「あと、こちら。このポーションって売れますか?」
ミラは自分で作った低級ポーションをギルドに買い取りを求める。
初めてのポーションなので自分で持っておきたかった。
だが、低級ポーションには薬の賞味期限があり、だいたい3ヶ月くらいで破棄される。
使われずに期限が過ぎてしまうのももったいない。
ミラはケガをするような仕事をそもそもしていないため、いつ使うかもわからず、せっかくなら誰かに使ってほしかった。
「最初のがもうできたんですね。ちょっと早くてビックリしました。鑑定結果は高品質-(ハイクオリティ・マイナス)でした」
ポーションにはそれぞれ品質があり、低級ポーションの中でもランクの位置づけが存在する。
メリエラがいうには、ポーションの品質は高く、最高位ではない。
ギルドの納品基準だとこれは『高品質-(ハイクオリティ・マイナス)』に該当したようだ。
「その品質だといくらですか?」
「銀貨15枚ですね。納品しますか?」
「はい、お願いします」
ミラはポーションをカウンターの上において、スフィアが瓶を手で持ち、箱に入れる。 それを目で追った。
(さよなら、私の作った最初のポーション……)
少し愛着まで湧いていたため、売って正解だった。
このまま宿に持ち帰ったら、使わずに置物と化していただろう。
ポーションは期限を大きく経過すると成分が変異して毒性が強まる。
薬と毒は紙一重だ。
成分を管理して、適量を使うからこそ、薬として成立している。
毒性の強い成分に変わってしまえば、それはもう人にとっての毒になる。
ポーションは成分を抽出しているため、多量摂取は危険である。
その毒が良い方に作用すればよいが、悪い方に作用した時、最悪、人の命も奪いかねない。
ミラはポーションを心の中でバイバイと見送った。
その後、依頼書を手に取ってギルド出口に向かう。
ミラの後ろにはまだ人が並んでいて、列がまだ続いていた。
それもあって、余計な雑談をすることはなかった。
(そういえば今日って、なんで忙しかったのかしら?)
聞くタイミングがなく、ミラは少し疑問に思って、薬草の生息域に足を運んだ。
街を出たところで、今日は多くの冒険者を見かけた。
やけに重装備というか、防具に布まで張って、厳重に守りを固めている。
手にはほとんどの人が弓を持っていた。
普段、槍や剣を使う冒険者も、多くが弓を持参している様子。
布を防具に付け、弓を持つ。
それが1人ではなく、ほぼ全員である。
そんな彼らは、まるで、どこかに向かって、皆が同じ場所を目指して歩いている。
ミラはその方向から少し外れたところに、薬草を取りに向かう。
「普段は見ない冒険者の方もいたわ。街の外から冒険者が集まっているのね。布を張って弓を持っていたのは、何か意味があるのかしら?」
ミラは一瞬疑問を浮かべたが、それだけだった。
予定通り、ポム草とベール花、そしてキュリルを多めに採集する。
布袋いっぱいに、薬草を詰め込んだ。
ポーション制作は失敗も込みで、少し多めに採集する必要があった。
特に今回の麻痺回復ポーションでは、調合が少し難しい。
ミラは布袋の端を手で持ったまま、肩で背負った。
帰り道は、魔物の出ない安全な森林地帯の間を抜けて歩いていく。
すると、空から何かふわふわしたものが浮かんでいた。
「何かしらあれ……」
青白いものが浮遊して、ミラに向かって下降を始めた。
とりあえず、布袋を地面に置いて、剣の柄に手をかける。
それはパチパチという光をまとった生き物だった。
(あれは生物の文献で見たことがあるわ)
海に住んでいるというクラゲという生き物に似ていた。
けれど、空を飛ぶなんて記述、ミラは知らない。
なにかの見間違いかと、目をパチクリとした。
クラゲは海を泳ぐ生物であるはず。
ミラはこの魔物を知らなかった。
それも当然で、この辺りにのみ出現するこの時期限定のクラゲに類似した深海の魔物だからだ。
深海から浮上して、この時期にだけ大陸を渡って、街の反対側にある海に飛んで向かっているのだ。
地理的にいうと、ちょうど半島のようなとんがり部分。
この魔物は海を大きく迂回せずにそのまま空を経由する。
繁殖するための温かい海の場所に短縮移動するためだ。
この街のすぐ近くで毎年起こるため、多くの冒険者がこの街に集まって来る。
ミラのところに来たのは、はぐれの1匹が迷い込んだだけだ。
剣の届く範囲に降りてきたところで、正面から縦に切りつけた。
ピリッ。
手におかしな痛みが走った。
「なに?」
剣から何かが流れてきて、ビリッとしたのと、手の甲の小さな刺激。
ミラはその原因を、先程の戦闘から思い返す。
クラゲから何か細いものが飛び出てきたため、瞬間的にそれを手の甲で払ったのだ。
そのとき、手の甲にはしっかりと、透明でわかりにくい針が突き刺さっていた。
ミラは針を抜いて、とりあえず、こういうときは薬草を塗ることにした。
痺れと痛みが消えていく。
ちょっと痺れた感覚があっただけなので放置してもよかっただろう。
だが、正体不明の魔物の攻撃を放置するのはよくないと判断したのだ。
クラゲはそのまま地面に落ちる。
2つに割れて、動く様子はない。
この魔物1匹の強さ自体は大したことがないらしい。
ミラはどうしようか迷ったが、そのクラゲをもう1つの布袋に入れてギルドに持ち帰ることにした。
冒険者ギルドに戻ると、さっきまでいた人の多さが嘘のようだ。
全然、人がいなかった。
ミラはカウンターの前まで行き、スフィアに声をかける。
「スフィアさん、戻りました。これ依頼の薬草です」
スフィアは疲れすぎていて、顔がげっそりしていた。
いつもは笑顔を浮かべているのに、それが崩れた作り笑いのようになっている。
今日はこの冒険者ギルドに在籍するほぼ全ての職員がカウンターで対応していた。
それでもこの疲れようである。
全員で分担しても1人に掛かる負担は相当大きかったらしい。
「はい、問題ありませんね。依頼完了です」
「それから……。これ、なんですけど」
ミラは手に持っていた布袋を開けてカウンターの上に乗せた。
クラゲのような姿をした魔物である。
「え? なぜこれを……」
「実は、採集した帰りに、空からふわふわと飛んできたんです」
「なるほどですね。深海クラゲのはぐれ個体が出たんでしょう」
「深海クラゲ?」
「名前の由来はクラゲなんですけど、深海の魔物なんです。あのパチパチとした現象で空を飛んで、大群がこの街の近くを通過するんです。攻撃手段が特殊で、麻痺毒のある針の攻撃をするんです。厄介なのが、この魔物が死んでも、攻撃のための防御機能が残っていて、刺激で全方位に針が飛ぶんです」
「あ、その針受けました。痺れましたね」
「えっ! 針を受けたんですか?」
「ええ、ここに」
ミラは手の甲をスフィアの方に向けた。
「あれ? え? 何で大丈夫なんですか?」
「いえ、痺れましたけど、薬草を塗って治りました」
「あ、そういうことですか。でもすごいですね。針を受けると、全身がしびれて動けなくなるんですよ。針を受けると冒険者でも置物状態になる、厄介な魔物なんです。1匹ならF~Dランクの低級の魔物なんですが、大群ともなると、Aランク指定になって、一定数を倒すだけで報酬が高くなるんです。たぶん2~3日はこれが続くんですよ。はぁ~」
このギルド受付の大変な状況が暫く続くことにスフィアはため息を付いた。
「そうなんですか」
ミラは話を聞いていて、冒険者の数が多い理由がわかった。
今日はあの深海クラゲを倒して稼ぎたい冒険者が外から集まっていたのだ。
(……あれ?)
さっき、全身が麻痺するとスフィアは言っていた。
(おかしいわね。チクっと痺れただけで……針を受けた場所が良かったのかしら?)
ミラは、血管などに針が刺さらなかったおかげで、全身麻痺を受けなかったのだ、と1人で納得する。
スフィアはそこで、思い出したように言う。
「あ! そういえば、ミラさん。もし、ミラさんが麻痺回復ポーションを作れるなら、少しでも製作して、ギルドに収めてくれませんか?」
「えっと、まだ作ったことないんですけど、これから作ってメリエラ様の鑑定で大丈夫なようならギルドに納られますけど……。でも、どうしてですか?」
「一応、薬師の2人にも依頼は出しているんですけど、毎年足りなくなるんです。手持ちのポーションがある冒険者もいるんですが。在庫もすぐに足りなくて、大勢が病院で置物状態になるんです。冒険者ギルドの救護テントがそれで毎年埋まって、とにかく仕事が増えるんです……」
どうやら、スフィアの本音は、仕事が増えることを避けたいだけらしい。
麻痺を受けた患者は1週間近く動けなくなる。
だから、早く回復するにはポーションで治すしかないという。
(そういえば、今日、メリエラ様の調合する日と重なったのって偶然じゃないってことよね? あ、それで麻痺を今日の見学内容にしたんだわ)
ミラは気づいた。
今日メリエラが見学をさせたのは、麻痺回復ポーションを調合する工程。
ちょうどポーション制作の仕事が入ったからだと。
「わかりました。メリエラ様にOKをもらいましたら、冒険者ギルドの方にも納品します」
「ありがとう、ございます……とにかく、1つでもたくさん作ってくられると嬉しいですね」
早速、宿に帰って麻痺回復ポーションを作ることにした。
スフィアの列が進み、ミラはようやく受付にたどり着いた。
「あの、この依頼を受けたいのですけど」
「あ、ミラさん。こんにちは。依頼書ですね」
だいぶ顔が疲れているように見えるスフィア。
依頼書に判子を押して了承した。
「あと、こちら。このポーションって売れますか?」
ミラは自分で作った低級ポーションをギルドに買い取りを求める。
初めてのポーションなので自分で持っておきたかった。
だが、低級ポーションには薬の賞味期限があり、だいたい3ヶ月くらいで破棄される。
使われずに期限が過ぎてしまうのももったいない。
ミラはケガをするような仕事をそもそもしていないため、いつ使うかもわからず、せっかくなら誰かに使ってほしかった。
「最初のがもうできたんですね。ちょっと早くてビックリしました。鑑定結果は高品質-(ハイクオリティ・マイナス)でした」
ポーションにはそれぞれ品質があり、低級ポーションの中でもランクの位置づけが存在する。
メリエラがいうには、ポーションの品質は高く、最高位ではない。
ギルドの納品基準だとこれは『高品質-(ハイクオリティ・マイナス)』に該当したようだ。
「その品質だといくらですか?」
「銀貨15枚ですね。納品しますか?」
「はい、お願いします」
ミラはポーションをカウンターの上において、スフィアが瓶を手で持ち、箱に入れる。 それを目で追った。
(さよなら、私の作った最初のポーション……)
少し愛着まで湧いていたため、売って正解だった。
このまま宿に持ち帰ったら、使わずに置物と化していただろう。
ポーションは期限を大きく経過すると成分が変異して毒性が強まる。
薬と毒は紙一重だ。
成分を管理して、適量を使うからこそ、薬として成立している。
毒性の強い成分に変わってしまえば、それはもう人にとっての毒になる。
ポーションは成分を抽出しているため、多量摂取は危険である。
その毒が良い方に作用すればよいが、悪い方に作用した時、最悪、人の命も奪いかねない。
ミラはポーションを心の中でバイバイと見送った。
その後、依頼書を手に取ってギルド出口に向かう。
ミラの後ろにはまだ人が並んでいて、列がまだ続いていた。
それもあって、余計な雑談をすることはなかった。
(そういえば今日って、なんで忙しかったのかしら?)
聞くタイミングがなく、ミラは少し疑問に思って、薬草の生息域に足を運んだ。
街を出たところで、今日は多くの冒険者を見かけた。
やけに重装備というか、防具に布まで張って、厳重に守りを固めている。
手にはほとんどの人が弓を持っていた。
普段、槍や剣を使う冒険者も、多くが弓を持参している様子。
布を防具に付け、弓を持つ。
それが1人ではなく、ほぼ全員である。
そんな彼らは、まるで、どこかに向かって、皆が同じ場所を目指して歩いている。
ミラはその方向から少し外れたところに、薬草を取りに向かう。
「普段は見ない冒険者の方もいたわ。街の外から冒険者が集まっているのね。布を張って弓を持っていたのは、何か意味があるのかしら?」
ミラは一瞬疑問を浮かべたが、それだけだった。
予定通り、ポム草とベール花、そしてキュリルを多めに採集する。
布袋いっぱいに、薬草を詰め込んだ。
ポーション制作は失敗も込みで、少し多めに採集する必要があった。
特に今回の麻痺回復ポーションでは、調合が少し難しい。
ミラは布袋の端を手で持ったまま、肩で背負った。
帰り道は、魔物の出ない安全な森林地帯の間を抜けて歩いていく。
すると、空から何かふわふわしたものが浮かんでいた。
「何かしらあれ……」
青白いものが浮遊して、ミラに向かって下降を始めた。
とりあえず、布袋を地面に置いて、剣の柄に手をかける。
それはパチパチという光をまとった生き物だった。
(あれは生物の文献で見たことがあるわ)
海に住んでいるというクラゲという生き物に似ていた。
けれど、空を飛ぶなんて記述、ミラは知らない。
なにかの見間違いかと、目をパチクリとした。
クラゲは海を泳ぐ生物であるはず。
ミラはこの魔物を知らなかった。
それも当然で、この辺りにのみ出現するこの時期限定のクラゲに類似した深海の魔物だからだ。
深海から浮上して、この時期にだけ大陸を渡って、街の反対側にある海に飛んで向かっているのだ。
地理的にいうと、ちょうど半島のようなとんがり部分。
この魔物は海を大きく迂回せずにそのまま空を経由する。
繁殖するための温かい海の場所に短縮移動するためだ。
この街のすぐ近くで毎年起こるため、多くの冒険者がこの街に集まって来る。
ミラのところに来たのは、はぐれの1匹が迷い込んだだけだ。
剣の届く範囲に降りてきたところで、正面から縦に切りつけた。
ピリッ。
手におかしな痛みが走った。
「なに?」
剣から何かが流れてきて、ビリッとしたのと、手の甲の小さな刺激。
ミラはその原因を、先程の戦闘から思い返す。
クラゲから何か細いものが飛び出てきたため、瞬間的にそれを手の甲で払ったのだ。
そのとき、手の甲にはしっかりと、透明でわかりにくい針が突き刺さっていた。
ミラは針を抜いて、とりあえず、こういうときは薬草を塗ることにした。
痺れと痛みが消えていく。
ちょっと痺れた感覚があっただけなので放置してもよかっただろう。
だが、正体不明の魔物の攻撃を放置するのはよくないと判断したのだ。
クラゲはそのまま地面に落ちる。
2つに割れて、動く様子はない。
この魔物1匹の強さ自体は大したことがないらしい。
ミラはどうしようか迷ったが、そのクラゲをもう1つの布袋に入れてギルドに持ち帰ることにした。
冒険者ギルドに戻ると、さっきまでいた人の多さが嘘のようだ。
全然、人がいなかった。
ミラはカウンターの前まで行き、スフィアに声をかける。
「スフィアさん、戻りました。これ依頼の薬草です」
スフィアは疲れすぎていて、顔がげっそりしていた。
いつもは笑顔を浮かべているのに、それが崩れた作り笑いのようになっている。
今日はこの冒険者ギルドに在籍するほぼ全ての職員がカウンターで対応していた。
それでもこの疲れようである。
全員で分担しても1人に掛かる負担は相当大きかったらしい。
「はい、問題ありませんね。依頼完了です」
「それから……。これ、なんですけど」
ミラは手に持っていた布袋を開けてカウンターの上に乗せた。
クラゲのような姿をした魔物である。
「え? なぜこれを……」
「実は、採集した帰りに、空からふわふわと飛んできたんです」
「なるほどですね。深海クラゲのはぐれ個体が出たんでしょう」
「深海クラゲ?」
「名前の由来はクラゲなんですけど、深海の魔物なんです。あのパチパチとした現象で空を飛んで、大群がこの街の近くを通過するんです。攻撃手段が特殊で、麻痺毒のある針の攻撃をするんです。厄介なのが、この魔物が死んでも、攻撃のための防御機能が残っていて、刺激で全方位に針が飛ぶんです」
「あ、その針受けました。痺れましたね」
「えっ! 針を受けたんですか?」
「ええ、ここに」
ミラは手の甲をスフィアの方に向けた。
「あれ? え? 何で大丈夫なんですか?」
「いえ、痺れましたけど、薬草を塗って治りました」
「あ、そういうことですか。でもすごいですね。針を受けると、全身がしびれて動けなくなるんですよ。針を受けると冒険者でも置物状態になる、厄介な魔物なんです。1匹ならF~Dランクの低級の魔物なんですが、大群ともなると、Aランク指定になって、一定数を倒すだけで報酬が高くなるんです。たぶん2~3日はこれが続くんですよ。はぁ~」
このギルド受付の大変な状況が暫く続くことにスフィアはため息を付いた。
「そうなんですか」
ミラは話を聞いていて、冒険者の数が多い理由がわかった。
今日はあの深海クラゲを倒して稼ぎたい冒険者が外から集まっていたのだ。
(……あれ?)
さっき、全身が麻痺するとスフィアは言っていた。
(おかしいわね。チクっと痺れただけで……針を受けた場所が良かったのかしら?)
ミラは、血管などに針が刺さらなかったおかげで、全身麻痺を受けなかったのだ、と1人で納得する。
スフィアはそこで、思い出したように言う。
「あ! そういえば、ミラさん。もし、ミラさんが麻痺回復ポーションを作れるなら、少しでも製作して、ギルドに収めてくれませんか?」
「えっと、まだ作ったことないんですけど、これから作ってメリエラ様の鑑定で大丈夫なようならギルドに納られますけど……。でも、どうしてですか?」
「一応、薬師の2人にも依頼は出しているんですけど、毎年足りなくなるんです。手持ちのポーションがある冒険者もいるんですが。在庫もすぐに足りなくて、大勢が病院で置物状態になるんです。冒険者ギルドの救護テントがそれで毎年埋まって、とにかく仕事が増えるんです……」
どうやら、スフィアの本音は、仕事が増えることを避けたいだけらしい。
麻痺を受けた患者は1週間近く動けなくなる。
だから、早く回復するにはポーションで治すしかないという。
(そういえば、今日、メリエラ様の調合する日と重なったのって偶然じゃないってことよね? あ、それで麻痺を今日の見学内容にしたんだわ)
ミラは気づいた。
今日メリエラが見学をさせたのは、麻痺回復ポーションを調合する工程。
ちょうどポーション制作の仕事が入ったからだと。
「わかりました。メリエラ様にOKをもらいましたら、冒険者ギルドの方にも納品します」
「ありがとう、ございます……とにかく、1つでもたくさん作ってくられると嬉しいですね」
早速、宿に帰って麻痺回復ポーションを作ることにした。
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