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1-17.初めてのポーション作り
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あれから数日後。ミラは、商店を訪れていた。
以前、窯を購入したお店だ。
盗賊討伐の報酬を得て、機材の費用を買えるようになった。
あの日、ミラは盗賊のことをギルドに報告し、衛兵と一部のギルド職員がアジトの盗賊たちの身柄を拘束した。
報酬は身柄を確認した後に、ミラに支払われることとなり、つい先日報酬を受け取ったのである。
店頭の調合機材を持ってミラは店主に会計をお願いした。
「これ全部ください」
ミラは会計を済ませると、そのまま機材を重ねた状態でギルド近くの宿まで運ぶ。
部屋の入口は小さく、機材を全部まとめて入れられないため、少しずつ宿の部屋に運び込んだ。
「これで調合の練習ができるわね」
ミラは革袋の中を除くと、金貨2枚に銀貨と銅貨が少し。
ほぼ散財した形だ。
盗賊討伐の報酬もほぼ使い切った。
だが、それでも構わなかった。
ミラはその日から調合の練習も始めた。
もちろん、新しい調合には手を出さず、教えてもらった低級ポーション(回復)の作成だけである。
材料は自分で採集できるため、依頼とは別に材料を集めておいたものがある。
残念ながら、以前森で採集した薬草は未だに調合には使えていない。
低級ポーションではまだ使わない薬草だったからだ。
今回使うのはポム草だ。
ポーション作成の手順は、2つだ。
メリエラの調合で教わった序盤の魔法を使った工程。
それからルーベックの魔法をほとんど使わない終盤から仕上げの工程。
その中でまず、薬草の成分を抽出するために、魔法を使用して行う。
次に、空気で成分と調合の専用溶液を混ぜて、魔法でこの2つを合わせる。
この魔法には微細な加減が必要で、魔法にまだ慣れていないミラは何度か失敗していた。
だが、段々と精度が上がり、無事に『溶液との混合成分』が完成する。
それから余分な成分を取り除くために魔法で溶液を回転し、遠心力を利用して分離させる。
このとき、不純物を丁寧に取り除くのは上級の除去魔法である。
分離する前に除去魔法を使うことは難しく、対象を定められるようにするためでもある。
だが、ミラにはまだ使えないため、この終盤の工程では、ルーベックのように手作業でちまちまと取り除く。
これが結構時間がかかるのだ。
不純物をどれだけ取り除けるかでポーションの薬効は上がる。
ここまでがポーション溶液の作成だ。
それを専用の瓶に移して、蓋をすると、温度を管理しながら1~2時間ほど放置する。
この仕上げ部分はまだ魔法で省略できないため、ミラは時間をかけて行う。
これでようやく低級ポーションの完成である。
見習い薬師が作れるようにしておきたい課題であり、ミラは自室で初めて完成させた。
「できた、これで完成だわ!」
他人が作ったのを見た時とはまた違い、達成感があった。
ミラは夜に少し大きな声をあげてしまい、慌てて口を手で抑えて周囲を見渡す。
そのまましばらくできたポーションを眺めた。
今回は回復ポーションだったが、違う薬草を使ったり、調合工程を変えたりすることで、別の薬効があるポーション(内用薬)や塗り薬(外用薬)を作ることができるはずだ。
明日は、採集の後に、メリエラの工房に行く予定なので、完成したポーションを見せに行くことにした。
***
翌日。ミラはメリエラの工房を訪ねて、ポーションのできを鑑定してもらう。
「これなんですけど、どうですか?」
「作れたってことは、調合機材が手に入ったのね?」
「はい、臨時収入がありましたから」
メリエラはポーションに鑑定をかける。
右目が金色に輝き、ポーションを手で持ち上げて観察し始めた。
難しい顔をして、メリエラは唸る。
「う~ん、これ初めてなのよね?」
「はい……初めて最後まで完成できたものです」
「うん、問題ない。というより、初めてでこの品質なのが信じられないわ。調合魔法だってまだ全部使えないのに」
「魔法が使えない部分は、ルーベック様の調合技術を見様見真似で再現しようとしたんです。ただ、経験が足りなかったのか、ルーベック様みたいには上手くできませんでした」
「それでも十分よ」
メリエラは気づいた。これだけのポーションの品質ということは、終盤はほぼ魔法なしの手作業だ。
それでこの仕上がりということは……。
上手くできる基準がルーベックを評価基準にした、もはや神業の域に目標を定めているとしか思えなかった。
「そうですか。それなら良かったです」
ミラは胸をなでおろした。
初めてのポーションがダメだったらどうしようかと少し不安だったのである。
「これからは、別の薬草を使って薬効を変えるための魔法工程を教えるわ。魔法は使っていくことで級数の大きな魔法を使えるようになるから、これは調合魔法を使って経験を増やすしかないわ」
「わかりました」
メリエラは棚から別の薬草を取り出し、ミラに見せた。
「これは何の薬草か分かるかしら?」
「はい。『キュリル』という麻痺を緩和する薬草ですよね?」
「その通りよ。これまで教えたのは回復の効能がある薬草の調合だったけど、低級ポーションには薬草ごとに効能を変えられるわ。ただ、成分の抽出の仕方が少し違う薬草もあるの。『キュリル』という薬草は調合方法を変える必要があるわ」
「たしか『調合基礎』の記述では、温度と溶液の環境を変える必要がある、でした」
「そうよ、相変わらず知識はバッチリね。成分を抽出する温度や環境で効率が変わるのよ。だから、魔法や機材で温度管理をして、溶液も最適なものを作ること。『キュリル』の場合、低温で少しずつ抽出する必要があるわ。いまからそれを教えましょう」
「はい、お願いします」
メリエラは機材を用意して、溶液の温度管理を始める。このとき、中和剤を使用して、濃度を中性に近づける。
低い温度で抽出をするには、魔法で圧力をかけて、成分の遊離を早めることが必要だ。
そして、出来上がったのが紫色をしたポーションだった。
「飲んでみる?」
ミラは口に少し含むと、急に目を細めて唇をすぼめた。
表情が苦しそうだ。
「まずくて苦いです」
「まあ、変わった薬だから仕方ないわ。余計なものを入れると効能が下がるし、麻痺はめったに起こることじゃないから、普通は我慢して飲むしかないのよ」
麻痺は特定の魔物が使う状態異常で、その解除のためだけに使われるポーションだ。
稀に病気で麻痺が起こり、この薬を必要とする人もいるが、基本的にはあまり作られない。
しかし、ポーションの魔法調合を学ぶのであれば、この麻痺回復ポーションを作れるようになるのが次のステップだという。
「そうなんですね。次はこのポーションを製作して、また持ってきます」
今日の見学が終わり、課題も出た。ミラは、後で薬草『キュリル』を摘みに行くことにした。
冒険者ギルドでついでに受けられそうな依頼も探すことにした。
今日はギルド内の人が多く、受付の人たちも少し忙しそうだ。
ミラは先に受けられそうな依頼を掲示板で見ておくことにする。
「うん、『ポム草』と『ベール花』の採集依頼が良さそうね」
あの辺りにはちょうど『キュリル』も自生している。
ミラは受付の列に並ぶことにする。
「今日、何かあったのかしら……」
もうお昼近くなのに人がこんなに多いことにミラは驚く。
何より、依頼の張り出しがこんなにたくさん掲示板に残っている。
これは珍しいことだ。
冒険者は朝早くから依頼を受けて、良い依頼を取り合う。
だが、いつもは無くなっているはずの好条件な依頼が残ったままだ。
列が進むと、いつも以上に受付で忙しそうなスフィアの姿が見えた。
(なんか今日は一段と忙しそうね……)
以前、窯を購入したお店だ。
盗賊討伐の報酬を得て、機材の費用を買えるようになった。
あの日、ミラは盗賊のことをギルドに報告し、衛兵と一部のギルド職員がアジトの盗賊たちの身柄を拘束した。
報酬は身柄を確認した後に、ミラに支払われることとなり、つい先日報酬を受け取ったのである。
店頭の調合機材を持ってミラは店主に会計をお願いした。
「これ全部ください」
ミラは会計を済ませると、そのまま機材を重ねた状態でギルド近くの宿まで運ぶ。
部屋の入口は小さく、機材を全部まとめて入れられないため、少しずつ宿の部屋に運び込んだ。
「これで調合の練習ができるわね」
ミラは革袋の中を除くと、金貨2枚に銀貨と銅貨が少し。
ほぼ散財した形だ。
盗賊討伐の報酬もほぼ使い切った。
だが、それでも構わなかった。
ミラはその日から調合の練習も始めた。
もちろん、新しい調合には手を出さず、教えてもらった低級ポーション(回復)の作成だけである。
材料は自分で採集できるため、依頼とは別に材料を集めておいたものがある。
残念ながら、以前森で採集した薬草は未だに調合には使えていない。
低級ポーションではまだ使わない薬草だったからだ。
今回使うのはポム草だ。
ポーション作成の手順は、2つだ。
メリエラの調合で教わった序盤の魔法を使った工程。
それからルーベックの魔法をほとんど使わない終盤から仕上げの工程。
その中でまず、薬草の成分を抽出するために、魔法を使用して行う。
次に、空気で成分と調合の専用溶液を混ぜて、魔法でこの2つを合わせる。
この魔法には微細な加減が必要で、魔法にまだ慣れていないミラは何度か失敗していた。
だが、段々と精度が上がり、無事に『溶液との混合成分』が完成する。
それから余分な成分を取り除くために魔法で溶液を回転し、遠心力を利用して分離させる。
このとき、不純物を丁寧に取り除くのは上級の除去魔法である。
分離する前に除去魔法を使うことは難しく、対象を定められるようにするためでもある。
だが、ミラにはまだ使えないため、この終盤の工程では、ルーベックのように手作業でちまちまと取り除く。
これが結構時間がかかるのだ。
不純物をどれだけ取り除けるかでポーションの薬効は上がる。
ここまでがポーション溶液の作成だ。
それを専用の瓶に移して、蓋をすると、温度を管理しながら1~2時間ほど放置する。
この仕上げ部分はまだ魔法で省略できないため、ミラは時間をかけて行う。
これでようやく低級ポーションの完成である。
見習い薬師が作れるようにしておきたい課題であり、ミラは自室で初めて完成させた。
「できた、これで完成だわ!」
他人が作ったのを見た時とはまた違い、達成感があった。
ミラは夜に少し大きな声をあげてしまい、慌てて口を手で抑えて周囲を見渡す。
そのまましばらくできたポーションを眺めた。
今回は回復ポーションだったが、違う薬草を使ったり、調合工程を変えたりすることで、別の薬効があるポーション(内用薬)や塗り薬(外用薬)を作ることができるはずだ。
明日は、採集の後に、メリエラの工房に行く予定なので、完成したポーションを見せに行くことにした。
***
翌日。ミラはメリエラの工房を訪ねて、ポーションのできを鑑定してもらう。
「これなんですけど、どうですか?」
「作れたってことは、調合機材が手に入ったのね?」
「はい、臨時収入がありましたから」
メリエラはポーションに鑑定をかける。
右目が金色に輝き、ポーションを手で持ち上げて観察し始めた。
難しい顔をして、メリエラは唸る。
「う~ん、これ初めてなのよね?」
「はい……初めて最後まで完成できたものです」
「うん、問題ない。というより、初めてでこの品質なのが信じられないわ。調合魔法だってまだ全部使えないのに」
「魔法が使えない部分は、ルーベック様の調合技術を見様見真似で再現しようとしたんです。ただ、経験が足りなかったのか、ルーベック様みたいには上手くできませんでした」
「それでも十分よ」
メリエラは気づいた。これだけのポーションの品質ということは、終盤はほぼ魔法なしの手作業だ。
それでこの仕上がりということは……。
上手くできる基準がルーベックを評価基準にした、もはや神業の域に目標を定めているとしか思えなかった。
「そうですか。それなら良かったです」
ミラは胸をなでおろした。
初めてのポーションがダメだったらどうしようかと少し不安だったのである。
「これからは、別の薬草を使って薬効を変えるための魔法工程を教えるわ。魔法は使っていくことで級数の大きな魔法を使えるようになるから、これは調合魔法を使って経験を増やすしかないわ」
「わかりました」
メリエラは棚から別の薬草を取り出し、ミラに見せた。
「これは何の薬草か分かるかしら?」
「はい。『キュリル』という麻痺を緩和する薬草ですよね?」
「その通りよ。これまで教えたのは回復の効能がある薬草の調合だったけど、低級ポーションには薬草ごとに効能を変えられるわ。ただ、成分の抽出の仕方が少し違う薬草もあるの。『キュリル』という薬草は調合方法を変える必要があるわ」
「たしか『調合基礎』の記述では、温度と溶液の環境を変える必要がある、でした」
「そうよ、相変わらず知識はバッチリね。成分を抽出する温度や環境で効率が変わるのよ。だから、魔法や機材で温度管理をして、溶液も最適なものを作ること。『キュリル』の場合、低温で少しずつ抽出する必要があるわ。いまからそれを教えましょう」
「はい、お願いします」
メリエラは機材を用意して、溶液の温度管理を始める。このとき、中和剤を使用して、濃度を中性に近づける。
低い温度で抽出をするには、魔法で圧力をかけて、成分の遊離を早めることが必要だ。
そして、出来上がったのが紫色をしたポーションだった。
「飲んでみる?」
ミラは口に少し含むと、急に目を細めて唇をすぼめた。
表情が苦しそうだ。
「まずくて苦いです」
「まあ、変わった薬だから仕方ないわ。余計なものを入れると効能が下がるし、麻痺はめったに起こることじゃないから、普通は我慢して飲むしかないのよ」
麻痺は特定の魔物が使う状態異常で、その解除のためだけに使われるポーションだ。
稀に病気で麻痺が起こり、この薬を必要とする人もいるが、基本的にはあまり作られない。
しかし、ポーションの魔法調合を学ぶのであれば、この麻痺回復ポーションを作れるようになるのが次のステップだという。
「そうなんですね。次はこのポーションを製作して、また持ってきます」
今日の見学が終わり、課題も出た。ミラは、後で薬草『キュリル』を摘みに行くことにした。
冒険者ギルドでついでに受けられそうな依頼も探すことにした。
今日はギルド内の人が多く、受付の人たちも少し忙しそうだ。
ミラは先に受けられそうな依頼を掲示板で見ておくことにする。
「うん、『ポム草』と『ベール花』の採集依頼が良さそうね」
あの辺りにはちょうど『キュリル』も自生している。
ミラは受付の列に並ぶことにする。
「今日、何かあったのかしら……」
もうお昼近くなのに人がこんなに多いことにミラは驚く。
何より、依頼の張り出しがこんなにたくさん掲示板に残っている。
これは珍しいことだ。
冒険者は朝早くから依頼を受けて、良い依頼を取り合う。
だが、いつもは無くなっているはずの好条件な依頼が残ったままだ。
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