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名誉挽回の為に

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葵と司が別荘に戻ると、リビングにはレオンと樹が待っていた。
樹はばつの悪そうな顔をしたが、葵に近付いて頭を下げた。

「さっきは悪かった。熱くなりすぎた。世良さんの仕事を否定するつもりはなかったんだ。貴女の仕事に対する信念もプライドもよくわかったよ。」

「橘さん・・。良いんです。私も悪かったんですから。気にしないで下さい。それに橘さんは桜葉さんの事が心配だったんですよね?」

「っつ・・それは・・。」

図星なのだろう、樹の目が泳いだ。

「いいですね。相棒って感じで、、、。得体の知れない人間の側に大切な人が居たらそれは熱くなりますよ。」

葵は寂しそうに目を伏せて言った。

「あんまり橘さんに心配かけちゃ駄目ですよ桜葉さん?」

そう言った葵の顔はどこか寂しそうだった。

「そういえば、レオン王子が我々も警備に加わってほしいって言ってくれたんだ。だからこれから宜しくな世良さん。でも、くれぐれも無茶はしないようにお願いしますよ。」

レオンに視線を向けると申し訳なさそうな顔をしていた。

「・・・わかりました。宜しくお願いします。」



夜ももう遅いので各自部屋で休む事になった。
リビングには葵とレオンが残っていた。

「アオイ悪い。あの状況だと彼等の警護を受けるしかなかった。」

「わかってる。ありがとう、気にしないで。レオンももう休んで?」

レオンが二階に行くのを見届けると、庭に視線を向けた。

「・・・・。」




深夜、別荘に近付く二つの人影があった。
玄関から室内に侵入してきた男達は手に拳銃を握っていた。

「おい。レオン王子の部屋はわかってるのか?」

「いや、おそらく二階だろう。一部屋ずつ見ていくしかないな。」

小声で話をして階段を忍び足で昇るが、階段の上に人影が見えて咄嗟に身を低くする。

「こんな時間に人の家に勝手に入ってくるなんて、ちょっとお行儀が悪いんじゃないの?」

目を凝らして見ると葵が階段を降りてきた。
葵の顔には、レオンや司達に向ける笑顔は一切ない。酷く冷たい表情で男達を見下ろした。

「お前!昼間レオン王子と一緒に居た女!」

男達は葵に銃口を向ける。引き金を引く前に、近くに居る男のリボルバー部分を掴むと後ろ手に捻り上げ拳銃を奪いもう一人の男に銃口を向けた。

「くそっ!離せっ!」

葵に押さえ付けられた男が抵抗するが振りほどけない。

「皆寝てるの、静かにしてくれる?」

「くっ!お前何者だ?」

「あなた達が知る必要はないわ。さぁ、外に出て?それとも、私と早打ち対決でもする?」

葵の殺気に完全に戦意喪失した男は素直に別荘を出ていった。

外に出ると藤堂の部下の佐々木と数人の男性が待っていた。男達を佐々木に引き渡す。

「こんな遅い時間にごめんなさい佐々木さん。」

「いいえ。藤堂から葵さんの力になるようにと言われていますので気になさらないで下さい。」

「ありがとうございます。」

「後の事は私達にお任せください。何か解り次第ご連絡します。」

「はい。宜しくお願いします。」

佐々木達の車を見送ると別荘の中に入っていく。
自分の部屋に入りベッドに腰掛ける。

(とりあえず佐々木さんからの連絡待ちかな?それにしても、あの男達の動きは相当訓練をしてるみたいだった・・・。)

ベッドに横になると目を閉じた。
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