十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

文字の大きさ
156 / 224

忘却の楔6

しおりを挟む
「如月さん、一つ聞きたいんだけど・・。」

「何ですか?」

「・・もし、長嶺さんの記憶が戻って・・また如月さんと付き合いたいって話になったらどうするの?」

久堂は真正面から美咲に聞いた。その視線を交わすように美咲が呟く。

「そんな事・・有るわけないじゃないですか。私は、長嶺さんを裏切って見捨てた最低の女なんです。長嶺さんがそんな事言う訳がないですよ・・。」

自嘲的に笑った顔が、哀しかった。

「そんな事ないと思うよ?長嶺さんだって分かってるんじゃないのかな?」

「まさか・・。たとえそうだとしても、私にはそんな資格ないですよ。」

哀しそうに呟かれた言葉が久堂にとっては悲しかった。

「如月さん。正直いうと、長嶺さんには関わって欲しくない。もう、傷付いてほしくないんだよ。」

「・・今回の件は、私も色々考えました。もちろん、思い出さない方が良いんじゃないかって思いました。でも、譲さんが・・長嶺さんのお兄様がどうしてもってことだったのでお引き受けしました。まだどうなるかわかりませんし、ニューヨークへ帰るまでの話なので。それでも、私に出来ることがあるならしてあげたいんです。」

「如月さん・・。君は、本当に・・・・。俺は如月さんを好きになって良かったよ。こんな素敵な女性に俺は初めて出逢った。」

優しく美咲を抱き締めた。




一方、譲と雅也はピリピリしていた。

「兄さん、如月さんって俺の知り合いなんじゃないか?」

「何でそう思う?彼女は俺の友人だ。」

「だったら、どうして久堂さんの事知ってるんだ!?久堂さんも如月さんの事知ってる感じだったし。」

「雅也?」

「何故か、二人が一緒に居るのを見たら胸が張り裂けそうな程苦しかったんだ!頼む兄さん、知ってる事があるなら教えてくれっ!!」

雅也は譲に掴みかかる勢いだった。

「雅也・・。記憶が無くても大切なものは覚えてるんだな?」

「兄さん?」

「雅也、悪い。その事に関しては俺だけでは決められないんだ・・。だから少し待ってくれないか?」

「・・・、わかったよ兄さん。」

「そうか、ありがとう。」



雅也と譲がこんな話をしているとは思わないでいた。
とりあえず、その日は自宅へ戻った。
見慣れた部屋に入ると引出しからジュエリーボックスを取り出した。中には沢山のピアスやネックレスがあった。その中でも一際輝いているネックレスを手に取る。それは、雅也が美咲の誕生日にプレゼントしたものだった。
手に取ると光にかざす。
キラキラと輝く光を眺めると、雅也と過ごした日々を思い出していた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...