十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

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研修11

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美咲はホテルのロビーで藤崎を待っていた。

「如月さん!」

エレベーターを降り美咲を見付けると笑顔で近付いた。

「待った?」

「いいえ、私もいま来た所です。」

「そっか、じゃあ行こっか?」

「はい。」

二人並んでホテルを出た。少し歩くと居酒屋があった。
店内を見ると同じく研修に参加しているグループがいた。相手もこちらに気が付いたらしくお互い会釈をした。

「ここでも平気?」

「良いですよ。」

二人でカウンターに座る。少し小洒落た感じの居酒屋だ。ビールを頼むと二人で乾杯した。
小一時間程会話とお酒を楽しむと店を出た。

「少しお散歩しませんか?」

「良いよ?」

「・・・・。」

美咲はいつ返事をしようか話をきりだすキッカケを探した。
近くの公園に行く。少し飲みすぎたのか頬が火照っていて時折吹く風が心地よかった。
美咲の長い髪がサラサラと風に靡いた。

「如月さんの髪って綺麗だよね?」

不意に髪を一束掬い上げると優しく口づけた。

「藤崎・・さん?」

意外と近かった距離に心臓がトクリとなる。

「・・・・、藤崎さん。ごめんなさい・・。」

「どうして謝るの?」

「私は、藤崎さんの想いに答えられないです。」

「それは、誰か好きな人がいるから?」

真っ直ぐに瞳を見つめられる。そんな真摯な視線を受けると美咲の視線が彷徨う。

「・・・っつ。好きな人なんて・・居ません。今は仕事を頑張りたいんです。だから・・ごめんなさい。」

「・・じゃあ、まだ俺にもチャンスがあるってことだよね?」

「それは・・。」

「好きな人は・・居ないんでしょ?」

「・・・・。藤崎さんにはもっと相応しい人が居ますよ?私なんかより、もっと・・。」

「如月さん?それを決めるのは俺だよ?俺は、如月さんが良いんだけどな?」

「ごめんなさい。」

「俺はポジティブ思考だからさ。それに、簡単には諦められないな?」

「藤崎さん。」

「わかった、じゃあ友達からならどう?俺の事もっと知ってほしいから。ダメ?」

「藤崎さんがそれで良いなら・・。」

「うん。じゃあ、同僚からお友達に昇格だね!?」

少し悪戯っぽい笑顔を向けた。

「じゃ、明日もあるし帰ろうか?」

「はい。」

後について歩いていると藤崎は振り向き歩幅を美咲に合わせてくれた。
ボンヤリと考え事をしていると段差に気が付かずに転びそうになった。

「きゃっ。」

「おっと、大丈夫?」

藤崎が抱きしめる様に受け止める。

「ご、ごめんなさいっ。」

「・・・・。」

「ふじさき・・さん?」

藤崎が抱きしめる腕に力を入れた。たったの数秒だがとても長く感じた。

「飲みすぎた?」

「大丈夫です。」

藤崎は美咲の手を握ったまま歩き出した。
5分も歩くとホテルに着いてしまった。
美咲の部屋の前まで来ると、名残惜しそうに手を離した。

「じゃ、また明日ね?おやすみ。」

「はい。おやすみなさい。」




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