色彩色盲

カミーユ R-35

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俺って結構体丈夫みたい

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転入生「危険って俺にはそうは見えなかったけどな…。まぁ、とにかく忠告ありがとう」

椋橋「別に……ただ、あの人には気おつけてね。じゃあ……」
転入生「あぁ、気をつけるよ」
(正直何に気おつければいいか分からないけど)そう返した後椋橋は去っていくのかと思ったが、なぜかその場にとどまっていた。そして何か言いたげにこちらを見ているので声をかけた。

転入生「どうした?まだ何か用か?」
すると彼はまたも不満そうな顔をした。
(今日は百面相だな……)そう思いながら黙って見ていると、今度は真面目な顔で。


椋橋「コレも仕事の一環だから教えてあげる。
あの人はここのところ悪さをする人たちと仲良くしてるって噂がたってる。恐らく人を騙す類の……。だから気おつけね…」

そう言い残すと、今度こそ彼は行ってしまった。
ふと、彼が何故この場所に現れた理由が何となく分かった。
(コレって心配、してくれてるのかな?)そう思うと、少し嬉しい気持ちになった。
俺は彼のことをまだよく知らない。ただ、クラスが一緒になっただけの間柄。けど、何となく彼の行動から、彼結構面倒見が良い人なのでは?って思った。

そしてこの日から俺は彼への見方がまた、大きく変わった。



ある日のこと。
昼下がり俺と祐二達で廊下を歩いていると、上の階から椋橋が降りていた。彼はこっちにまた気づいてない様で声をかけようとして近づこうとした時……。

椋橋「あっ……」
彼がバランスを崩し階段から落ちそうになってしまった。俺は急いで駆け寄り、彼を受け止めようとした……。しかし支えきれず一緒に倒れてしまった。幸い俺がクッションになったおかげで彼は無傷そうだったが……。(痛ったあぁッ……‼)

痛みに顔をしかめていると彼が心配そうに声をかけてきた。
椋橋「何故こんな無茶な事を……。どこか怪我してないか?」
転入生「いててッ……だ、大丈夫……」
と答えると安心したのかホッとしていた。その時後ろから声をかけられ声の方へと俺と椋橋が振り向くと、そこには見知らぬ人が立っていた。その後ろには心配そうな顔をする祐二達も居たが、それよりも俺は真正面に立っているこのオーラが凄い持ち主に圧倒されていた。

??「椋橋ッ大丈夫か⁉怪我は無いか??おい貴様ッ!椋橋に何をしたッ!!」
(ええ⁉俺別に何もしてないんですけど⁉逆に助けてあげただけですてど⁉)
その声の主は、俺よりも身長の高い大男だった。彼の迫力に思わず一歩引いてしまう。すると彼は俺に詰め寄ってきて、俺の胸ぐらを掴んできた。俺はその腕を掴み抵抗するがビクともしない……。(コレが体格の差と言うものか…)じゃない‼

転入生「ま、待って下さい!誤解です!」
しかし相手は俺の言葉に聞く耳を持たず、俺を殴ろうとしたその時、椋橋が待ったをかけたのだ。

椋橋「彼は別に何も悪くないッ!」

??「え……??そうなのか??」
俺は彼の言葉にコクりとうなずいた。すると彼は俺を離すと、申し訳なさそうに謝ってきた。そして彼は自己紹介をしてくれた彼の名前は『赤峰龍二』というらしい。名前の通り龍のような形相で睨まれると正直怖いが、根はいい人そうだと思った。
(ってこの顔、どっかで見たことあるな…)

赤峰「ホントにすまない。俺の早とちり何とは…」

転入生「いや、誤解が解けたならそれで良いんで!」

赤峰「すまない。もし何かあったら遠慮なく言ってくれ。俺が力になる」
転入生「ありがとうございます!その時はよろしくお願いします!」

無事に事なきを得え、安堵の笑みを零す俺に椋橋が「保健室に行った方がいい…。」って声を掛けてきた。
(やっぱり椋橋は優しいな…)
転入生「あ、うん。俺は全然平気‼多分大丈夫だと思う。それより椋橋の方が大丈夫?怪我とかない」

椋橋「……平気。君が庇ってくれたお陰で」

その言葉に俺はほっと胸をなでおろす。
転入生「それは良かった。それより二人はこれからどちらへ??急ぎなら早く行ったほうが───…」

そう続けようとした言葉が、赤峰さんによって遮られた。
赤峰「あぁ、生徒会の会議でな。俺達はその帰りだったんだ」

(へ~、生徒会の人達なんだ…) ん?人達??
転入生「も、もしかして椋橋って生徒会役員とかじゃ無いよね?!」

椋橋「……知らなかったの?」
転入生「うっ……」(恥ずかしい…)
椋橋「別に怒っちゃいないよ」
転入生「ほ、本当?」
椋橋「あぁ…でも何でそんな事聞くの?」

転入生「えっ?!えっとぉ……」
椋橋「?」
転入生「そ、それは……えっと……」
(まずいぞ!早く、早く何か言わないと)
転入生は頭をフル回転させ、そして考えに考え抜いた結果……。

転入生「ゆ、祐二くんはさ、椋橋が生徒会って知ってた?!」
(と見せかけて丸投げ作戦だ!)

俺がバッと祐二の方を向くと、祐二は爽やかな笑顔で俺の方を見て「うん、勿論知ってるよ!有名だから」ですよネー。この学校に通っている者は皆知って当然ですよネ…。
(うわぁぁぁ!もう駄目だぁぁ……終わったぁ……)
俺はそう思い、最後の希望と言わんばかりにりー君の方を向く。すると今日は珍しくりー君の察しが良さそうだ。視線に気づいたりー君が、軽くウインクをカマス。(おぉ‼ 頼むぞりー君‼)俺は期待に満ちた眼差しでりー君を見る。

りー君「うん、俺も知ってる有名だからな」
(知らないわけないじゃん……バーカ!)

あぁ……駄目だ。りー君に裏切られた……orz 俺はガックシと肩を落とし、ブツブツと呟く。
転入生「……祐二とりー君が俺のことを………」
転入して今初めて椋橋が生徒会メンバーの一人だと知って(誰も教えてくれなかった)。なのに二人共俺の味方になってくれない…。俺の落ち込み具合を見て祐二か助け船を出す。
祐二「まぁ、そんな事よりさ」
(そんな事で片付けるの?!)

祐二「二人共、早く戻らなくていいのか?」
そう言って祐二が椋橋達に問いかけると、赤峰さんが「あぁ、そろそろ生徒会室に戻ろうか」とだけ言って歩き出した。その後を椋橋も追う様にして歩き出す。

祐二「ってわけで、俺達も早く戻ろうぜ?」
りー君「おう!」
転入生「うん……」
(絶対何か知ってるよね……)と心の中で思いつつ、俺は祐二達にと教室へと戻る。

祐二「それよりキラ。本当に保健室に行かなくていいのか?」

アレなら一緒について行くぞ?というなんとも優しい言葉に、俺は心打たれつつ「大丈夫、大丈夫!俺、昔から体が頑丈だけが取り柄だからさ」って誤魔化し(正直行くのが面倒)という理由は伏せておいた。

りー君「後で響いても知らねーぞ、キラ」

転入生「はは りー君も心配してくれてんの?照れるーw」

冗談めかしに言うと何故か顔を赤くして「ばッか!ちげーし!」と啖呵を切れた。
転入生「はは 冗談だって」
りー君「お前、後で覚えておけよ」

転入生「はいはい、ごめんなさいね」とまあ、りー君からお小言をもらいながら、俺達は教室に向かった。
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