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2 本当にあなたの子ですか? ~七年前~
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「本当にあなたの子ですか?」
私の夫である国王陛下のルドヴィク様から、突然、子供ができたと告げられた。
それも、妻である私ではなく、浮気相手の女性の間に……
――結婚して一年。
夫婦仲も悪くなかった。
私は王妃として、しっかり務めを果たしてきた。
厳しい教育に耐え、大勢いる妃候補の中から選ばれ、王妃となった侯爵令嬢の私。
実家の両親も親戚も喜んでくれた。
それなのに――
「そうだ。俺の子だ」
ルドヴィク様は恥じるどころか、堂々と告げた。
「わたくしのお腹には、王の血を引く子がいますの。その証拠に、お腹の子は心が読める能力を持っていますわ」
浮気相手の貴族令嬢、デルフィーナ。
私と妃の座を争っていた。
諦めたと思っていたけれど、そうではなかったのだ。
結婚後も、妻の座を狙い、奪うチャンスを待っていた――
「ルドヴィク様。今、セレーネが、『どうして私ではなく、デルフィーナを選んだの?』と考えていらっしゃいますわ」
お腹の子が、私の心を読んだらしい。
王の子だけが持つ不思議な力。
つまり、彼女のお腹の中にいるのは、王の子。
紛れもないルドヴィク様の子供である証拠だった。
ショックを受ける私のそばに近づき、デルフィーナが耳元で囁いた。
「ねえ、セレーネ。結婚して終わりではございませんのよ」
今まで私を『王妃』と呼んでいたのに、デルフィーナは『王妃』と呼ばなくなった。
そして、お妃候補時代に嫌がらせをしていた時と同じ、酷い態度をとる。
「ルドヴィク様。お腹の子がセレーネ様に怯えていますわ」
そして、ルドヴィク様のことも『陛下』ではなく、名で呼ぶ。
すでに二人は親しい仲なのだとわかった。
「セレーネ様は、わたくしを殺そうとしているのです!」
「それは、本当か?」
ルドヴィク様は冷たい目を私に向けた。
「そんなこと思っていません!」
「ルドヴィク様。わたくしのお腹の中の子が、セレーネ様の心を読みましたわ。『デルフィーナは夫を奪った。殺してしまいたい』と思っています!」
「なんだと!」
デルフィーナはルドヴィク様を名前で呼び、私を王妃と呼ばない。
身内同然の待遇を約束されているのだろう。
私に告げる前に、すべて準備されいたのだ。
――いいえ。今、たくらんだことではないわ、
私が王妃に選ばれた日から、デルフィーナずっと王妃の座を狙っていたのだ。
少しずつルドヴィク様に近寄り、私に気づかれないように。
私から、なにもかも奪おうと決めて――
「ルドヴィク様! わたくしと子供をセレーネ様から、守ってください!」
「わかった。セレーネ、お前はしばらく離宮に行け」
ルドヴィク様はあっさり私を捨てた。
王宮にデルフィーナを残し、私を離宮へ行くよう命じたのだ。
「待って下さい。私は王妃です! 王妃を離宮へやるなど、前代未聞ではありませんか!」
「王の子になにかあっては困りますもの」
私がデルフィーナに危害を加えるとでも、思われているのだろうか。
「セレーネがどうしても王宮に残りたいというのなら、わたくしの部屋から、一番遠い部屋にしてください」
デルフィーナのお腹に子供がいる限り、私は心を読まれてしまう。
そして、私の心を伝える――それも、偽って。
でも、心を読める子供を身ごもっているなら、それは真実として、ルドヴィク様の耳に届く。
ルドヴィク様だけではない。
周囲の人間に、私がデルフィーナと子供を殺そうとしている恐ろしい女だと偽ることも可能なのだ。
「お腹の子が『デルフィーナが憎いと聞こえる』……そう訴えています」
「セレーネ。今すぐこの場から立ち去れ。デルフィーナの前に姿を現すな」
「ルドヴィク様。正しくは、わたくしと子供の前からですわ」
「ああ、そうか」
昨日まで、私に向けられていたルドヴィク様の笑顔が、デルフィーナに向けられている。
幸せそうな二人。
私という妻がここにいるのに、なぜ平気でいられるのだろう。
声が震えた。
「ルドヴィク様……私はあなたの妻ではないのですか……」
「今は妃だが、お前の態度次第では考えよう」
――デルフィーナはルドヴィク様の愛情だけでなく、私から王妃の地位まで奪うの?
私の心の声が聞こえたのか、デルフィーナは私を見てくすりと笑った。
一年前、勝ち取った王妃の地位。
努力して妃に選ばれた私。
それがいとも簡単に奪われてしまった。
そして、愛情も失っていく。
まるで、昨日までの生活が夢であったかのように……
私の夫である国王陛下のルドヴィク様から、突然、子供ができたと告げられた。
それも、妻である私ではなく、浮気相手の女性の間に……
――結婚して一年。
夫婦仲も悪くなかった。
私は王妃として、しっかり務めを果たしてきた。
厳しい教育に耐え、大勢いる妃候補の中から選ばれ、王妃となった侯爵令嬢の私。
実家の両親も親戚も喜んでくれた。
それなのに――
「そうだ。俺の子だ」
ルドヴィク様は恥じるどころか、堂々と告げた。
「わたくしのお腹には、王の血を引く子がいますの。その証拠に、お腹の子は心が読める能力を持っていますわ」
浮気相手の貴族令嬢、デルフィーナ。
私と妃の座を争っていた。
諦めたと思っていたけれど、そうではなかったのだ。
結婚後も、妻の座を狙い、奪うチャンスを待っていた――
「ルドヴィク様。今、セレーネが、『どうして私ではなく、デルフィーナを選んだの?』と考えていらっしゃいますわ」
お腹の子が、私の心を読んだらしい。
王の子だけが持つ不思議な力。
つまり、彼女のお腹の中にいるのは、王の子。
紛れもないルドヴィク様の子供である証拠だった。
ショックを受ける私のそばに近づき、デルフィーナが耳元で囁いた。
「ねえ、セレーネ。結婚して終わりではございませんのよ」
今まで私を『王妃』と呼んでいたのに、デルフィーナは『王妃』と呼ばなくなった。
そして、お妃候補時代に嫌がらせをしていた時と同じ、酷い態度をとる。
「ルドヴィク様。お腹の子がセレーネ様に怯えていますわ」
そして、ルドヴィク様のことも『陛下』ではなく、名で呼ぶ。
すでに二人は親しい仲なのだとわかった。
「セレーネ様は、わたくしを殺そうとしているのです!」
「それは、本当か?」
ルドヴィク様は冷たい目を私に向けた。
「そんなこと思っていません!」
「ルドヴィク様。わたくしのお腹の中の子が、セレーネ様の心を読みましたわ。『デルフィーナは夫を奪った。殺してしまいたい』と思っています!」
「なんだと!」
デルフィーナはルドヴィク様を名前で呼び、私を王妃と呼ばない。
身内同然の待遇を約束されているのだろう。
私に告げる前に、すべて準備されいたのだ。
――いいえ。今、たくらんだことではないわ、
私が王妃に選ばれた日から、デルフィーナずっと王妃の座を狙っていたのだ。
少しずつルドヴィク様に近寄り、私に気づかれないように。
私から、なにもかも奪おうと決めて――
「ルドヴィク様! わたくしと子供をセレーネ様から、守ってください!」
「わかった。セレーネ、お前はしばらく離宮に行け」
ルドヴィク様はあっさり私を捨てた。
王宮にデルフィーナを残し、私を離宮へ行くよう命じたのだ。
「待って下さい。私は王妃です! 王妃を離宮へやるなど、前代未聞ではありませんか!」
「王の子になにかあっては困りますもの」
私がデルフィーナに危害を加えるとでも、思われているのだろうか。
「セレーネがどうしても王宮に残りたいというのなら、わたくしの部屋から、一番遠い部屋にしてください」
デルフィーナのお腹に子供がいる限り、私は心を読まれてしまう。
そして、私の心を伝える――それも、偽って。
でも、心を読める子供を身ごもっているなら、それは真実として、ルドヴィク様の耳に届く。
ルドヴィク様だけではない。
周囲の人間に、私がデルフィーナと子供を殺そうとしている恐ろしい女だと偽ることも可能なのだ。
「お腹の子が『デルフィーナが憎いと聞こえる』……そう訴えています」
「セレーネ。今すぐこの場から立ち去れ。デルフィーナの前に姿を現すな」
「ルドヴィク様。正しくは、わたくしと子供の前からですわ」
「ああ、そうか」
昨日まで、私に向けられていたルドヴィク様の笑顔が、デルフィーナに向けられている。
幸せそうな二人。
私という妻がここにいるのに、なぜ平気でいられるのだろう。
声が震えた。
「ルドヴィク様……私はあなたの妻ではないのですか……」
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――デルフィーナはルドヴィク様の愛情だけでなく、私から王妃の地位まで奪うの?
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