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危険な木の実がポンポン投げられる(31話)
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見せ物になっている彼らは居心地が悪そうだった。忙しなく動き、タルトを見ることに満足したのだろう。つぶらな瞳をオッカに向け、小さな手を差し伸べた。これに対してオッカは威嚇する。どういう状況なのだろうか。ピコンッピコンッと電子音が聞こえてきたので、スマホを見た。
『今度はちゃんと読めよ、アホ。失礼いたしました。少々汚い言葉遣いとなりました。さて、リッチリスが現在している行為はおねだりです。今回はタルト様を気に入ったため、欲しいということですね。差し上げることができなければ攻撃されます。ご注意を』
「え? タルトが欲しい? うん? あ、えっ? なるほど? うーん??」
混乱中。横目でリスがオッカたちに木の実を投げつけているのを見た。その実は爆発。まともに喰らったら火傷どころではすまなそうだ。また、勢いよくタックルしている姿も見られた。オッカたちはその攻撃を華麗に避ける。過激な子だったようだ。その事実に目を背けたくなった。そこでスマホの言葉をもう1度見る。文字が残っていて良かった。あのリスはタルトを気に入っている。僕はあのリスが欲しい。それなら、引き込むことは案外簡単ではないだろうか。
「なあ、そこのリス。オッカを攻撃してもキラキラは手に入らないぞ。なぜなら、僕が彼らの主人だからだ!」
僕の堂々とした声が聞こえたのか、金色のリスの動きは止まった。一瞬だけ。その後すぐに、リスは僕に向かって木の実を投げてきた。その実は僕の近くに落ちる。もし言葉を理解しているのなら説得できそうだという希望を持ちながら、落ちている実から離れた。とはいえ、木の実は次々と投げられてきている。どこに隠し持っているのか、と不思議に思った。
「えっとな、ちょっと待て! 突っ込んでくるなよ!?」
止まらない攻撃の嵐に辟易する。当たったら怪我は免れない。そのため、必死に逃げた。
「あのな! お前が僕たちと一緒に来ればあのキラキラ輝いている蝶と一緒に入れるんだよ。お前は好きなものといれるし、僕は欲しいお前を手に入れることができる。お互いにとって悪い話じゃないだろう?」
再び立ち止まったリス。僕の声は届いたと内心ほくそ笑んでいた。説得は成功だと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。とことこ歩いてきたリスは僕に向かって木の実をポンポンと投げてくる。
「なんで!?」
もしかして、話は通じていないのか。僕が抱いていたのは淡い期待だったのか。それなら、喋ったら動きが止まったのはなぜだろうか。わけがわからない。考えているうちに数多くの木の実が一気に爆発した。僕もオッカたちもその実から離れていたため、それに巻き込まれることはなかった。ただ、その大きな音であるものたちが寄ってきてしまった。
『今度はちゃんと読めよ、アホ。失礼いたしました。少々汚い言葉遣いとなりました。さて、リッチリスが現在している行為はおねだりです。今回はタルト様を気に入ったため、欲しいということですね。差し上げることができなければ攻撃されます。ご注意を』
「え? タルトが欲しい? うん? あ、えっ? なるほど? うーん??」
混乱中。横目でリスがオッカたちに木の実を投げつけているのを見た。その実は爆発。まともに喰らったら火傷どころではすまなそうだ。また、勢いよくタックルしている姿も見られた。オッカたちはその攻撃を華麗に避ける。過激な子だったようだ。その事実に目を背けたくなった。そこでスマホの言葉をもう1度見る。文字が残っていて良かった。あのリスはタルトを気に入っている。僕はあのリスが欲しい。それなら、引き込むことは案外簡単ではないだろうか。
「なあ、そこのリス。オッカを攻撃してもキラキラは手に入らないぞ。なぜなら、僕が彼らの主人だからだ!」
僕の堂々とした声が聞こえたのか、金色のリスの動きは止まった。一瞬だけ。その後すぐに、リスは僕に向かって木の実を投げてきた。その実は僕の近くに落ちる。もし言葉を理解しているのなら説得できそうだという希望を持ちながら、落ちている実から離れた。とはいえ、木の実は次々と投げられてきている。どこに隠し持っているのか、と不思議に思った。
「えっとな、ちょっと待て! 突っ込んでくるなよ!?」
止まらない攻撃の嵐に辟易する。当たったら怪我は免れない。そのため、必死に逃げた。
「あのな! お前が僕たちと一緒に来ればあのキラキラ輝いている蝶と一緒に入れるんだよ。お前は好きなものといれるし、僕は欲しいお前を手に入れることができる。お互いにとって悪い話じゃないだろう?」
再び立ち止まったリス。僕の声は届いたと内心ほくそ笑んでいた。説得は成功だと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。とことこ歩いてきたリスは僕に向かって木の実をポンポンと投げてくる。
「なんで!?」
もしかして、話は通じていないのか。僕が抱いていたのは淡い期待だったのか。それなら、喋ったら動きが止まったのはなぜだろうか。わけがわからない。考えているうちに数多くの木の実が一気に爆発した。僕もオッカたちもその実から離れていたため、それに巻き込まれることはなかった。ただ、その大きな音であるものたちが寄ってきてしまった。
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