目が覚めたらゲームの世界にいるようです―帰るためにゲームクリアを目指す!!―

月詠世理

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辛辣な小人に会ってネガティブモード(9話)

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「他の窓口にも小人がいるんですか?」
「いる。てか、小人を知らないなんてずいぶん遠くから来たんだな」
「あはははは」

 何と答えたらいいかわからず、苦笑いになった。小人の声は聞こえてくるが、顔は見えない。表情が気になる。感情が読み取れるかもしれないので、見えないよりは見える方が話しやすい。

「で? ここに何しにきたんだ?」
「あー、えーと、ここに行けと言われただけで考えてなかったんですよね」
「人に言われて来ただけで自分の意思を持ってないとはなさけない。自分で考えて行動して見たらどうだ?」

 胸が痛くなる言葉だ。ただ、僕は僕の意思関係なくゲームの世界(現実らしい)に来てしまった人間。そんなことを言われても困る。スマホの導きに従う他の道はないのだから。

「僕にも事情があるんです。お金も持たされず、放り出されて死ぬか生きるかの闘いを繰り広げて、ここまで来たんでますよ?」
「なるほど。見捨てられて行き着いた場所がここか。主のような者には救いであろうな。……試験クエストさえ合格すればだが」

 見捨てられたといえばそうなのかもしれない。あの変な異音とともに文字で伝えてきた何者かは助けてくれたところもあったが、手厚いサポートをしてくれたわけではない。道具をくれたり、服装を変更してくれたり、体力1を10に回復してくれたりしたけれど、もっとできることあっただろと思う。追加を要求したい。小人のある一言に気を取られて、最後に言っていた何かを聞いていなかった。重要なことであれば隠さず伝えるはずなので、たいして重要な話ではなかったのだろう。

「それで、僕みたいな見捨てられた自分の意思も薄弱なアホ人間がこの事務所だと何ができるんですか?」
「急なネガティブだな、おい。我、主に何かしたか?」
「小人さんが僕に言いました。見捨てられた自分の意思がない情けない頭の弱いアホな人間だと」
「たしかに言ったこともあるが、さりげなく我が発言してない言葉も混ぜるな! ええいっ!! 我フーラが1番で行う手続きをめんどくさがらずにやってやろう」
「わー、よろしくお願いします」
「お主、情緒不安定すぎないか? それに、そのやる気のない返事はどうにかならんものか」

 どうにもなりません。僕、何にも悪くない。

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