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手続き1つで騒ぎが起きた(10話)
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自分ダメだなモードになっている僕。開き直ってるとも思われる態度をとっているかもしれないが、そんなすぐに気持ちを切り替えるのは無理なことだ。ただ手続きを率先して行ってくれるのは大変ありがたい。手間は省けるし、頼まれてくれるのならお願いしよう。
「主、門番にペラッペラッの紙渡されただろう? それを出せ」
「フーラさん、言い方雑すぎませんか? 通行証(仮)は失くしたら捕まるからと言われて、怯えて大事に大事に持っておきました」
「通じるのなら良いのだ。さっさと出せ。あれには名前とか性別とかが載ってるから手続きに必要なんだよ」
身分証のようなものか。僕は懐から通行証(仮)を取り出して、フーラさんに渡す。フーラさんは小さな小さな体で素早く動いているみたいだ。動きに合わせて青い帽子がゆらゆら揺れていることしかわからない。机の上に小さなものを置いているようだけれど。
「おい、ジロジロ見るな。やりづらい」
「何してるか気になってるんですよ」
「紙に書き込んでるだけだ。珍しいことはないだろう? 鬱陶しいからコッチ見るな!」
フーラさんのおかげで疑問は解決したが、待っていて他にできることはないのに無茶振りだ。小人サイズの紙が見にくいなら、その紙に書かれている文字を見るのはもっと困難だ。突然、フーラさんは机から飛び降りた。どこからか悲鳴が上がる。
「うわぁぁぁぁぁぁん!! フーラさん印返して~~!! イールの仕事ができなくなっちゃうぅぅぅぅぅぅ!!」
「うるせーぞ。数分借りるだけだ。騒ぐな。終わったら返す」
「困ります。困りますぅぅぅぅぅぅぅ」
どうやらフーラさんがイールさんから何かを奪ったようだ。いなくなったフーラさんが戻ってきた。輝きを放つものを持っている。
「チィ、これで手続き完了だ。1番窓口でしか付けられない印を我が付けてやったのだ。感謝しろよ。ほれ」
小さかった紙が大きくなっている。驚きながら僕はそれを受け取った。紙に合わせて文字も大きくなっているため、読めるようになっている。
「わっ! ありがとう。それより叫んでるよ?」
灰色の帽子を被った小人が机に乗っていた。帽子は激しく動いている。
「早く返して~~!!」
「チィ、無視でいい。今日はもう遅いからここに泊まっていけ。部屋を用意してやる」
休める場所を用意してもらえるのなら、その言葉に甘えよう。疲れた。もう1人の小人を無視できそうにないけれど。
「うわぁぁぁぁん! 早く返してよ!!」
「うるせーー!! もう終わったから返す」
輝きを放つ物が浮かび上がる。その物のところにいったのは灰色帽子の小人。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 投げないでぇぇぇぇぇぇ!! 今はこれ1つしかないんだから丁重に扱ってよぉぉぉぉ!!」
「知るか。我はチィを案内するのだ。イールは元の場所に戻れ。邪魔だ」
「フーラが盗っていくからとり戻しにきたの!! 自己中バカ!!」
悪口を言い、フーラさんにぶつかって机から去っていったように見えた。イールさんは大きな悲鳴ばかり上げていたように思う。
「人をバカ呼ばわりするとは失礼なやつだ。また今度同じことをやってやろう」
僕は手続きがフーラさんのところだけで完了したのは助かったけれど、イールさんにとったら迷惑なことなのだろう。文句を言われても仕方ない気がした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
突然、遠くから悲鳴が聞こえてきた。きっとイールさんのものだろう。
「ふんっ! 我を貶すからだぞ」
意味深なフーラさんの発言。恐る恐る尋ねる。
「何かしたの?」
「器の広い我が癇に障ったとはいえ、すぐにイールなんぞに報復するわけがなかろう。どうせ書類作成に失敗でもしたんだろう。我が印を拝借した去り際に2つの書類の位置を入れ替えておいたからな。……良いことをしたものだ」
満足げに呟いていたけれど、仕事の邪魔をするのは良くないと思う。
「フーラさんはいつもイールさんに意地悪してるの?」
「我はやつに叩かれたり、奴のせいでら怒られたりしている。お互い様だ。イールのことはどうでもよい。チィが泊まる部屋に案内するぞ。代金は後払いでよいからな」
「お金取るの!?」
後払いって僕お金持ってないって言ったはずだよ。フーラさんってもしかして人を虐めるのが好きな人なんだろうか。知らずに借金を背負った僕はげっそりしていたと思うが、身体の疲れからか部屋に着いてベッドに寝転がったらすぐに寝てしまった。まだ、説明されてなかったことが多くあったのは、翌日フーラさんに起こされて知るのである。
「主、門番にペラッペラッの紙渡されただろう? それを出せ」
「フーラさん、言い方雑すぎませんか? 通行証(仮)は失くしたら捕まるからと言われて、怯えて大事に大事に持っておきました」
「通じるのなら良いのだ。さっさと出せ。あれには名前とか性別とかが載ってるから手続きに必要なんだよ」
身分証のようなものか。僕は懐から通行証(仮)を取り出して、フーラさんに渡す。フーラさんは小さな小さな体で素早く動いているみたいだ。動きに合わせて青い帽子がゆらゆら揺れていることしかわからない。机の上に小さなものを置いているようだけれど。
「おい、ジロジロ見るな。やりづらい」
「何してるか気になってるんですよ」
「紙に書き込んでるだけだ。珍しいことはないだろう? 鬱陶しいからコッチ見るな!」
フーラさんのおかげで疑問は解決したが、待っていて他にできることはないのに無茶振りだ。小人サイズの紙が見にくいなら、その紙に書かれている文字を見るのはもっと困難だ。突然、フーラさんは机から飛び降りた。どこからか悲鳴が上がる。
「うわぁぁぁぁぁぁん!! フーラさん印返して~~!! イールの仕事ができなくなっちゃうぅぅぅぅぅぅ!!」
「うるせーぞ。数分借りるだけだ。騒ぐな。終わったら返す」
「困ります。困りますぅぅぅぅぅぅぅ」
どうやらフーラさんがイールさんから何かを奪ったようだ。いなくなったフーラさんが戻ってきた。輝きを放つものを持っている。
「チィ、これで手続き完了だ。1番窓口でしか付けられない印を我が付けてやったのだ。感謝しろよ。ほれ」
小さかった紙が大きくなっている。驚きながら僕はそれを受け取った。紙に合わせて文字も大きくなっているため、読めるようになっている。
「わっ! ありがとう。それより叫んでるよ?」
灰色の帽子を被った小人が机に乗っていた。帽子は激しく動いている。
「早く返して~~!!」
「チィ、無視でいい。今日はもう遅いからここに泊まっていけ。部屋を用意してやる」
休める場所を用意してもらえるのなら、その言葉に甘えよう。疲れた。もう1人の小人を無視できそうにないけれど。
「うわぁぁぁぁん! 早く返してよ!!」
「うるせーー!! もう終わったから返す」
輝きを放つ物が浮かび上がる。その物のところにいったのは灰色帽子の小人。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 投げないでぇぇぇぇぇぇ!! 今はこれ1つしかないんだから丁重に扱ってよぉぉぉぉ!!」
「知るか。我はチィを案内するのだ。イールは元の場所に戻れ。邪魔だ」
「フーラが盗っていくからとり戻しにきたの!! 自己中バカ!!」
悪口を言い、フーラさんにぶつかって机から去っていったように見えた。イールさんは大きな悲鳴ばかり上げていたように思う。
「人をバカ呼ばわりするとは失礼なやつだ。また今度同じことをやってやろう」
僕は手続きがフーラさんのところだけで完了したのは助かったけれど、イールさんにとったら迷惑なことなのだろう。文句を言われても仕方ない気がした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
突然、遠くから悲鳴が聞こえてきた。きっとイールさんのものだろう。
「ふんっ! 我を貶すからだぞ」
意味深なフーラさんの発言。恐る恐る尋ねる。
「何かしたの?」
「器の広い我が癇に障ったとはいえ、すぐにイールなんぞに報復するわけがなかろう。どうせ書類作成に失敗でもしたんだろう。我が印を拝借した去り際に2つの書類の位置を入れ替えておいたからな。……良いことをしたものだ」
満足げに呟いていたけれど、仕事の邪魔をするのは良くないと思う。
「フーラさんはいつもイールさんに意地悪してるの?」
「我はやつに叩かれたり、奴のせいでら怒られたりしている。お互い様だ。イールのことはどうでもよい。チィが泊まる部屋に案内するぞ。代金は後払いでよいからな」
「お金取るの!?」
後払いって僕お金持ってないって言ったはずだよ。フーラさんってもしかして人を虐めるのが好きな人なんだろうか。知らずに借金を背負った僕はげっそりしていたと思うが、身体の疲れからか部屋に着いてベッドに寝転がったらすぐに寝てしまった。まだ、説明されてなかったことが多くあったのは、翌日フーラさんに起こされて知るのである。
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