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第二章 淫紋をぼくめつしたい
キスしてほしい⑪
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「ひっく、うっ。うえっ……!」
閉め切った被服室に、シゲルの嗚咽が響く。
シゲルは、俺のものを正面から受け入れながら、激しくしゃくりあげとる。その度に、薄い胸が壊れそうにバウンドした。
「シゲル……そんな、泣かんと」
「うぅー……っ」
抵抗をやめたかわりに、シゲルはずっと泣き通していた。両腕で目を覆って、僅かに見える真っ赤な頬にまで涙が伝っとる。
真っ白い両脚の間に陣取って、俺はやり切れへん思いでいっぱいやった。
――これで、良かったんか……ホンマに?
シゲルの体内に潜らせたものを、そっと動かす。律動に合わせて、くちゅくちゅと水音が立ち、嗚咽に混ざった。シゲルも、「あぁっ」と甘い吐息を漏らし、内ももをぴくぴく震わせる。
身体は、素直に反応してくれる。
せやけど、その度――余計に辛そうに、シゲルは泣きじゃくるんや。
「ひっ、うぐぅ……ふぇっ」
「なあ、シゲル……いやでも、仕方ないやんか。これ以外……」
思わず、口から弱り切った声が漏れる。
これ以外に、手立てはないんや。お互いにわかっとるはずやし、俺も止める気はない。
奥に腰を進めると、シゲルは「うっ」と呻きながら、のけぞった。ゆっくりとナカを擦ると、じゅぶじゅぶと愛液が溢れてくる。出し入れの度、シゲルは小さく腰を捩っていた。
「あう……ふっ、うう、う……」
嗚咽に甘いものが混じりだす。このまま、とにかく終わったらええ。そう思った。
――けど。
「ふえ……?」
急に動きを止めた俺に、シゲルが不思議そうな声を上げる。
俺は、普通の男やから。
好きな子に、ここまで泣かれて迷わずにはおれへん。
「ごめん……」
自己嫌悪で死にそうになっとったら、シゲルが「ひっく」と大きくしゃくりあげた。
「ちがう……はるみぃ」
「え?」
シゲルが、こっちに腕を伸ばしてくる。
とっさに屈むと、体を思い切り引き寄せられて、胸がぴたっと重なった。下におるシゲルを潰さんように、慌てて腕を立てる。
「ど、どうしたんや?」
「ちがうねん……! 晴海とちゃう!」
「シゲル? どういう……」
顔を覗き込むと、真っ赤に潤んだ目が見上げてくる。
「おれ、じぶんがいやなん……だって、ふつうにしたいのに。ご飯食べてただけでっ……さっきも喧嘩してたのに、急にハァハァしてっ……恥ずかしい……!」
「……っ!」
俺は、はっと息を飲む。シゲルは真っ赤な顔で、堰を切ったように話続ける。
「エッチも、まだ恥ずかしいし、怖いんやもん……! だ、だって、キスもしたこと、無かったのにっ。仕方ないやんかっ……!」
「ああ……」
涙に濡れた頬を、指でそっと撫でる。シゲルは、ずびっと大きく鼻を啜りあげた。
「お、お前にも、迷惑、かけとるってしってるよ……! けど、怖いねん。どうもならんねんもん……!」
叫ぶように言うと、シゲルは「わあん」と大きな声を上げて、泣き出してしまった。
俺は愕然としながら、シゲルの頭をそっと引き寄せた。
「うわああん……!」
「よし、よし……ごめんなあ、シゲル……!」
シゲルは泣きながら、ぎゅっとしがみついてくる。たまらん気持ちで、必死に肩や背を擦った。
――俺は、何てアホなんや。
上杉らに、「シゲルは純情やから」て言うといて。自分が一番、わかってへんやないか。
シゲルは、無邪気で純情で。びっくりするくらい、奥手な子なんやから。
いくら、治療のためであっても――セックスすること自体に、恐怖や戸惑いを覚えへんわけないのに。
――晴海ぃ、恥ずかしい……。
思えば、シゲルはいっつも、泣いてたやないか。
せやのに俺は、治療ばっかに気を取られて。
いっちばん大事な、シゲルの気持ちを無視しとったんや。
「シゲル、ごめんなあ。辛かったな……」
慙愧の念で、涙が滲む。
すると、シゲルはぶんぶん首を振った。
「晴海は悪ないっ。お前がおれの為に、頑張ってくれてんのに……おれが、わがままやからっ……」
「何でや、当たり前やんか。わがままとちゃう!」
「でもっ……」
強く言い切るも、シゲルは苦し気に頭を振り続ける。
俺に申し訳ないと、泣いとる。
そんなことはないと、伝えたくて――とっさに動いていた。
「ん……っ!」
涙に濡れた唇を、俺のそれで塞ぐ。
ふに、と唇がくっついた途端、シゲルがびくっと肩を跳ねさせる。
言葉が意味をなさんなら――もう、キスしかない、と思った。
――シゲル、大好きや。
こればかり伝わるように、何度も唇を重ねた。やわらかな唇を、俺ので優しく挟むうちに、腕の中の体から力が抜けていく。
「ふぁ……っ」
「シゲル……」
やっと顔を上げたときには、シゲルは真っ赤な顔で浅い息を吐いていた。
はちみつ色の目から、ぽろりと涙が落ちたのに、俺はぎょっとする。
「――す、すまん! つい……!」
「ううん。嬉しい……」
「えっ……」
飛びのこうとした俺を、シゲルが引き留める。
シゲルは真っ赤な顔をほころばせて、かわいく笑っていた。その眼に恐れていた恐怖はなく――むしろ、とろんと潤んどる。
「い、嫌やなかった?」
「うんっ」
と――俺の腰をはさむ足が、もじもじと動く。求めるような仕草に、ハッとした。いれてから、かなりの時間が経ってて。シゲルの体が、限界を訴えとるんかもしれん。
――何とかしてやらな。けど、辛いって聞いたばっかやぞ……。
躊躇しとる俺に気づいたんか、シゲルが俺の手に手を重ねる。
「はるみ、して……」
「でもお前……ええんか?」
「うん。……で、でもな、いっこお願いしてもいい?」
「おう」
シゲルは、じっと甘い目で俺を見つめた。
「いっぱい、キスしてほしい……そしたら、怖くなくなるから」
そう言って、シゲルは唇を丸く尖らせた。
その顔に、俺は何とも言えん胸の高鳴りと、強いデジャブを覚える。
「あ!」
前に、授業サボってセックスしたとき。ここ数日、無邪気に甘えてみせながら――じっと見つめてくるときの、シゲルと同じや。
――そうか。シゲルは、ずっと俺を待っててくれてたんやなあ……。
俺って、ホンマに鈍いわ。
と、やわらかい唇に口づけながら。夢見心地に、俺は思った。
閉め切った被服室に、シゲルの嗚咽が響く。
シゲルは、俺のものを正面から受け入れながら、激しくしゃくりあげとる。その度に、薄い胸が壊れそうにバウンドした。
「シゲル……そんな、泣かんと」
「うぅー……っ」
抵抗をやめたかわりに、シゲルはずっと泣き通していた。両腕で目を覆って、僅かに見える真っ赤な頬にまで涙が伝っとる。
真っ白い両脚の間に陣取って、俺はやり切れへん思いでいっぱいやった。
――これで、良かったんか……ホンマに?
シゲルの体内に潜らせたものを、そっと動かす。律動に合わせて、くちゅくちゅと水音が立ち、嗚咽に混ざった。シゲルも、「あぁっ」と甘い吐息を漏らし、内ももをぴくぴく震わせる。
身体は、素直に反応してくれる。
せやけど、その度――余計に辛そうに、シゲルは泣きじゃくるんや。
「ひっ、うぐぅ……ふぇっ」
「なあ、シゲル……いやでも、仕方ないやんか。これ以外……」
思わず、口から弱り切った声が漏れる。
これ以外に、手立てはないんや。お互いにわかっとるはずやし、俺も止める気はない。
奥に腰を進めると、シゲルは「うっ」と呻きながら、のけぞった。ゆっくりとナカを擦ると、じゅぶじゅぶと愛液が溢れてくる。出し入れの度、シゲルは小さく腰を捩っていた。
「あう……ふっ、うう、う……」
嗚咽に甘いものが混じりだす。このまま、とにかく終わったらええ。そう思った。
――けど。
「ふえ……?」
急に動きを止めた俺に、シゲルが不思議そうな声を上げる。
俺は、普通の男やから。
好きな子に、ここまで泣かれて迷わずにはおれへん。
「ごめん……」
自己嫌悪で死にそうになっとったら、シゲルが「ひっく」と大きくしゃくりあげた。
「ちがう……はるみぃ」
「え?」
シゲルが、こっちに腕を伸ばしてくる。
とっさに屈むと、体を思い切り引き寄せられて、胸がぴたっと重なった。下におるシゲルを潰さんように、慌てて腕を立てる。
「ど、どうしたんや?」
「ちがうねん……! 晴海とちゃう!」
「シゲル? どういう……」
顔を覗き込むと、真っ赤に潤んだ目が見上げてくる。
「おれ、じぶんがいやなん……だって、ふつうにしたいのに。ご飯食べてただけでっ……さっきも喧嘩してたのに、急にハァハァしてっ……恥ずかしい……!」
「……っ!」
俺は、はっと息を飲む。シゲルは真っ赤な顔で、堰を切ったように話続ける。
「エッチも、まだ恥ずかしいし、怖いんやもん……! だ、だって、キスもしたこと、無かったのにっ。仕方ないやんかっ……!」
「ああ……」
涙に濡れた頬を、指でそっと撫でる。シゲルは、ずびっと大きく鼻を啜りあげた。
「お、お前にも、迷惑、かけとるってしってるよ……! けど、怖いねん。どうもならんねんもん……!」
叫ぶように言うと、シゲルは「わあん」と大きな声を上げて、泣き出してしまった。
俺は愕然としながら、シゲルの頭をそっと引き寄せた。
「うわああん……!」
「よし、よし……ごめんなあ、シゲル……!」
シゲルは泣きながら、ぎゅっとしがみついてくる。たまらん気持ちで、必死に肩や背を擦った。
――俺は、何てアホなんや。
上杉らに、「シゲルは純情やから」て言うといて。自分が一番、わかってへんやないか。
シゲルは、無邪気で純情で。びっくりするくらい、奥手な子なんやから。
いくら、治療のためであっても――セックスすること自体に、恐怖や戸惑いを覚えへんわけないのに。
――晴海ぃ、恥ずかしい……。
思えば、シゲルはいっつも、泣いてたやないか。
せやのに俺は、治療ばっかに気を取られて。
いっちばん大事な、シゲルの気持ちを無視しとったんや。
「シゲル、ごめんなあ。辛かったな……」
慙愧の念で、涙が滲む。
すると、シゲルはぶんぶん首を振った。
「晴海は悪ないっ。お前がおれの為に、頑張ってくれてんのに……おれが、わがままやからっ……」
「何でや、当たり前やんか。わがままとちゃう!」
「でもっ……」
強く言い切るも、シゲルは苦し気に頭を振り続ける。
俺に申し訳ないと、泣いとる。
そんなことはないと、伝えたくて――とっさに動いていた。
「ん……っ!」
涙に濡れた唇を、俺のそれで塞ぐ。
ふに、と唇がくっついた途端、シゲルがびくっと肩を跳ねさせる。
言葉が意味をなさんなら――もう、キスしかない、と思った。
――シゲル、大好きや。
こればかり伝わるように、何度も唇を重ねた。やわらかな唇を、俺ので優しく挟むうちに、腕の中の体から力が抜けていく。
「ふぁ……っ」
「シゲル……」
やっと顔を上げたときには、シゲルは真っ赤な顔で浅い息を吐いていた。
はちみつ色の目から、ぽろりと涙が落ちたのに、俺はぎょっとする。
「――す、すまん! つい……!」
「ううん。嬉しい……」
「えっ……」
飛びのこうとした俺を、シゲルが引き留める。
シゲルは真っ赤な顔をほころばせて、かわいく笑っていた。その眼に恐れていた恐怖はなく――むしろ、とろんと潤んどる。
「い、嫌やなかった?」
「うんっ」
と――俺の腰をはさむ足が、もじもじと動く。求めるような仕草に、ハッとした。いれてから、かなりの時間が経ってて。シゲルの体が、限界を訴えとるんかもしれん。
――何とかしてやらな。けど、辛いって聞いたばっかやぞ……。
躊躇しとる俺に気づいたんか、シゲルが俺の手に手を重ねる。
「はるみ、して……」
「でもお前……ええんか?」
「うん。……で、でもな、いっこお願いしてもいい?」
「おう」
シゲルは、じっと甘い目で俺を見つめた。
「いっぱい、キスしてほしい……そしたら、怖くなくなるから」
そう言って、シゲルは唇を丸く尖らせた。
その顔に、俺は何とも言えん胸の高鳴りと、強いデジャブを覚える。
「あ!」
前に、授業サボってセックスしたとき。ここ数日、無邪気に甘えてみせながら――じっと見つめてくるときの、シゲルと同じや。
――そうか。シゲルは、ずっと俺を待っててくれてたんやなあ……。
俺って、ホンマに鈍いわ。
と、やわらかい唇に口づけながら。夢見心地に、俺は思った。
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