俺は魔法使いの息子らしい。

高穂もか

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第一部 決闘大会編

百六十七話

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「ところでさ、吉村くん。あれから変態は来た?」

 二見にたずねられ、俺はサムズアップする。

「来てねぇ! おかげさまで快眠だぜ!」

 この週末、あの「腕」は来なかった。
 先輩たちがずっと側にいてくれるから、それで犯人も恐れをなしたのかもしれない。

「よかったぁ」
「そっか! そのまま諦めてくれるといいけど。まあ、一応用心はしててよね」

 イノリも、二見も喜んでくれた。
 俺自身、本当にほっとしたし、皆が助けてくれたおかげだと思う。また俺も、皆に恩返しできるように頑張んなきゃだぜ。
 そのあと、聴取の日の段取りを話して、解散した。
 二見は、「姫岡先輩の聴取は風紀ですることにした」って言ってた。風紀に知られていいのか? って聞いたら、

「ホントは、姫岡を逮捕できるかわかんない以上、ことを急ぎたくないんだよ。でも、「腕」のやつにやりにくいって思わせなきゃだから、抑止力のために仕方ないし。なら、草一さんとか信頼できる人に、情報共有した方がいいからさ。――それに、姫岡と内部犯が繋がってるなら、姫岡をつついた時点で結局バレるしね」

 と、残念そうに肩を竦めていた。
 そのかわり、分けたサシェを絶対に無くさないようにして欲しいって。イノリも俺も、深く頷いた。




 午後のテストは、ハッキリ言って両極端だった。
 葛城先生の魔法格闘はさ、自分でも手ごたえありって思った。
 なんと、げんそくん4号を倒せたんだ!
 授業中に、何回か闘う機会があったのが、功を奏したんだと思う。サイズ・スピードにビビらずに、立ち向かえたからさ。こうなっては、けしかけてきた柏木にも感謝かも。なはは!

「吉村、よくやった! コントロールと元素の選択はイマイチだが、ガッツは認めよう」

 ぶっ倒れた4号を前にバンザイしてたら、葛城先生が褒めてくれた。
 戦い方が重要なのであって、倒すだけじゃダメだって言われてるけど。やっぱ、勝てると嬉しいもんだよな。
 まだ課題はあるけども、決闘大会に向けて、良い弾みがつけれて嬉しい。


 ってとこまでが、良かった方の話。
 逆に、魔法術式の試験では、やばかった。

「吉村くん、君は本当にいい加減にしなさい」
「すみません」

 米神を引きつらせてる高柳先生に、俺は深々と頭を下げた。
 俺はまたしても、蝋燭を全部ドロドロにしてしまったのだ。そのおかげで、燭台はアツアツドロドロ。試験の進行を大いに妨げて、高柳先生はブチ切れていた。
 そんで今は、罰として命じられた教室の後片付けの真っ最中ってワケ。

「よいしょ、よいしょ」

 それにしても、と燭台を拭きながら思う。
 俺ときたら、なんで点火がうまくいかないんだろうなあ。一番最初のときはさ、そもそも元素のありかがわかってなかったから、問題外ってやつだけど。
 今は違うじゃん。イノリに、元素を起こしてもらってあるし。体だってアツアツになるから、火の元素を感じられてないってこたあねえと思う。

「我が身に宿る火の元素よ。彼の気と結び、蝋燭に火を点させよ」

 呪文だって、ちゃんと詠じられる。――なのに、なんで火が点かねえんだろう?
 俺は、「ううむ」と考え込む。
 別に、点火の習得は急ぎじゃない
 決闘大会で、点火の機会があるかって言うと、無いとは思うし。だってそう簡単に、他人に火とか点けれなくね? 焼けたら痛いですまねえもん。
 それとは別に、出来るようになりてえんだよなあ。
 せっかく魔法使いなんだし、指から火出してタバコに火とかつけてえよ。タバコ、吸ったときねえし、吸う知り合いもいねえけど。


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