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第10章 位相編
奇妙
しおりを挟む位相空間に皆を閉じ込めたのは、あの空間異能者。
俺を過去へと送ったのも彼だ。
だというのに、どういうわけか彼を軽視していた。
吾妻だけにかかりっきりになっていた。
俺だけじゃない、武上も古野白さんもだ。
既に吾妻とは戦闘状態に陥っていたのだから、やむを得ない部分は確かにあるだろう。が、それでも空間異能者をここまで放置するのは?
どう考えても、普通じゃない。
何かがおかしいぞ。
「有馬君?」
「どうした?」
「……奇妙だと思わないか?」
「何がだ?」
「それは……」
この違和感、2人が空間異能者を軽視していた異常さを、ここで話して伝わるものなのか?
「有馬君、どうしたの? 何か問題でもあるの?」
悩んでいても仕方ない。
とりあえず、話さないと始まらないな。
「空間異能者を皆が軽視していた理由を考えていた」
「あいつのことを?」
「軽視?」
2人とも不思議そうな表情をしている。
「空間異能者については、吾妻の後に倒そうと考えていたのだけれど」
「おう、軽視していたわけじゃねえぞ」
やっぱり、こういう反応になるよな。
なら、どう話すべきか?
ん?
これは?
間違いない。
空間異能者が現れようとしている。
「有馬?」
「くるぞ!」
「また現れんのか?」
「ああ」
次は……そっちか。
駆け出した俺の後ろからついて来る武上。
「あそこだ」
俺の指さした前方に、吾妻を背負った空間異能者が現れた。
「ちっ、遠いじゃねえか」
今回はこれまでと異なり、50メートル以上は離れているだろう。
かなり距離がある。
「あんなとこに現れて、あいつ、どうする気だ?」
分からない。
が、何か企んでいるのなら、その前に叩きつぶすだけ。
「先に行くぞ」
並走する武上の走力は大したもの。
ただ、ここはもう一段上げさせてもらおう。
「おまっ、ちょっと待てって」
一気に加速して、空間異能者のもとへ。
残る距離は20メートル。
空間異能者は動かない。
あと10メートル。
まだ動かない。
あいつ、何を考えている?
また消えるつもりか?
なら、その前に一撃を!
5メートル。
次の一歩で間合いだ。
よし!
「!?」
気が変わった?
冴え冴えと重みを増した大気が俺の前に立ち塞がっている。
そして……。
質感を持った空気が体に纏わりつき。
「……」
動きを止められてしまった。
「有馬!?」
何がどうなっているのか理解できない。
ただ、それでも、前に進めないことだけは確か。
すぐ目の前にあいつがいるのに、近づくことができないんだ。
障壁?
結界?
俺の知るそれらとも違う。
物理的な壁があるわけじゃない。
透明な結界でもない。
精神的な障壁でもない。
腕は前に出せるし、脚も前方に運べる。
それなのに、体全体では前に進めない。
纏わりつく空気が弾力をもって体を押し留めてくる。
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*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
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