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第六章 その祈り、届かなくとも……
505 荒れ地に生きるもの
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市場に行くには西寄りに南下することになる。
問題は大連合には街道というものがないことだ。
どうも現地の人間には目印となるものがあるらしいのだが、俺たちにはさっぱりわからないので、出来れば大連合の案内人を雇いたいところだが、さて、この辺に人はいるのかな?
「フォルテ、すまないがこの辺りに人がいないか見て来てくれないか?」
「ピャ!」
『む? 何か探しているのか?』
俺がフォルテに人探しを頼むと、なぜか若葉が反応した。
なんだ? どうした?
『この雄がうるさいので、食事ついでにお前たちの求めるものを呼び寄せてやってもいいぞ?』
この雄って勇者のことか?
俺は勇者に視線を送った。
勇者は、苦々しい顔で手にした若葉を見ている。
どうやら背中から腕に降りて来たようで、若葉は首根っこをつまんでぶら下げられていた。
「なんだ?」
俺は事情を知るために勇者に問いかけることにする。
「無駄飯食いは出てけと言ったんだ」
「あー、でも若葉はあまり食料を消費してはいないけどな」
若葉の主食は魔物(魔力)なので、俺たちの食事をつまむのはあくまでも趣味の範囲らしくひと口ふた口程度のものだ。
全体に影響が出るような量ではない。
「むうっ」
勇者が面白くなさそうにむくれた。
一刻も早く若葉を追い出したいんだな、俺も気持ちはわかる。
ドラゴン連れで人が多いところに行きたくなんかないからな。
「ガフッ」『任せておけ。役に立ちそうなニンゲンを検索して引き寄せてやる』
若葉が何を言っているのか半分ぐらいわからなかったが、何かヤバいことをやろうとしていることだけは伝わった。
「いいか、若葉。人間には人間のルールがある。ドラゴンの常識で何かをやろうとするな。迷惑になる」
「ガウ?」『な、なんと? 理解し難い話だ』
「理解出来ないなら理解出来るまで何もするな。何かする前に相談してくれればアルフだってむやみにお前を嫌ったりはしないさ」
『……僕は嫌われているのか?』
「ずっと言っているだろうが! 迷惑なんだよ、早く帰れ!」
勇者は歯に衣着せずにズバリと言った。
直接的な言い方だが、ドラゴン相手なら下手な言い回しをするよりはわかりやすい言い方のほうがいいだろう。
「ガフ」『え? 嫌だけど』
「くっ、こいつ!」
勇者が手にした若葉を地面に叩きつけようとしたが、ひょいと飛んだ若葉に背中に回り込まれてしまう。
そうなったらもう若葉のペースだ。
マントの裏に潜り込んで出て来ない。
人間には背中に目がないからなぁ。
「フォルテ、頼む」
「チチチチ……ルル」
「ガルゥ……」
何やらフォルテが勝ち誇ったように若葉を挑発して飛んで行った。
お前等仲がいいのか悪いのかわからんな。
時間的にもうすぐ夜なので野営をすることにした。
フォルテは夜でもものがはっきり見えるし、疲れることがないので寝る必要もない。
任せておいていいだろう。
この日の夕食は簡単な豆粥と干し肉になった。
茶も淹れてひと息つく。
山の上だと煮炊きしたものがイマイチやわらかくならないので、加工して干してある肉を戻して作るスープが一番美味かった。
ただ俺は肉類よりも穀類や豆類のほうが好きなので、ほろっと口のなかで崩れる豆の風味がうれしい。
大量の荷物を消費するために一緒に煮込んだ薄切りの燻製肉とイモもなかなかいい組み合わせになった。
今、騎士団秘蔵のスープの元があれば最高だったのだが、まぁないものねだりをしても仕方ない。
翌朝、夜明けと共にフォルテが戻って来た。
「ピャッ!」
「かなり先のほうに人がいっぱいいるところがあると言ってる。と言うか、そこが市場なんじゃないか?」
どうやらフォルテは目的地自体を見つけて来たらしい。
「師匠、どのくらい先なんだ?」
「俺たちの足で一日半ぐらいだな。まぁ慌てる旅でもないし、ゆっくり行こう」
ということで、市場までの道をそのまま進んだ。
大連合のある大陸中央部は魔力が薄く魔物が少ない代わりに土地が痩せていて水源や動植物も少ない荒れ地であるとされている。
されているというのは、記録に残っている限りで、大連合に入り込んで戻った者がいないからだ。
大連合の人間自体が他の土地の人間を嫌うので、内部の情報が全く手に入らない。
俺とメルリルとフォルテは、天守山の邪神との戦いの余波で精霊界に飲み込まれて偶然大連合の聖地に出るという経験をした。
そのおかげでだいぶ大連合の風習を知ることとなった。
彼らは精霊を自らの身に宿すことで厳しい土地で暮らすための力を得ているらしい。
俺たち神の盟約に支えられている西部の民とも、異界の神に導かれていた東部の民とも違う独特の文化と言えるだろう。
おそらくは精霊の力で食べ物や水の在り処などを探すのではないかと思う。
戦士は精霊の力を借りて狩りを行っていたようだったしな。
「しかし、本当になんにもない土地だな。赤茶けた大地や岩山が続くばかりで植物も生き物も見当たらない」
勇者が口に入った砂を吐き出しながら悪態をつく。
「いいえ、植物はあるわ。生き物も少しだけどいるみたい」
メルリルがそんな勇者に答える。
「マジか? どの辺に?」
勇者の問いににっこり笑ったメルリルが、踊るような足取りで大きな岩の近くに寄る。
「ほらここ」
メルリルの示す部分は土がうっすらと白っぽくなっているようだった。
「へ? 普通の土にしか見えないぞ」
「これはコケの一種なの。この下のところに……」
メルリルが白っぽい土の脇のところを少し掘ると、何か土の玉のようなものが転がった。
「虫も生活しているの」
「へえー」
勇者が感心したように言う。
次の瞬間、転がった玉のような虫めがけて、素早く近づいた何かがいた。
目にも止まらぬ勢いで、虫がその生き物の口に消える。
「おわっ!」
「擬態するトカゲの一種だな。岩そっくりに擬態していたらしい」
今度は俺がそう説明した。
「擬態するトカゲというと、あの洞窟の奴を思い出すな」
「辛味トカゲか。あいつは魔力まで覆い隠して完璧な擬態だったな。トカゲの種類は擬態するものが多い。このトカゲは普通の生き物だが、魔物化していなくても毒持ちの奴もいるから気をつけないとな」
「なるほど。こういう場所にも生き物はいるのか」
その後は荒れ地の植物や生き物を探しながら進み、結局市場に到着するまで二日半かかってしまった。
まぁ急ぐ旅でもないからいいんだが。
みんな楽しそうだったしな。
問題は大連合には街道というものがないことだ。
どうも現地の人間には目印となるものがあるらしいのだが、俺たちにはさっぱりわからないので、出来れば大連合の案内人を雇いたいところだが、さて、この辺に人はいるのかな?
「フォルテ、すまないがこの辺りに人がいないか見て来てくれないか?」
「ピャ!」
『む? 何か探しているのか?』
俺がフォルテに人探しを頼むと、なぜか若葉が反応した。
なんだ? どうした?
『この雄がうるさいので、食事ついでにお前たちの求めるものを呼び寄せてやってもいいぞ?』
この雄って勇者のことか?
俺は勇者に視線を送った。
勇者は、苦々しい顔で手にした若葉を見ている。
どうやら背中から腕に降りて来たようで、若葉は首根っこをつまんでぶら下げられていた。
「なんだ?」
俺は事情を知るために勇者に問いかけることにする。
「無駄飯食いは出てけと言ったんだ」
「あー、でも若葉はあまり食料を消費してはいないけどな」
若葉の主食は魔物(魔力)なので、俺たちの食事をつまむのはあくまでも趣味の範囲らしくひと口ふた口程度のものだ。
全体に影響が出るような量ではない。
「むうっ」
勇者が面白くなさそうにむくれた。
一刻も早く若葉を追い出したいんだな、俺も気持ちはわかる。
ドラゴン連れで人が多いところに行きたくなんかないからな。
「ガフッ」『任せておけ。役に立ちそうなニンゲンを検索して引き寄せてやる』
若葉が何を言っているのか半分ぐらいわからなかったが、何かヤバいことをやろうとしていることだけは伝わった。
「いいか、若葉。人間には人間のルールがある。ドラゴンの常識で何かをやろうとするな。迷惑になる」
「ガウ?」『な、なんと? 理解し難い話だ』
「理解出来ないなら理解出来るまで何もするな。何かする前に相談してくれればアルフだってむやみにお前を嫌ったりはしないさ」
『……僕は嫌われているのか?』
「ずっと言っているだろうが! 迷惑なんだよ、早く帰れ!」
勇者は歯に衣着せずにズバリと言った。
直接的な言い方だが、ドラゴン相手なら下手な言い回しをするよりはわかりやすい言い方のほうがいいだろう。
「ガフ」『え? 嫌だけど』
「くっ、こいつ!」
勇者が手にした若葉を地面に叩きつけようとしたが、ひょいと飛んだ若葉に背中に回り込まれてしまう。
そうなったらもう若葉のペースだ。
マントの裏に潜り込んで出て来ない。
人間には背中に目がないからなぁ。
「フォルテ、頼む」
「チチチチ……ルル」
「ガルゥ……」
何やらフォルテが勝ち誇ったように若葉を挑発して飛んで行った。
お前等仲がいいのか悪いのかわからんな。
時間的にもうすぐ夜なので野営をすることにした。
フォルテは夜でもものがはっきり見えるし、疲れることがないので寝る必要もない。
任せておいていいだろう。
この日の夕食は簡単な豆粥と干し肉になった。
茶も淹れてひと息つく。
山の上だと煮炊きしたものがイマイチやわらかくならないので、加工して干してある肉を戻して作るスープが一番美味かった。
ただ俺は肉類よりも穀類や豆類のほうが好きなので、ほろっと口のなかで崩れる豆の風味がうれしい。
大量の荷物を消費するために一緒に煮込んだ薄切りの燻製肉とイモもなかなかいい組み合わせになった。
今、騎士団秘蔵のスープの元があれば最高だったのだが、まぁないものねだりをしても仕方ない。
翌朝、夜明けと共にフォルテが戻って来た。
「ピャッ!」
「かなり先のほうに人がいっぱいいるところがあると言ってる。と言うか、そこが市場なんじゃないか?」
どうやらフォルテは目的地自体を見つけて来たらしい。
「師匠、どのくらい先なんだ?」
「俺たちの足で一日半ぐらいだな。まぁ慌てる旅でもないし、ゆっくり行こう」
ということで、市場までの道をそのまま進んだ。
大連合のある大陸中央部は魔力が薄く魔物が少ない代わりに土地が痩せていて水源や動植物も少ない荒れ地であるとされている。
されているというのは、記録に残っている限りで、大連合に入り込んで戻った者がいないからだ。
大連合の人間自体が他の土地の人間を嫌うので、内部の情報が全く手に入らない。
俺とメルリルとフォルテは、天守山の邪神との戦いの余波で精霊界に飲み込まれて偶然大連合の聖地に出るという経験をした。
そのおかげでだいぶ大連合の風習を知ることとなった。
彼らは精霊を自らの身に宿すことで厳しい土地で暮らすための力を得ているらしい。
俺たち神の盟約に支えられている西部の民とも、異界の神に導かれていた東部の民とも違う独特の文化と言えるだろう。
おそらくは精霊の力で食べ物や水の在り処などを探すのではないかと思う。
戦士は精霊の力を借りて狩りを行っていたようだったしな。
「しかし、本当になんにもない土地だな。赤茶けた大地や岩山が続くばかりで植物も生き物も見当たらない」
勇者が口に入った砂を吐き出しながら悪態をつく。
「いいえ、植物はあるわ。生き物も少しだけどいるみたい」
メルリルがそんな勇者に答える。
「マジか? どの辺に?」
勇者の問いににっこり笑ったメルリルが、踊るような足取りで大きな岩の近くに寄る。
「ほらここ」
メルリルの示す部分は土がうっすらと白っぽくなっているようだった。
「へ? 普通の土にしか見えないぞ」
「これはコケの一種なの。この下のところに……」
メルリルが白っぽい土の脇のところを少し掘ると、何か土の玉のようなものが転がった。
「虫も生活しているの」
「へえー」
勇者が感心したように言う。
次の瞬間、転がった玉のような虫めがけて、素早く近づいた何かがいた。
目にも止まらぬ勢いで、虫がその生き物の口に消える。
「おわっ!」
「擬態するトカゲの一種だな。岩そっくりに擬態していたらしい」
今度は俺がそう説明した。
「擬態するトカゲというと、あの洞窟の奴を思い出すな」
「辛味トカゲか。あいつは魔力まで覆い隠して完璧な擬態だったな。トカゲの種類は擬態するものが多い。このトカゲは普通の生き物だが、魔物化していなくても毒持ちの奴もいるから気をつけないとな」
「なるほど。こういう場所にも生き物はいるのか」
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