335 / 885
第五章 破滅を招くもの
440 勇者の盟約
しおりを挟む
あまりにも唐突すぎて一瞬頭が状況に追いつかなかった。
厳しい戦いの最中には危険すぎる隙だ。
案の定、邪神シンイチロウは、その隙をついて俺に向かって何かを吐き出した。
赤い液状のものが避けようもない広範囲に広がる。
「くっ!」
『もー、まだ話をしてるのに割り込むのはマナー違反だよ!』
若葉の声の響きが頭を揺さぶるが、耐えられない程ではない。
飛んで来た危険物に対処しようと、その方向を見ていた俺は、邪神の攻撃が跡形もなく消え去ったのを目撃してしまった。
どうやら邪神などと息巻いているシンイチロウだが、ドラゴンとは格が違うようだ。
『ドラゴン! そこにいるのはドラゴンか!』
突然、邪神の雰囲気が変わった。
今まではどこか獲物を弄ぶ強者といった雰囲気で、余裕があった邪神だが、その体内の底知れない闇が漏れ出したような、息苦しさを伴った怒りを放出させている。
『おのれ! おのれ! いつか、いつか必ず思い知らせてやろうと思っていたが、そちらから来るとはちょうどいい。我が糧になってもらうぞ!』
『え~僕、おじちゃんとは遊ばないよ。だっておじちゃんがケガすると西のヒトたちが怒るからね。でも、トモダチをいじめるなら僕も怒る』
『だまれぇ!』
邪神は俺のほうはもうどうでもいいらしく、若葉を追い回し始めた。
どうやらドラゴンに相当深い恨みがありそうだ。
だが、今若葉が言ったことが気になる。
西のヒト……言葉ではなくて意識に直接伝わるからこそ理解出来るのだが、人じゃなくて、ヒト、つまり自分と同じ存在という認識の相手が怒ると言ったのだ。
おそらくはそれは西のドラゴン達のことだろう。
しかし、この邪神が西のドラゴンとどう関係するんだ?
「そう言えば……」
以前予知者のウルスが邪神との戦いを予知したと言っていたな。
確か、敵でも味方でもない者に古い約束を聞けだったか?
敵でも味方でもない者と言えば、今の状況では若葉を指すと考えていいだろう。
「若葉!」
『なに?』
楽しげに邪神との追いかけっこをしていた若葉は、片手間に返事を寄越した。
「若葉、聞くが、そのシンイチロウという男と西のドラゴン達の間に古い約束があるのか?」
『違う。約束したのは勇者だ。最初の勇者の盟約がこのおじちゃんを守ってるんだ』
「なんだ……と?」
ドラゴンに守られている? そんな、もしそれが本当だったら、この相手を倒すことは不可能だ。
いや、しかし、初代勇者がどうして?
俺は混乱してしまった。
しかし混乱したのは俺だけではなかったようだ。
『最初の勇者だと! どういうことだ!』
邪神シンイチロウは、まるで凍りついたようにその動きを止めて、若葉を射殺しそうな目で睨んでいる。
『嘘を申すと、許さぬぞ!』
「ぐぅっ!」
この邪神の放射する……なんというか、汚濁のような気はひどくこたえる。
フォルテが入っている状態でこれなのだから、素の俺だったら耐えられなかっただろう。
まるで魔力を全て泥に変換するような、身体全てを塗り替えようとするおぞましさがある。
『嘘っていうのは人間が楽しむ娯楽だよね。僕達は嘘っていうのは使えないの。言葉と意識が同一だからね。人間はいいよね~』
『貴様!』
若葉は相変わらずだ。
なんというかその存在のおかげで、だいぶこっちの気力も保たれている部分がある。
『最初の勇者のね、なかの人は異世界から来たんだよ。それでね、西のヒト達と盟約を結んで、自分の後に誰かが異世界から来て、辛い思いをしているようなら助けになって欲しいって願ったの。最初の勇者はその願いのために寿命の半分がなくなっちゃったんだ』
『……バカな!』
邪神が、これまでで最もダメージを受けている。
蛇体を鱗のように覆っていた土や岩がボロボロと剥がれて消えて行く。
山の下のほうからは、魔物と思われるモノ達の断末魔が響いて来た。
いったい何が起こっているのだろう?
『ならば勇者と盟約とやらを結んだドラゴンを出せ!』
邪神がそう叫んだときだった。
突如空の中心が割れて、そこから白のドラゴンが姿を現したのだ。
あの、ドラゴン営巣地で見た、巨大な白のドラゴンだ。
それはあまりにも静かな登場だった。
割れた空が一瞬で戻る。
『あ、西のヒトだ! いけないんだよ! こっちは僕達の場所だから』
『盟約を持って呼ばれたのだ。許せ』
『仕方ないなぁ。僕はまだ群れの外だから見逃してあげるよ』
『すまぬな』
乾いた笑いが漏れる。
もうなんだって有りだな。
『言え! 答えろ! 初代の勇者、無理やり拉致されたあの子に何をした! なぜ殺した!』
邪神の体が真っ黒に染まる。
いや、それは体と言っていいのだろうか? 深い深い、底のない洞のように、ただひたすら何もかもを飲み込むような光のない場所が巨大な蛇の魔物の姿をしているのだ。
『あの者の意思よ。自分のような者が再び現れたら、出来ればその助けになって欲しいと。そのために寿命を削ってもいいとあの者は望んだのだ』
『……バカな』
『それで、そなたは何を望むのだ? そなたはこの世界に来てから助けを求めることはなかった。だからこそ我らはそなたに接触することはしなかったのだ。だが、我らを盟約を持って呼んだのなら、望みを言う権利がある』
おいおい、勘弁してくれよ。
あの邪神だけですら手に余るというのに、この上ドラゴンの加勢が加わるのか?
そうなればもう俺たちは終わりだ。
いや、俺たちだけじゃない。
南海もアンリカ・デベッセも、いいや、この世界そのものの秩序が崩壊するだろう。
俺は何も出来ないのか?
「いや、そうじゃない」
「クルル?」
俺の独り言にフォルテが反応する。
今は一つに重なっているのに、フォルテの自我はいつものポジションで俺を見守っているようだった。
「全てが終わるのは諦めたときだ。諦めなければ決着がつくそのときまで、終わることはない」
俺は腹を据えて、この成り行きを見守ることにした。
もしドラゴンと戦うこととなっても、やれるだけのことはやろうと腹を決める。
『我が子を返せ! この世界が奪った我が子を返せ!』
邪神シンイチロウの雄叫びが夜が明けたばかりの世界を真っ黒に染め上げた。
厳しい戦いの最中には危険すぎる隙だ。
案の定、邪神シンイチロウは、その隙をついて俺に向かって何かを吐き出した。
赤い液状のものが避けようもない広範囲に広がる。
「くっ!」
『もー、まだ話をしてるのに割り込むのはマナー違反だよ!』
若葉の声の響きが頭を揺さぶるが、耐えられない程ではない。
飛んで来た危険物に対処しようと、その方向を見ていた俺は、邪神の攻撃が跡形もなく消え去ったのを目撃してしまった。
どうやら邪神などと息巻いているシンイチロウだが、ドラゴンとは格が違うようだ。
『ドラゴン! そこにいるのはドラゴンか!』
突然、邪神の雰囲気が変わった。
今まではどこか獲物を弄ぶ強者といった雰囲気で、余裕があった邪神だが、その体内の底知れない闇が漏れ出したような、息苦しさを伴った怒りを放出させている。
『おのれ! おのれ! いつか、いつか必ず思い知らせてやろうと思っていたが、そちらから来るとはちょうどいい。我が糧になってもらうぞ!』
『え~僕、おじちゃんとは遊ばないよ。だっておじちゃんがケガすると西のヒトたちが怒るからね。でも、トモダチをいじめるなら僕も怒る』
『だまれぇ!』
邪神は俺のほうはもうどうでもいいらしく、若葉を追い回し始めた。
どうやらドラゴンに相当深い恨みがありそうだ。
だが、今若葉が言ったことが気になる。
西のヒト……言葉ではなくて意識に直接伝わるからこそ理解出来るのだが、人じゃなくて、ヒト、つまり自分と同じ存在という認識の相手が怒ると言ったのだ。
おそらくはそれは西のドラゴン達のことだろう。
しかし、この邪神が西のドラゴンとどう関係するんだ?
「そう言えば……」
以前予知者のウルスが邪神との戦いを予知したと言っていたな。
確か、敵でも味方でもない者に古い約束を聞けだったか?
敵でも味方でもない者と言えば、今の状況では若葉を指すと考えていいだろう。
「若葉!」
『なに?』
楽しげに邪神との追いかけっこをしていた若葉は、片手間に返事を寄越した。
「若葉、聞くが、そのシンイチロウという男と西のドラゴン達の間に古い約束があるのか?」
『違う。約束したのは勇者だ。最初の勇者の盟約がこのおじちゃんを守ってるんだ』
「なんだ……と?」
ドラゴンに守られている? そんな、もしそれが本当だったら、この相手を倒すことは不可能だ。
いや、しかし、初代勇者がどうして?
俺は混乱してしまった。
しかし混乱したのは俺だけではなかったようだ。
『最初の勇者だと! どういうことだ!』
邪神シンイチロウは、まるで凍りついたようにその動きを止めて、若葉を射殺しそうな目で睨んでいる。
『嘘を申すと、許さぬぞ!』
「ぐぅっ!」
この邪神の放射する……なんというか、汚濁のような気はひどくこたえる。
フォルテが入っている状態でこれなのだから、素の俺だったら耐えられなかっただろう。
まるで魔力を全て泥に変換するような、身体全てを塗り替えようとするおぞましさがある。
『嘘っていうのは人間が楽しむ娯楽だよね。僕達は嘘っていうのは使えないの。言葉と意識が同一だからね。人間はいいよね~』
『貴様!』
若葉は相変わらずだ。
なんというかその存在のおかげで、だいぶこっちの気力も保たれている部分がある。
『最初の勇者のね、なかの人は異世界から来たんだよ。それでね、西のヒト達と盟約を結んで、自分の後に誰かが異世界から来て、辛い思いをしているようなら助けになって欲しいって願ったの。最初の勇者はその願いのために寿命の半分がなくなっちゃったんだ』
『……バカな!』
邪神が、これまでで最もダメージを受けている。
蛇体を鱗のように覆っていた土や岩がボロボロと剥がれて消えて行く。
山の下のほうからは、魔物と思われるモノ達の断末魔が響いて来た。
いったい何が起こっているのだろう?
『ならば勇者と盟約とやらを結んだドラゴンを出せ!』
邪神がそう叫んだときだった。
突如空の中心が割れて、そこから白のドラゴンが姿を現したのだ。
あの、ドラゴン営巣地で見た、巨大な白のドラゴンだ。
それはあまりにも静かな登場だった。
割れた空が一瞬で戻る。
『あ、西のヒトだ! いけないんだよ! こっちは僕達の場所だから』
『盟約を持って呼ばれたのだ。許せ』
『仕方ないなぁ。僕はまだ群れの外だから見逃してあげるよ』
『すまぬな』
乾いた笑いが漏れる。
もうなんだって有りだな。
『言え! 答えろ! 初代の勇者、無理やり拉致されたあの子に何をした! なぜ殺した!』
邪神の体が真っ黒に染まる。
いや、それは体と言っていいのだろうか? 深い深い、底のない洞のように、ただひたすら何もかもを飲み込むような光のない場所が巨大な蛇の魔物の姿をしているのだ。
『あの者の意思よ。自分のような者が再び現れたら、出来ればその助けになって欲しいと。そのために寿命を削ってもいいとあの者は望んだのだ』
『……バカな』
『それで、そなたは何を望むのだ? そなたはこの世界に来てから助けを求めることはなかった。だからこそ我らはそなたに接触することはしなかったのだ。だが、我らを盟約を持って呼んだのなら、望みを言う権利がある』
おいおい、勘弁してくれよ。
あの邪神だけですら手に余るというのに、この上ドラゴンの加勢が加わるのか?
そうなればもう俺たちは終わりだ。
いや、俺たちだけじゃない。
南海もアンリカ・デベッセも、いいや、この世界そのものの秩序が崩壊するだろう。
俺は何も出来ないのか?
「いや、そうじゃない」
「クルル?」
俺の独り言にフォルテが反応する。
今は一つに重なっているのに、フォルテの自我はいつものポジションで俺を見守っているようだった。
「全てが終わるのは諦めたときだ。諦めなければ決着がつくそのときまで、終わることはない」
俺は腹を据えて、この成り行きを見守ることにした。
もしドラゴンと戦うこととなっても、やれるだけのことはやろうと腹を決める。
『我が子を返せ! この世界が奪った我が子を返せ!』
邪神シンイチロウの雄叫びが夜が明けたばかりの世界を真っ黒に染め上げた。
21
あなたにおすすめの小説
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です
たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」
勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。
しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。
一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。
彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。
引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――?
ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。
「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」
これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。