282 / 885
第五章 破滅を招くもの
387 名主からの依頼
しおりを挟む
おお、びびった。
この里の名主さんの奥さんなんだが、驚くほど太っていたのだ。
正直俺は貴族以外でここまで太った女性を見たことがない。
名主というのは領主の仕事を代行するが、貴族ではなく平民なのだそうだ。
家も大きいとはいえ、さして豪華ではない。
そう言えば帝国には平民でもそれなりに太った人がいたな。
なるほど、これが機械などがある便利な暮らしの豊かさというやつか。
「まぁ大変だったでしょう。ゆっくりしなんせ」
最初の対応を女性にさせるのはいかがなものかと思っていた俺だが、どうやらこの家には使用人があまりいないようだった。
特に腕っぷしの強そうな使用人が見当たらない。
「本当に助かります。あの、修行の途中のことで支払える宿代がないので、出来れば労働で支払いたいのですが、いかがでしょうか? 武術の師範クラスがこれだけいるのですから、だいたいの力仕事はお任せいただいてかまいませんよ」
ウルスがうまいこと交渉している。
俺自身にはわからないが俺たち西から来た者には独特の訛りがあるので警戒されるかもしれないということで、出来るだけ黙っていることになったのだった。
あと、メルリルは聖女の施してくれた幻惑魔法の籠もった髪飾りで平野人の姿になっている。
この里の名主さんは初老の男性だった。
奥さんのほうが明らかに若い。
とは言え、ひょろっとした旦那さんと重量級の奥さんの組み合わせは年の差以上にアンバランスさを感じさせていた。
その名主さんはウルスの言葉に「ふむ……」と、何かを考えているようだった。
「武術の先生ということですからお強いのでしょう。それならぜひ頼みたいことがあるのですが……」
そう名主さんが切り出すと、奥さんがドスドスという重い足音を立てて旦那さんに走り寄り、その背を叩いた。
「あんた! まさかあのことを頼む気ね? こんな若い人たちを危ない目に合わせるつもりね?」
名主さんはゴホッと咳き込んだが、慌てて奥さんの張り手を防ぐように両手を突き出しながら焦ったような言い訳を口にした。
「女が口を出すことじゃなか!」
「わかった。そんなつもりなら、うち、もうこの家におられんけん」
「いや、待て! ち、違うんだ。強制的に手伝わせるとかそういう話じゃない。強か人たちならもしかしたら慣れているかもしれんだろうが!」
奥さんがそっぽを向いて歩み去ろうとすると、旦那さんが慌ててそれにすがりついて止める。
「本当? 無理に危なかことさせるつもりじゃないんね?」
「本当だ。お前への愛に誓って」
名主の旦那さんが真剣な顔で奥さんに誓いを立てると、ふくよかな奥さんはにっこりと笑った。
「小さなお子もいらしてお疲れでしょう? 美味しいものとお湯を用意しておきますね。うちの人は口が足りないこともあるけんど、悪い人じゃないから、話を聞いてやってください。もし無理を言い出したら私におっしゃってくださいね」
ニコニコ微笑みながら、奥へと引っ込む。
「やれやれ、どうも、無理して嫁いでもらった恋女房には逆らえませんな」
「わかります。俺も妻には頭が上がりません」
名主さんとウルスが何やら通じ合った雰囲気でうなずき合う。
俺は別に他意はなかったのだが、なんとなくメルリルを見た。
メルリルは俺の視線を受けてにっこりと笑う。
いつもの優しい笑顔のはずなのだが、少しだけ、ぞくりとしたのは単なる気の所為だろう。
「それで、何かお困りのことがおありのようですね」
ウルスがその場の雰囲気を戻す。
「は、実は、その、我が里は木材の生産が一番の目玉で、里人は毎日のように山に入って仕事をしておるのですが、最近、魔物を見たという者が多くいましてな」
「魔物……ですか?」
「お恥ずかしい限りですが、守護の壁が数年前にとうとう崩れて、国に修繕依頼を出したのですが、領主持ちで修繕するように言われてしまって、うちの領主さまが無理だとおっしゃられて……その」
「魔物の侵入を防げなくなったと」
「はい。今の所とくに目立った被害はないのですが、時折小さな魔物に家畜がやられたりはしていますので」
「小さいとはいえ魔物、お困りでしょうね」
ウルスは名主さんに同情的に相槌を打った。
「まことに。ですが、それはなんとか犬を飼ったりして、対応もしておったのです。しかし、山で里人の見たという魔物は、その、人よりもずっと大きかったと……」
「ほう、それ恐ろしいですね」
ウルスがほくそ笑むように口角を上げた。
「なるほど。宿代代わりにその魔物を狩って欲しいということですか」
「おい、ダスター」
俺は思わず二人の話に割り込んだ。
正直二人ののらりくらりとした交渉に耐えきれなかったのだ。
「世話になるんだ。それぐらいいいだろ? それに鍛錬になる」
「おお、そう言ってくださるとありがたい!」
と、そこからはトントン拍子に話がまとまって、次の日に山に入って魔物狩りをすることとなった。
そのおかげかどうか、美味い飯と、おまけに湯を張った風呂まで使わせてもらえてありがたかった。
なんでもこの里では井戸から直接ポンプという機械で汲んだ水をパイプを使って個人の家に直接配り、家でレバーをひねるだけで水を使うことが出来るのだそうだ。
そのおかげで水を張った風呂もあまり苦労せずに使うことが出来るのだと言っていた。
そのポンプという機械、なんとか西に持ち帰れないものか。
「ダスター、しゃべるなって言っておいただろ!」
子どもたちが疲れと満腹からすぐに眠ってしまった後、俺は予知者ウルスから説教を食らっていた。
「お前、あれから交渉して、何か形のある報酬を引き出そうとしてただろう」
「当然だろ! 魔物退治なんか命がけの仕事だぞ。一泊の宿賃なんかで割に合うか!」
「いや、人数が人数だ。しかもいかにも怪しい一行だろうが、あまり欲をかくと恨みを買うぞ」
「その訛りで怪しさを倍増させるんだよ!」
「俺も考えたのだがな」
「なんだ?」
「お前、俺たちを怪しい武術家と紹介しただろう? 既に怪しいならとことん怪しいほうが逆に相手も安心するだろうと思うんだ」
「は?」
「もし俺たちが盗賊だとして、子連れの時点でまぁあり得なさそうだが、世の中には相手を安心させるために子どもを使う連中は意外と多い。だが、怪しい奴らというのは、基本的に怪しまれないように動くものだ。ここまで怪しいと逆に怪しむのが馬鹿らしくなるだろう」
「なんだその理屈……ったく、まぁいい。それよりもお前ら魔物は大丈夫なんだろうな?」
どうやらウルスも過ぎたことにいつまでも文句を言っても仕方がないと諦めたようだ。
「任せろ。師匠は魔物の専門家だぞ!」
勇者が見当違いの方向で胸を叩いて保証した。
そこは「俺は勇者だぞ」と言うべきところだ。
「大丈夫だ。そのかわりウルスはほかのみんなを頼むぞ」
この里に現れる魔物を見てみれば、ある程度はこの地域の魔力濃度もわかるしな。
世界の崩壊の兆しとやらを調べてみるいい機会だ。
この里の名主さんの奥さんなんだが、驚くほど太っていたのだ。
正直俺は貴族以外でここまで太った女性を見たことがない。
名主というのは領主の仕事を代行するが、貴族ではなく平民なのだそうだ。
家も大きいとはいえ、さして豪華ではない。
そう言えば帝国には平民でもそれなりに太った人がいたな。
なるほど、これが機械などがある便利な暮らしの豊かさというやつか。
「まぁ大変だったでしょう。ゆっくりしなんせ」
最初の対応を女性にさせるのはいかがなものかと思っていた俺だが、どうやらこの家には使用人があまりいないようだった。
特に腕っぷしの強そうな使用人が見当たらない。
「本当に助かります。あの、修行の途中のことで支払える宿代がないので、出来れば労働で支払いたいのですが、いかがでしょうか? 武術の師範クラスがこれだけいるのですから、だいたいの力仕事はお任せいただいてかまいませんよ」
ウルスがうまいこと交渉している。
俺自身にはわからないが俺たち西から来た者には独特の訛りがあるので警戒されるかもしれないということで、出来るだけ黙っていることになったのだった。
あと、メルリルは聖女の施してくれた幻惑魔法の籠もった髪飾りで平野人の姿になっている。
この里の名主さんは初老の男性だった。
奥さんのほうが明らかに若い。
とは言え、ひょろっとした旦那さんと重量級の奥さんの組み合わせは年の差以上にアンバランスさを感じさせていた。
その名主さんはウルスの言葉に「ふむ……」と、何かを考えているようだった。
「武術の先生ということですからお強いのでしょう。それならぜひ頼みたいことがあるのですが……」
そう名主さんが切り出すと、奥さんがドスドスという重い足音を立てて旦那さんに走り寄り、その背を叩いた。
「あんた! まさかあのことを頼む気ね? こんな若い人たちを危ない目に合わせるつもりね?」
名主さんはゴホッと咳き込んだが、慌てて奥さんの張り手を防ぐように両手を突き出しながら焦ったような言い訳を口にした。
「女が口を出すことじゃなか!」
「わかった。そんなつもりなら、うち、もうこの家におられんけん」
「いや、待て! ち、違うんだ。強制的に手伝わせるとかそういう話じゃない。強か人たちならもしかしたら慣れているかもしれんだろうが!」
奥さんがそっぽを向いて歩み去ろうとすると、旦那さんが慌ててそれにすがりついて止める。
「本当? 無理に危なかことさせるつもりじゃないんね?」
「本当だ。お前への愛に誓って」
名主の旦那さんが真剣な顔で奥さんに誓いを立てると、ふくよかな奥さんはにっこりと笑った。
「小さなお子もいらしてお疲れでしょう? 美味しいものとお湯を用意しておきますね。うちの人は口が足りないこともあるけんど、悪い人じゃないから、話を聞いてやってください。もし無理を言い出したら私におっしゃってくださいね」
ニコニコ微笑みながら、奥へと引っ込む。
「やれやれ、どうも、無理して嫁いでもらった恋女房には逆らえませんな」
「わかります。俺も妻には頭が上がりません」
名主さんとウルスが何やら通じ合った雰囲気でうなずき合う。
俺は別に他意はなかったのだが、なんとなくメルリルを見た。
メルリルは俺の視線を受けてにっこりと笑う。
いつもの優しい笑顔のはずなのだが、少しだけ、ぞくりとしたのは単なる気の所為だろう。
「それで、何かお困りのことがおありのようですね」
ウルスがその場の雰囲気を戻す。
「は、実は、その、我が里は木材の生産が一番の目玉で、里人は毎日のように山に入って仕事をしておるのですが、最近、魔物を見たという者が多くいましてな」
「魔物……ですか?」
「お恥ずかしい限りですが、守護の壁が数年前にとうとう崩れて、国に修繕依頼を出したのですが、領主持ちで修繕するように言われてしまって、うちの領主さまが無理だとおっしゃられて……その」
「魔物の侵入を防げなくなったと」
「はい。今の所とくに目立った被害はないのですが、時折小さな魔物に家畜がやられたりはしていますので」
「小さいとはいえ魔物、お困りでしょうね」
ウルスは名主さんに同情的に相槌を打った。
「まことに。ですが、それはなんとか犬を飼ったりして、対応もしておったのです。しかし、山で里人の見たという魔物は、その、人よりもずっと大きかったと……」
「ほう、それ恐ろしいですね」
ウルスがほくそ笑むように口角を上げた。
「なるほど。宿代代わりにその魔物を狩って欲しいということですか」
「おい、ダスター」
俺は思わず二人の話に割り込んだ。
正直二人ののらりくらりとした交渉に耐えきれなかったのだ。
「世話になるんだ。それぐらいいいだろ? それに鍛錬になる」
「おお、そう言ってくださるとありがたい!」
と、そこからはトントン拍子に話がまとまって、次の日に山に入って魔物狩りをすることとなった。
そのおかげかどうか、美味い飯と、おまけに湯を張った風呂まで使わせてもらえてありがたかった。
なんでもこの里では井戸から直接ポンプという機械で汲んだ水をパイプを使って個人の家に直接配り、家でレバーをひねるだけで水を使うことが出来るのだそうだ。
そのおかげで水を張った風呂もあまり苦労せずに使うことが出来るのだと言っていた。
そのポンプという機械、なんとか西に持ち帰れないものか。
「ダスター、しゃべるなって言っておいただろ!」
子どもたちが疲れと満腹からすぐに眠ってしまった後、俺は予知者ウルスから説教を食らっていた。
「お前、あれから交渉して、何か形のある報酬を引き出そうとしてただろう」
「当然だろ! 魔物退治なんか命がけの仕事だぞ。一泊の宿賃なんかで割に合うか!」
「いや、人数が人数だ。しかもいかにも怪しい一行だろうが、あまり欲をかくと恨みを買うぞ」
「その訛りで怪しさを倍増させるんだよ!」
「俺も考えたのだがな」
「なんだ?」
「お前、俺たちを怪しい武術家と紹介しただろう? 既に怪しいならとことん怪しいほうが逆に相手も安心するだろうと思うんだ」
「は?」
「もし俺たちが盗賊だとして、子連れの時点でまぁあり得なさそうだが、世の中には相手を安心させるために子どもを使う連中は意外と多い。だが、怪しい奴らというのは、基本的に怪しまれないように動くものだ。ここまで怪しいと逆に怪しむのが馬鹿らしくなるだろう」
「なんだその理屈……ったく、まぁいい。それよりもお前ら魔物は大丈夫なんだろうな?」
どうやらウルスも過ぎたことにいつまでも文句を言っても仕方がないと諦めたようだ。
「任せろ。師匠は魔物の専門家だぞ!」
勇者が見当違いの方向で胸を叩いて保証した。
そこは「俺は勇者だぞ」と言うべきところだ。
「大丈夫だ。そのかわりウルスはほかのみんなを頼むぞ」
この里に現れる魔物を見てみれば、ある程度はこの地域の魔力濃度もわかるしな。
世界の崩壊の兆しとやらを調べてみるいい機会だ。
11
あなたにおすすめの小説
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です
たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」
勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。
しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。
一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。
彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。
引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――?
ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。
「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」
これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。