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意外な味方

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 オリバーがヴァンパイア達を吹き飛ばした後、泣き叫びながら、寝床を出ていった。
「ワーッ! ワーッ!……」

 その時、意外にもローズが後を付いていった。
ジョセフが言った。
「やめておけ!! あんなヤツ。1人で出ていかせろ!! 私がせっかく、長い間、訓練の相手をしてやったのに!!」

 ローズが申し訳なさそうに言った。
「ジョセフ、私は、オリバーに色々、酷い言葉を……オリバーがああなってしまったのは、私のせいかもしれない。きっと、そう……私に責任があるわ。オリバーに悪くて、オリバーのことを守りに行くわ。じゃあね」

 アリスは、ジョセフに心配そうに言った。
「オリバーとローズ、大丈夫かしら。もし、死神ネイサンに会ったら、消滅されてしまうわ」
「それなら、それで仕方ない。放っておけ!」
ノアが笑いながら言った。
「その通りだよ。あいつが私達を裏切ったんだ」
「でも、心配だわ」
 ブルーノは、前に自分がやったことを思い出しながら、呆然として、立ち尽くしていた。

 数時間後、ドアがけたたましく叩かれた。
かすかに聞こえるのは、オリバーの声だった。
「たすけて……たすけて……ローズが……ローズが……」

 アリスは、慌てて、ドアを開けようとしたが、ジョセフがその手を止めた。
「放っておけ! 自分達から出ていったんだ。自分達が蒔いた種だ。閉め出しておけ!」
ノアも言った。
「そうだ。そうだ。放っておけ!」
アリスは、反論した。
「でも、ローズは……」

 その時だった。
耳をつんざくような悲鳴が聞こえた。
「ウギャーーッ!」
余りの悲鳴に外で、異常なことが起きていることに誰もが気づいた。

 ジョセフは、止めていたはずの手でドアを開けた。
すると、全身、傷付いているオリバーと、左肩に深い傷を負って、息も絶え絶えのローズがいて、死神ネイサンが今にも、カマを振り上げてオリバーの首を狩ろうとしていた様子が見えた。

「また、仲間を消滅させてたまるか!!」
ジョセフは、死神ネイサンを手を翳して、吹き飛ばすと死神ネイサンが戻ってくる間に、オリバーとローズをノアと一緒に、寝床の中に引き入れた。
ノアは、文句を言った。
「こいつら、寝床に死神連れて来やがって」

 ジョセフとノアとアリスが背中合わせになって、どこから、死神ネイサンが来てもいいように、臨戦態勢に入った。
すると、ジョセフに向かい戻ってきた死神ネイサンがカマを振り上げた。

 ジョセフは、短剣でカマを振り払い、カマを落とした死神ネイサンにノアが首元に短剣を刺した。
死神ネイサンは、呻き声を上げて、のたうち回った。
「ウッ!ウッ!」

 ブルーノが、その時、言った。
「馬車を呼んできました」
ジョセフが肩を抱きオリバーを、アリスが肩を抱き、ローズを支えて、馬車まで歩き、乗り込ませた。
隣国へ向かう馬車にユラユラと揺らされながら、オリバーは、すすり泣き、ひたすら弱々しい声で謝った。
「ヒクッ!ヒクッ!すみません。すみません。すみません……」

 ジョセフは、言った。
「誇り高きヴァンパイアよ! 泣くな」
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