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意外な裏切り

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 ジョセフは、次の日から、通りで人間の血を吸った後、オリバーの力をつけさせる訓練に付き合った。

 ノアは、ブルーノに付きっきりで訓練を続け、ブルーノは、それに応えるように、ぐんぐん上達していった。
一方、オリバーは、長い時が経っても、ジョセフが思った通りには、上達してくれなかった。
オリバーは、ジョセフに謝った。
「すみません。なかなか、上手くいかなくて」
ジョセフは、溜め息をつきながら言った。
「はー。いや、お前の努力は、認めている。もう少し、訓練を続けよう」
「はい、わかりました」
オリバーは、返事は、したものの覇気がなかった。

 ジョセフは、また、厳しい口調に戻った。
「オリバー、もっと鋭く、剣を突け!」
「はい!」
オリバーは、気を取り直して、従順にジョセフの言うことを聞いた。

 しかし、ブルーノがみるみるうちに上達するのに対して、長い時が経っても、オリバーは、少ししか上達することができなかった。
ジョセフは、それでも、オリバーの上達を信じ、オリバーのことを励ました。
「大丈夫だ。オリバー、前よりは、上達している。焦るな」

 ローズがオリバーの所にわざわざ駆け寄って、嫌味を言った。
「オリバー、あなた、どこが上達したのかしら。私には、全くわからないわ。一生懸命教えてるジョセフが可哀想」
「その通りだ。すみません、ジョセフ」
ジョセフは、ローズに怒った。
「お前は、オリバーのことが言えるのか? 呪術は、どうなった。訓練もしないで、オリバーに悪口ばかり言いおって」
「すみませーん」
ローズは、ジョセフに対して、舌を出して、全然、反省していない様子で、うわべだけ謝って、その場を立ち去った。
 ジョセフは、それから、しばらくの間、オリバーの訓練の相手をした。

 しかし、ジョセフは、ある日、項垂れて、オリバーに申し訳なさそうに言った。
「オリバー、すまん。訓練は、ここまでだ。私の力が到らず、すまなかった」
「いいえ、ありがとうございました。訓練の相手をずっとしていてくれていたのに、すみませんでした」
「いいや。お前には、呪術がある。その呪術を生かせ。ずっと、我々は、仲間だ」
オリバーは、その言葉を聞くと泣き出した。
「はい、ありがとうございます」

 ジョセフが去ったところを見計らって、ローズが現れた。
オリバーに話しかけた。
「まぁ、私は、最初から、わかってたわ。あなたに実力がないことを」
オリバーは、座り込み、力なく頷いた。

 その後、ヴァンパイアが寝床で血を飲もうとしていたところ、オリバーが急に叫んでヴァンパイア達に手を翳した。
「ワーッ!!」

 ノアが一番先に、吹き飛ばされて、部屋の壁に頭部を強打した。次々に、オリバーは、ヴァンパイア達を吹き飛ばし、ジョセフのことまで、吹き飛ばした。
 ローズは、一番遠くまで、吹き飛ばされた。
「キャー!」

「私は、力がつく訓練を辞めさせられた時のために、皆が寝ている間に呪術の訓練も更に続けていた。皆に馬鹿にされて耐えられない。もう出ていく」
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