R18『クズアルファはぐずぐずに尽くし巣を作る』 #溺愛アルファの巣作り

ああいああこ 【ゆる腐わ女子】

文字の大きさ
4 / 7
『クズアルファはぐずぐずに尽くし巣を作る』本編(完結)

◇オメガ視点◇

しおりを挟む
 最悪。
 おれのウチに空き巣が入ったみたいだ。

 ここんとこ数日ツイてない。人生詰んでる。
 初対面のアルファにフェロモンレイプされるわ、嚙まれた上にヤリ逃げされるわ、最悪極悪だ。

 アルファフェロモンがあんなにスゴイとは知らなかった。
 住んでる街はそこそこの田舎で、アルファっぽい子は学年が上がるにつれて都市部に引っ越していく。
 うちの食堂に来るお客さんは、近場の工場勤務の普通のベータだし。仕事で都会から来るアルファも大体おじさんで、番持ちだろうなーって人ばっかり。
 フェロモンってこんなもんかなー、ってぐらいのふわーっとした認識で暮らしてきた。

 強制ヒートから理性が復帰して、一人取り残されたホテルのゴージャス部屋から逃げてきて。先ずは店に戻ってみたら、じーちゃんの秘伝のソースまでカチンコチンに凍ってて……はぁ。

 で、今はコレ。アパートの部屋の鍵が開いてんの。
 思い切って、でもそーっと扉を開けてみる。

 むわんとレイプ魔の匂いが充満してる。
 いや、ごめんわかってた。アパートに近づくにつれ強くなってた激甘フェロモン。現実を直視できなかったんだよ。あーあ。
 玄関とキッチンを秒で抜け……

「ナニコレ?」

 まんまるの服の塊。大玉転がしの玉より大きい。寄り添うように、おれのモノが塔のごとく積み上がってる。

「あーっ! うちの暖簾!」

 食堂で唯一見当たらなかった暖簾が、てっぺんに掛けられてる。
 おれが剥ぎ取ると、玉がカサっと動く。

「いる! いる!」

 上のタオル部分をかき分ける。中には全裸のレイプ魔。マジか。なぜかおれのネックガードとパンツを握りしめ、丸くなって眠ってる。

「だぁれ? なお?」

 ふわわぁーっと大きなアクビと、寝ぼけて柔らかい声。

「お前こそ、結局誰なんだよ?!」

 布地の玉から腕が伸びてくる。

「くずみあきひろ、だ。きみは、くずみなお」
「へ?」
「こんいんとどけ、だしたよ。わたしのつがい」

 びっくりして固まるおれは、そのまんま玉の中に抱き入れられてしまった。
 服の中は、黒蜜みたいに濃厚なアルファの匂いと、ちょっと焦げくさい……多分、おれのフェロモン。
 二つ混じって溶けて、くらくらする。でも、なんだかホッとする空間。

「これも、わたしのだ」

 油断してた。大きな手がおれの服を脱がそうとしてくる。出会った時に着てたまんまのヨレヨレの仕事用。パンツは無かったけど、他はホテルに残されてた。

「なっ! やめて!」
「あばれると、ここ、くずれる」

 全部あっさり剥ぎ取られ、おれまでスッポンポン。奪った服も一緒に抱えてスンスン嗅ぎながら、再び丸まるアルファ。

「げんかい……おやすみ、なお」
「え? は? おれは?」

 幸せそうに微睡むアルファ……ってさぁ、婚姻届って何だよ! ってか、本人より服なのか?!

 ふふっと低い声がして、指がおれのうなじに優しく触れる。

「きれいに、まぁるく、あとがついたね」

 熱い感触に、スグンと胎の奥が反応する。断片的に残ってる記憶が、ほわんほわんと脳裏に浮かぶ。
 いきなりガツンとフェロモン当ててきて、無理やり発情させられた。強引だった。怖かった。正気に戻ったら独りぼっちで、不安だった。
 でも、丁寧に抱かれるのは気持ちよかった……かな。最後の方はおれもノリノリだった……かも?
 レイプでヤリ逃げじゃなかったのか?

 結構な長身で、横になってる背中の筋肉もキレイで、端正って言葉が似合いそうなのに、とろけるように眠ってる。おれの服やモノに囲まれて。

「なんだかオメガの巣作りみたい」

 笑えてきて、気が抜けて、おれまで眠くなってくる。

「ま、いいか」

 いいんかい! いいのか? いいよな。

 硬い背中にぽよんとおなかをくっつけて、一緒に寝っ転がる。
 おれのアルファが集めて作った巣の中で、おれも巣の一部になるみたいに。

「おやすみ、おれの番」





 ここで、おしまい。

 おれに着せたい熱が高じた明広が、ぽっちゃり用普段着のオーダーブランドを立ち上げて、リトルバルーンって名前をつけたり。
 直が飲食店したいなら神楽坂、って言って譲らない番と大喧嘩。おれがじーちゃんの店に家出したり。
 結局明広が妥協して移住してきたと思ったら、急にスパダリアルファになっちゃってさ。田舎の服飾系工場とガンガン協力して、セミオーダーのバルーンシリーズを全国展開したり。
 この街に『風船の巣』って小っ恥ずかしい異名がつくのは……また別のお話。



【ほんとにおしまい!】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

国民的アイドルの元ライバルが、俺の底辺配信をなぜか認知している

逢 舞夏
BL
「高校に行っても、お前には負けないからな!」 「……もう、俺を追いかけるな」  中三の卒業式。幼馴染であり、唯一無二のライバルだった蓮田深月(はすだ みつき)にそう突き放されたあの日から、俺の時間は止まったままだ。  あれから15年。深月は国民的アイドルグループのセンターとして芸能界の頂点に立ち、俺、梅本陸(うめもと りく)は、アパートでコンビニのサラミを齧る、しがない30歳の社畜になった。  誰にも祝われない30歳の誕生日。孤独と酒に酔った勢いで、俺は『おでん』という名の猫耳アバターを被り、VTuberとして配信を始めた。  どうせ誰も来ない。チラ裏の愚痴配信だ。  そう思っていた俺の画面を、見たことのない金額の赤スパ(投げ銭)が埋め尽くした。 『K:¥50,000 誕生日おめでとう。いい声だ、もっと話して』  『K』と名乗る謎の太客。  【執着強めの国民的アイドル】×【酒飲みツンデレおじさんV】

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

アルファの双子王子に溺愛されて、蕩けるオメガの僕

めがねあざらし
BL
王太子アルセインの婚約者であるΩ・セイルは、 その弟であるシリオンとも関係を持っている──自称“ビッチ”だ。 「どちらも選べない」そう思っている彼は、まだ知らない。 最初から、選ばされてなどいなかったことを。 αの本能で、一人のΩを愛し、支配し、共有しながら、 彼を、甘く蕩けさせる双子の王子たち。 「愛してるよ」 「君は、僕たちのもの」 ※書きたいところを書いただけの短編です(^O^)

処理中です...