*婚前なれそめファンタジー* 盟主は手綱を握りたい! ※ 猜疑心強めのいじわる盟主は、光の溺愛男に進化する ※

保志見祐花

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3 君の秘密

第53話 ミリアの理由第2

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 言って彼女は首をかしげた。
 ミリアの中で『覆面マスケモデル』と言ったら今をときめく『リック・ドイル』と『ココ・オリビア』である。

 二人とも、黒いマスクで目を隠すスタイルで服飾産業に花を添えている。

 ──それは元祖モデル『ココ・ジュリア』の意思『服を売るのに、顔はいらない』『皆平等に、着飾る服を選んでほしい』『モデルは、服を彩る素材であるべき』という姿勢を貫いたのが表向きの理由なのだが──ミリアは、そこまで知らなかった。

 目を丸めるミリアに、エリックは言葉を続ける。


「今活動しているのは、確かに『リック・ドイル』と『ココ・オリビア』だけど。
 産業を盛り立てたのはオリビアの母『ココ・ジュリア』でさ。彼女の転写絵は、リックとオリビアに打って変わった今でも、街のあちこちに残っているんだ」


 ──と、息。
 短く目配せをして、彼は続きを口にした。


「……まあ、ジュリアは当に引退しているんだけどね。君に影響を与えたのは『ジュリア』の方だな?」
「なるほど~。『リックとオリビア』っていうか……『覆面マスケモデル』さんたちって、目が隠れてるじゃない? 中の人が変わってるなんて全然わかんなかったなあ~! ……かっこいいよね、ココとリック。はぁ~~……」 
「…………」 


 ……着付け師スタイリストの憧れなのだろうか。
 言いながら、恍惚と頬に手を当てるミリアの隣でエリックは、『こほっ』と照れを逃すように口元を隠して咳払いをした。

(────慣れてるはずなんだけど。どうもこそばゆいな……)
 こほん、こほん。
 ごまかすように息を吸い、彼はミリアに語り始める。


「────……元々、服飾に関してはシルクメイル地方でも華やかな方だったんだけど。おかげさまで『国のカラー』として、『産業』として根付いたんだから。見事だよ。恐れ入ったと思うぐらいだ」

 
 言いながら振り返るのは、『ここ二十年の街並み』だ。
 自分が幼いころから比べると、随分と清潔に──また華やかになった。
 それらの移り変わりを頬に宿すエリックの、その隣で。

 ミリアは、『じ────』っと彼を見つめて────


「…………キミの発言、たまにおもしろいよね?」

「……? なんで?」
「なんかそういう……政治的分析みたいな? 国を動かす立場でもなかろーに。」
「……だから。『国の政策・上の方針や盟主の考えに関心を持つのは当たり前のこと』だよ」
「…………へいへい、そうでございました」


 言われてミリアは、ため息をつきつつ目線を斜め下の方に流し、口を平たく伸ばしていた。

 ……そうだった。
 彼は真面目なのだ。
 政治家でも何でもないのに真面目な奴なのである。

 (……マタ・言われて・シマッタ)。
 密かに顔のパーツを引き伸ばすミリアの隣で、エリックは前を向きつつ続けた。
 


「…………間違っているなら間違っていると声を上げないと、国はどんどん狂っていくおかしくなる。国とはいえ、動かしているのはただの人だからな。先の大戦に巻き込まれた時のように、これからの時代もそういった過ちを繰り返さないとは限らない。常に目を光らせておくんだ。『いつも見てるぞ』って」
「………………」


 至極まっとう・真面目な意見に、ミリアは皿の埋め込まれたような瞳を向け、じ──────っと見つめあげる。その、まるで猫のような目に「なに? その顔」と、エリックが首をかしげた時。

 ミリアは・十分・間をとり・言った。
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