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第67話:ディアンの退院が決まりました
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「ディアン様の容態も随分安定しておりますし、怪我の方もある程度治って来ております。伯爵家の主治医とも相談した結果、今後はご自宅で療養と言う形をとる事になりましたので。準備が整い次第、退院して頂いて大丈夫ですよ」
ディアンが事故に遭ってから、3ヶ月が経とうとしていた。まだディアンが目覚める事はないが、怪我の治りは順調な様で、今後は伯爵家の主治医がディアンの治療にあたる事で話は纏まったらしい。
「それでは急ですが、明日退院させたいのですが、よろしいでしょうか?」
「明日ですね。承知いたしました。では明日退院と言う事で、手配をしておきます。それでは私はこれで失礼いたします」
お医者様が病室から出ていくのを見送った。
「ディアン、やっと退院できるのね。よかったわ。私達の婚約披露バーティーの日に退院できるだなんて。皆でお祝いをしましょうね」
そう、明日は私とディアンの婚約披露バーティーが行われる日だったのだ。ただ、ディアンがこんな状況なので、中止になってしまった。それでも私とディアンだけで、そっとお祝いをしようと考えていたのだ。
「明日はディアンの退院祝いと、私たちの婚約祝いを一緒に行えるわね」
再びディアンに向かって話しかけた。相変わらず瞳は閉じたまま。正直もう、ディアンは目覚めないのかもしれない。そんな不安に襲われることもある。
それでもディアンの怪我は、順調に治っているのだ。入院した当初、包帯を体中に巻かれていたディアンだったが、今はもう包帯も取れている。まだ怪我は完治していないが、それでもあの頃よりもずっと良くなってきている。
ディアンの体は、必死に傷を治し、生きようとしているのだ。ディアンも頑張っているのだから、私がこれ以上弱気なる訳にはいかない。
この3ヶ月、泣いて泣いて泣きまくって、辛くて悲しくてどうしようもない日もあった。でも、今は皆のお陰で、少しずつ前を向き始めている。
「ユーリちゃん、この3ヶ月、本当にありがとう。あなたがずっと付き添っていてくれたから、ディアンもきっと喜んでいたはずよ」
「ユーリ嬢には、随分と負担をかけてしまったね。本当にありがとう」
おじ様とおば様が、私に向かって頭を下げたのだ。
「おじ様、おば様、頭を上げて下さい。私がディアンの傍にいたくていただけですから。私の方こそ、ディアンの傍にいさせてくれて、ありがとうございます。これからもずっと、ディアンの傍にいますわ」
そう笑顔で告げた。でも、なぜか2人はお互い顔を見合わせ、少し困った顔をしている。一体どうしたのだろう?
「ユーリちゃん、あのね…」
「ユーリ、カスタマーディス伯爵、夫人、こんにちは。今日もディアンのお見舞いに来ました。ディアンは相変わらず、眠ったままですか?」
やって来たのは、アレックス様だ。アレックス様はこの3ヶ月、ほぼ毎日ディアンの様子を見に来てくれている。
「アレックス様、こんにちは。聞いて下さい、やっとディアンの退院許可が下りたのですよ。明日、ディアンの退院が決まりました」
「それは本当かい?僕も退院に付き添ってもいいですか?」
「アレックス殿、いつもディアンの為にありがとう。ああ、もちろんだ。君が来てくれたら、ディアンも喜ぶだろう」
おじ様が笑顔で答えている。ただ、どこか寂しそうな瞳をしているのは、気のせいだろうか…
「ディアン、よかったね、やっと家に帰れるよ」
アレックス様は、いつもディアンに話しかけている。アレックス様だけではない。レーナたちも忙しい中、1週間に3回ペースでお見舞いに来てくれるのだ。もちろん、他のクラスメイト達も、頻繁に顔を出してくれるのだ。
ディアンは本当に沢山の人に愛されている、それがなんだか嬉しい。
「ユーリ嬢、アレックス殿、私たちは退院の準備があるから、そろそろ帰るよ。アレックス殿、ゆっくりして行ってね」
「いいえ、僕もそろそろ帰ります。僕とユーリが2人きりだと、きっとディアンが嫉妬するだろうから。ディアンはこう見えて、意外と嫉妬深いのですよ。それじゃあディアン、ユーリ、また明日来るね」
そう言って笑顔で去っていくアレックス様。彼は私となるべく2人きりにならない様に、いつも気を使ってくれているのだ。
さて、私も退院の準備をしないと。
私が使っていた隣の部屋に向かうと、既に使用人たちが次々と荷物を運んでいた。さすが我が使用人たち、仕事が早い。今日と明日着るもの以外は、全て伯爵家に運び出す。
「お嬢様、こちらの宝石箱も、お屋敷に運んでもよろしいですか?」
使用人が手に持っているのは、青い宝石箱だ。ここで生活する事が決まった時、持ってきてもらっていたのだったわ。すっかり忘れていた。
「これは私が持って帰るからいいわ。ありがとう」
使用人から宝石箱を受け取り、そっと開けた。そこには相変わらず七色に輝く、美しいサンクトスの羽が入っている。
そっとサンクトスの羽を取り出した。
「あなたの力をもってしても、ディアンは目覚めさせられないか…いいえ、あなたの力があったからこそ、私はディアンと婚約が出来たのよね。それにしても、本当に美しい羽ね。この羽を見ていると、なんだか勇気が湧いてくるわ」
ディアンが事故に遭ってから、3ヶ月が経とうとしていた。まだディアンが目覚める事はないが、怪我の治りは順調な様で、今後は伯爵家の主治医がディアンの治療にあたる事で話は纏まったらしい。
「それでは急ですが、明日退院させたいのですが、よろしいでしょうか?」
「明日ですね。承知いたしました。では明日退院と言う事で、手配をしておきます。それでは私はこれで失礼いたします」
お医者様が病室から出ていくのを見送った。
「ディアン、やっと退院できるのね。よかったわ。私達の婚約披露バーティーの日に退院できるだなんて。皆でお祝いをしましょうね」
そう、明日は私とディアンの婚約披露バーティーが行われる日だったのだ。ただ、ディアンがこんな状況なので、中止になってしまった。それでも私とディアンだけで、そっとお祝いをしようと考えていたのだ。
「明日はディアンの退院祝いと、私たちの婚約祝いを一緒に行えるわね」
再びディアンに向かって話しかけた。相変わらず瞳は閉じたまま。正直もう、ディアンは目覚めないのかもしれない。そんな不安に襲われることもある。
それでもディアンの怪我は、順調に治っているのだ。入院した当初、包帯を体中に巻かれていたディアンだったが、今はもう包帯も取れている。まだ怪我は完治していないが、それでもあの頃よりもずっと良くなってきている。
ディアンの体は、必死に傷を治し、生きようとしているのだ。ディアンも頑張っているのだから、私がこれ以上弱気なる訳にはいかない。
この3ヶ月、泣いて泣いて泣きまくって、辛くて悲しくてどうしようもない日もあった。でも、今は皆のお陰で、少しずつ前を向き始めている。
「ユーリちゃん、この3ヶ月、本当にありがとう。あなたがずっと付き添っていてくれたから、ディアンもきっと喜んでいたはずよ」
「ユーリ嬢には、随分と負担をかけてしまったね。本当にありがとう」
おじ様とおば様が、私に向かって頭を下げたのだ。
「おじ様、おば様、頭を上げて下さい。私がディアンの傍にいたくていただけですから。私の方こそ、ディアンの傍にいさせてくれて、ありがとうございます。これからもずっと、ディアンの傍にいますわ」
そう笑顔で告げた。でも、なぜか2人はお互い顔を見合わせ、少し困った顔をしている。一体どうしたのだろう?
「ユーリちゃん、あのね…」
「ユーリ、カスタマーディス伯爵、夫人、こんにちは。今日もディアンのお見舞いに来ました。ディアンは相変わらず、眠ったままですか?」
やって来たのは、アレックス様だ。アレックス様はこの3ヶ月、ほぼ毎日ディアンの様子を見に来てくれている。
「アレックス様、こんにちは。聞いて下さい、やっとディアンの退院許可が下りたのですよ。明日、ディアンの退院が決まりました」
「それは本当かい?僕も退院に付き添ってもいいですか?」
「アレックス殿、いつもディアンの為にありがとう。ああ、もちろんだ。君が来てくれたら、ディアンも喜ぶだろう」
おじ様が笑顔で答えている。ただ、どこか寂しそうな瞳をしているのは、気のせいだろうか…
「ディアン、よかったね、やっと家に帰れるよ」
アレックス様は、いつもディアンに話しかけている。アレックス様だけではない。レーナたちも忙しい中、1週間に3回ペースでお見舞いに来てくれるのだ。もちろん、他のクラスメイト達も、頻繁に顔を出してくれるのだ。
ディアンは本当に沢山の人に愛されている、それがなんだか嬉しい。
「ユーリ嬢、アレックス殿、私たちは退院の準備があるから、そろそろ帰るよ。アレックス殿、ゆっくりして行ってね」
「いいえ、僕もそろそろ帰ります。僕とユーリが2人きりだと、きっとディアンが嫉妬するだろうから。ディアンはこう見えて、意外と嫉妬深いのですよ。それじゃあディアン、ユーリ、また明日来るね」
そう言って笑顔で去っていくアレックス様。彼は私となるべく2人きりにならない様に、いつも気を使ってくれているのだ。
さて、私も退院の準備をしないと。
私が使っていた隣の部屋に向かうと、既に使用人たちが次々と荷物を運んでいた。さすが我が使用人たち、仕事が早い。今日と明日着るもの以外は、全て伯爵家に運び出す。
「お嬢様、こちらの宝石箱も、お屋敷に運んでもよろしいですか?」
使用人が手に持っているのは、青い宝石箱だ。ここで生活する事が決まった時、持ってきてもらっていたのだったわ。すっかり忘れていた。
「これは私が持って帰るからいいわ。ありがとう」
使用人から宝石箱を受け取り、そっと開けた。そこには相変わらず七色に輝く、美しいサンクトスの羽が入っている。
そっとサンクトスの羽を取り出した。
「あなたの力をもってしても、ディアンは目覚めさせられないか…いいえ、あなたの力があったからこそ、私はディアンと婚約が出来たのよね。それにしても、本当に美しい羽ね。この羽を見ていると、なんだか勇気が湧いてくるわ」
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