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第22話:ディアンが遊びに来てくれました
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領地に来て2週間が過ぎた。毎日自然の空気を吸い、楽しい日々を送っている。街にも出てショッピングを楽しんだり、加工工場などの見学も行った。
実際家畜の飼育場所にも見学に行き、大切に育てられている動物たちも見た。充実した日々に、私の心はすっかり落ち着き、最近ではもう、アレックス様の事を考える事もなくなったのだ。
そして先日、お母様が王都に戻った。1週間という予定を大幅に超えて滞在していたお母様だったが、しびれを切らしたお父様が迎えに来て、2人で帰って行ったのだ。
その為今は、広いお屋敷に私1人だけ。とはいえ、同じ敷地内にお兄様やお義姉様もいらっしゃるから、特に寂しくはないが…
ちなみに私は、毎日綺麗な滝がある森に足を運んでいるが、あの日以来、虹色の鳥を見る事は一度もない。領地にずっと住んでいる使用人にも鳥の事を聞いたが、誰も見たことがないと言っていた。
お義姉様が言っていた通り、中々見る事が出来ない鳥だった様だ。
そんな鳥の羽は、私の宝物として宝石箱に厳重に保管されている。いつか私も、お姉様の様に好きな人と結ばれるといいな。そう願っている。とはいえ、失恋したばかりの私には、まだまだ先の話かもしれないが。
「お嬢様、そろそろカスタマーディス伯爵令息様がいらっしゃるお時間です」
「あら、もうそんな時間なのね。分かったわ、すぐに行くわね」
今日から1週間、ディアンが家の領地に遊びに来ることになっているのだ。急いで外に出て、ディアンの到着を待つ。するとお兄様とお義姉様も外に出て来た。
「今日はディアン殿が我が家に遊びに来る日だったね。実はディアン殿とは、何度か領地で会った事があってね。あそこの領地は、温泉を利用して今やかなりの観光地になっているよ。それも観光地にする事を提案したのは、ディアン殿らしい。ユーリも結婚するなら、ああいう男性がいいのではないのかい?」
お兄様がそんなふざけたことを言っている。
「ディアン様は確かにとても頭が切れる方ですが、何と言いますか無口であまり表情を表に出さないイメージがありますわ。だからユーリちゃんには、あまり合わないのではなくって?」
えっ?ディアンがあまり表情を表に出さないですって?どちらかと言えば、明るいタイプの人間だと思うのだけれど…
「確かにカトリナがいると、ディアン殿はあまり話さなくなるね。きっと令嬢が苦手なのだろう」
そう言ってお兄様が笑っていた。その時だった。ディアンの家の馬車が、こちらにやって来たのだ。
馬車が停まると、ディアンが降りて来た。
「ディアン、いらっしゃい」
「ユーリ、久しぶりだね。と言っても、2週間ぶりか。それでも僕にとっては、かなりの時間会っていない気がするよ。オルガノ殿、夫人、しばらくお世話になります」
「よく来たね、ディアン殿。相変わらず何もないところだけれど、ゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます。それじゃあユーリ、僕の部屋に案内してくれるかい?」
「もちろんよ、私ね、ディアンを連れて行きたい場所があるの。とても素敵な場所なのよ。きっとディアンも気に入ると思うわ。早速行きましょう」
「おい、ユーリ。ディアン殿は今さっき、領地に着いたばかりなのだぞ。明日でもいいだろう?」
「何を言っているのですか?いいですか、お兄様。まだお昼過ぎですよ。私は早く、ディアンをあの場所に連れて行きたいのです。それにお兄様、明日はディアンと一緒に狩りに行くと言っていたではありませんか?それとも明日の狩りは、中止ですか?」
「そうだったな。とてもいい狩場を見つけたから、ディアン殿と一緒に行こうと思っていたのだった。分かったよ、ディアン殿がよいなら、行ってくるといい」
「僕は大丈夫ですよ。それじゃあ、早速ユーリが行きたい場所に向かおう」
そう言うと、いつもの様に私の手を握るディアン。
「ディアン、まずは部屋から案内するわね。こっちよ。ディアンの部屋は、私の隣の部屋を準備したの。気に入ってくれるかしら?」
ディアンの好きな青と白を基調にした部屋を準備した。ディアンは昔から、青色が好きだと言っていたのだ。
「天井が青色だ。まるで空みたいな部屋だね。僕は空が大好きなんだよ。王都から離れて領地で暮し始めた頃、ユーリに会えないのがとても寂しくてね。そんな時父上が教えてくれたんだ。“空は王都と繋がっている、だからもしかしたら、ユーリ嬢も今ディアンと同じ空を見ているかもしれないよ”てね。ユーリと同じ空を見ているかもしれないと思ったら、なんだか嬉しくて。それ以降、よく僕は空を見ていたんだ」
「そうだったの。確かに空はどこまでも繋がっているものね。ディアン、あなたはずっと私の事を覚えていてくれたのね。なんだか嬉しいわ」
「僕はユーリの事を、1日だって忘れた事なんてないよ。君は僕の大切な人だから」
大切な人か…
私にとっても、ディアンは大切な人だ。またこんな風に、ディアンと再会できたことが、嬉しくてたまらない。それにディアンといると、とても楽しいのだ。
「ユーリ、君が連れて行きたいと言っていた場所に行こうよ。一体どんな場所に連れて行ってくれるのか、楽しみだな」
そうだったわ、ディアンをあの場所に連れて行ってあげないと。もしかしたら、虹色の鳥も見られるかもしれないわ。
実際家畜の飼育場所にも見学に行き、大切に育てられている動物たちも見た。充実した日々に、私の心はすっかり落ち着き、最近ではもう、アレックス様の事を考える事もなくなったのだ。
そして先日、お母様が王都に戻った。1週間という予定を大幅に超えて滞在していたお母様だったが、しびれを切らしたお父様が迎えに来て、2人で帰って行ったのだ。
その為今は、広いお屋敷に私1人だけ。とはいえ、同じ敷地内にお兄様やお義姉様もいらっしゃるから、特に寂しくはないが…
ちなみに私は、毎日綺麗な滝がある森に足を運んでいるが、あの日以来、虹色の鳥を見る事は一度もない。領地にずっと住んでいる使用人にも鳥の事を聞いたが、誰も見たことがないと言っていた。
お義姉様が言っていた通り、中々見る事が出来ない鳥だった様だ。
そんな鳥の羽は、私の宝物として宝石箱に厳重に保管されている。いつか私も、お姉様の様に好きな人と結ばれるといいな。そう願っている。とはいえ、失恋したばかりの私には、まだまだ先の話かもしれないが。
「お嬢様、そろそろカスタマーディス伯爵令息様がいらっしゃるお時間です」
「あら、もうそんな時間なのね。分かったわ、すぐに行くわね」
今日から1週間、ディアンが家の領地に遊びに来ることになっているのだ。急いで外に出て、ディアンの到着を待つ。するとお兄様とお義姉様も外に出て来た。
「今日はディアン殿が我が家に遊びに来る日だったね。実はディアン殿とは、何度か領地で会った事があってね。あそこの領地は、温泉を利用して今やかなりの観光地になっているよ。それも観光地にする事を提案したのは、ディアン殿らしい。ユーリも結婚するなら、ああいう男性がいいのではないのかい?」
お兄様がそんなふざけたことを言っている。
「ディアン様は確かにとても頭が切れる方ですが、何と言いますか無口であまり表情を表に出さないイメージがありますわ。だからユーリちゃんには、あまり合わないのではなくって?」
えっ?ディアンがあまり表情を表に出さないですって?どちらかと言えば、明るいタイプの人間だと思うのだけれど…
「確かにカトリナがいると、ディアン殿はあまり話さなくなるね。きっと令嬢が苦手なのだろう」
そう言ってお兄様が笑っていた。その時だった。ディアンの家の馬車が、こちらにやって来たのだ。
馬車が停まると、ディアンが降りて来た。
「ディアン、いらっしゃい」
「ユーリ、久しぶりだね。と言っても、2週間ぶりか。それでも僕にとっては、かなりの時間会っていない気がするよ。オルガノ殿、夫人、しばらくお世話になります」
「よく来たね、ディアン殿。相変わらず何もないところだけれど、ゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます。それじゃあユーリ、僕の部屋に案内してくれるかい?」
「もちろんよ、私ね、ディアンを連れて行きたい場所があるの。とても素敵な場所なのよ。きっとディアンも気に入ると思うわ。早速行きましょう」
「おい、ユーリ。ディアン殿は今さっき、領地に着いたばかりなのだぞ。明日でもいいだろう?」
「何を言っているのですか?いいですか、お兄様。まだお昼過ぎですよ。私は早く、ディアンをあの場所に連れて行きたいのです。それにお兄様、明日はディアンと一緒に狩りに行くと言っていたではありませんか?それとも明日の狩りは、中止ですか?」
「そうだったな。とてもいい狩場を見つけたから、ディアン殿と一緒に行こうと思っていたのだった。分かったよ、ディアン殿がよいなら、行ってくるといい」
「僕は大丈夫ですよ。それじゃあ、早速ユーリが行きたい場所に向かおう」
そう言うと、いつもの様に私の手を握るディアン。
「ディアン、まずは部屋から案内するわね。こっちよ。ディアンの部屋は、私の隣の部屋を準備したの。気に入ってくれるかしら?」
ディアンの好きな青と白を基調にした部屋を準備した。ディアンは昔から、青色が好きだと言っていたのだ。
「天井が青色だ。まるで空みたいな部屋だね。僕は空が大好きなんだよ。王都から離れて領地で暮し始めた頃、ユーリに会えないのがとても寂しくてね。そんな時父上が教えてくれたんだ。“空は王都と繋がっている、だからもしかしたら、ユーリ嬢も今ディアンと同じ空を見ているかもしれないよ”てね。ユーリと同じ空を見ているかもしれないと思ったら、なんだか嬉しくて。それ以降、よく僕は空を見ていたんだ」
「そうだったの。確かに空はどこまでも繋がっているものね。ディアン、あなたはずっと私の事を覚えていてくれたのね。なんだか嬉しいわ」
「僕はユーリの事を、1日だって忘れた事なんてないよ。君は僕の大切な人だから」
大切な人か…
私にとっても、ディアンは大切な人だ。またこんな風に、ディアンと再会できたことが、嬉しくてたまらない。それにディアンといると、とても楽しいのだ。
「ユーリ、君が連れて行きたいと言っていた場所に行こうよ。一体どんな場所に連れて行ってくれるのか、楽しみだな」
そうだったわ、ディアンをあの場所に連れて行ってあげないと。もしかしたら、虹色の鳥も見られるかもしれないわ。
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