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第21話:こんな綺麗な場所があっただなんて…
しおりを挟む「お嬢様、どこに向かわれるのですか?あまり森の奥に行くのは危険です」
私が奥に行こうとしたところを、メイドに止められた。
「あら、大丈夫よ。だって、ちゃんと道になっているのですもの。少し奥に行くだけだから」
そうメイドに伝え、奥の小道を進んでいく。一体どこに繋がっているのかしら?しばらく進むと、開けた場所に着いた。
そこには大きな滝が。さらに滝の周りには、溢れんばかりの虹色の花が咲き乱れていたのだ。滝からは虹が出来、さらに周りを虹色の光が輝いている。
「なんて綺麗な場所なの…こんな綺麗な場所があっただなんて…」
本来虹色に輝く花は、とても珍しく数本単位でしか咲いていないのだ。でも、この場所は数十本、いいえ、百本単位で咲いているのだ。こんなにたくさんの虹色の花は、初めて見たわ。
さらに見た事のない美しい鳥までいる。よく見るとあの鳥も、虹色の羽をしているわ。あんな美しい鳥がこの世に存在していただなんて…
ただ、私の存在に気が付いた鳥が、飛び立ってしまった。その時、虹色の羽を落としていったのだ。
そっと虹色の羽を手に取った。光を浴び、キラキラと光っていて本当に綺麗なのだ。なんて綺麗なのかしら?
あまりの美しさに、その場を動く事が出来ない。そろそろ戻らないといけないのは分かっているが、どうしても動く事が出来ないのだ。
「お嬢様、そろそろお戻りになられないと」
「ええ、分かっているわ。でも、なんだか動けなくて…」
その時だった。
「ユーリちゃん、ここにいたのね」
この声は、お義姉様だ。
「お義姉様、私を探しに来てくださったのですか?ごめんなさい、そろそろ戻ろうと思っていたのですが、あまりの美しさに中々動く事が出来なくて…」
「いいのよ、この場所、本当に美しいものね。まるで天国の様な、神秘的な場所。私もこの場所が、大好きなのよ」
「お義姉様もですか?本当に素敵な場所ですね。今まで何度も領地の森には来ていたはずなのに、気が付かなかっただなんて…」
領地に来るたびに、あの湖には何度も足を運んでいたのに、奥にこんな素敵な場所があるだなんて、全く気が付かなかった。
「実はこの場所、半年前にたまたまオルガノが見つけたの。当時は木々が生い茂っていたから、ずっと人の目に触れられることはなかったのよ。でも、あまりにも美しい場所だから、いつでも来られる様にと、道を作ってもらったの。だからユーリちゃんが、今まで気が付かないのも無理はないわ」
「そうだったのですね。それじゃあ、まだこの森には他にも素敵な場所があるのかもしれませんね。私も冒険をしてみようかしら?」
もっと素敵な場所が見つかるかもしれない、そう思ったのだが。
「この森にはクマもいるから、あまり奥にはいかない方がいいわ。ここは安全だから、問題ないけれどね」
昔から森にはクマがいると、お父様が言っていたわね。もっと素敵な場所があるかもしれないのに…でも、万が一クマに出くわしたら大変だ。
「さあ、ユーリちゃん、そろそろ戻りましょう。あら?その手に持っているのもは…」
「これですか?ここに来てすぐに、虹色に輝く珍しい鳥を見かけて。その鳥がこの羽を落としていったのですわ」
「ユーリちゃん、サンクトスを見たの?サンクトスは、虹色に輝く羽をもっているのが特徴の鳥で、森の奥に生息しているのだけれど、非常に憶病で、中々見る事が出来ないのよ。サンクトスを見られた人には、幸運が訪れると言われているの」
「まあ、そんな珍しい鳥なのですか?幸運が訪れるか。私にも幸運が訪れるのかしら?」
「ええ、きっと訪れるわ。それから、サンクトスの羽にはね、不思議な力が宿っていると言われているのよ。その羽を手に入れた人は、生涯好きな人とずっと一緒にいられるのですって」
好きな人とずっと一緒にいられる羽か…きっと迷信だろうが、それでもなんだか嬉しい。あの美しい鳥を見られただけで、私は既に幸せだ。
「この羽は私の宝物にしますわ。それにしても、お義姉様は物知りなのですね」
「まあね、実は私の家の領地にも、サンクトスが生息していると言われていて。私もユーリちゃんくらいの年だったかしら?領地の森でサンクトスを見かけて、たまたま羽を拾ったの。その後大好きだったオルガノと恋人同士になれて、そして私は彼と結婚できたのよ」
なんと!お義姉様もサンクトスを見て、羽を拾っていただなんて。
「私も最初は迷信だと思っていたけれど、それでも私は大好きな人と結婚できた事実は変わらないわ。だからきっと、ユーリちゃんも素敵な殿方と結ばれるはずよ。私はそう信じているわ」
そう言ってお義姉様がほほ笑んでいる。
「お義姉様、色々と教えてくださり、ありがとうございます。なんだか私にも、素敵な殿方が現れる様な気がしてきましたわ」
お義姉様の話を聞いて、私にも本当に素敵な殿方が現れるのではないか、そんな気がして来たのだ。いつか私も、お義姉様みたいに大好きな人とずっと一緒にいられたら…
羽を見つめながら、来るかどうかわからない幸せな未来を夢見ずにはいられなかったのだった。
私が奥に行こうとしたところを、メイドに止められた。
「あら、大丈夫よ。だって、ちゃんと道になっているのですもの。少し奥に行くだけだから」
そうメイドに伝え、奥の小道を進んでいく。一体どこに繋がっているのかしら?しばらく進むと、開けた場所に着いた。
そこには大きな滝が。さらに滝の周りには、溢れんばかりの虹色の花が咲き乱れていたのだ。滝からは虹が出来、さらに周りを虹色の光が輝いている。
「なんて綺麗な場所なの…こんな綺麗な場所があっただなんて…」
本来虹色に輝く花は、とても珍しく数本単位でしか咲いていないのだ。でも、この場所は数十本、いいえ、百本単位で咲いているのだ。こんなにたくさんの虹色の花は、初めて見たわ。
さらに見た事のない美しい鳥までいる。よく見るとあの鳥も、虹色の羽をしているわ。あんな美しい鳥がこの世に存在していただなんて…
ただ、私の存在に気が付いた鳥が、飛び立ってしまった。その時、虹色の羽を落としていったのだ。
そっと虹色の羽を手に取った。光を浴び、キラキラと光っていて本当に綺麗なのだ。なんて綺麗なのかしら?
あまりの美しさに、その場を動く事が出来ない。そろそろ戻らないといけないのは分かっているが、どうしても動く事が出来ないのだ。
「お嬢様、そろそろお戻りになられないと」
「ええ、分かっているわ。でも、なんだか動けなくて…」
その時だった。
「ユーリちゃん、ここにいたのね」
この声は、お義姉様だ。
「お義姉様、私を探しに来てくださったのですか?ごめんなさい、そろそろ戻ろうと思っていたのですが、あまりの美しさに中々動く事が出来なくて…」
「いいのよ、この場所、本当に美しいものね。まるで天国の様な、神秘的な場所。私もこの場所が、大好きなのよ」
「お義姉様もですか?本当に素敵な場所ですね。今まで何度も領地の森には来ていたはずなのに、気が付かなかっただなんて…」
領地に来るたびに、あの湖には何度も足を運んでいたのに、奥にこんな素敵な場所があるだなんて、全く気が付かなかった。
「実はこの場所、半年前にたまたまオルガノが見つけたの。当時は木々が生い茂っていたから、ずっと人の目に触れられることはなかったのよ。でも、あまりにも美しい場所だから、いつでも来られる様にと、道を作ってもらったの。だからユーリちゃんが、今まで気が付かないのも無理はないわ」
「そうだったのですね。それじゃあ、まだこの森には他にも素敵な場所があるのかもしれませんね。私も冒険をしてみようかしら?」
もっと素敵な場所が見つかるかもしれない、そう思ったのだが。
「この森にはクマもいるから、あまり奥にはいかない方がいいわ。ここは安全だから、問題ないけれどね」
昔から森にはクマがいると、お父様が言っていたわね。もっと素敵な場所があるかもしれないのに…でも、万が一クマに出くわしたら大変だ。
「さあ、ユーリちゃん、そろそろ戻りましょう。あら?その手に持っているのもは…」
「これですか?ここに来てすぐに、虹色に輝く珍しい鳥を見かけて。その鳥がこの羽を落としていったのですわ」
「ユーリちゃん、サンクトスを見たの?サンクトスは、虹色に輝く羽をもっているのが特徴の鳥で、森の奥に生息しているのだけれど、非常に憶病で、中々見る事が出来ないのよ。サンクトスを見られた人には、幸運が訪れると言われているの」
「まあ、そんな珍しい鳥なのですか?幸運が訪れるか。私にも幸運が訪れるのかしら?」
「ええ、きっと訪れるわ。それから、サンクトスの羽にはね、不思議な力が宿っていると言われているのよ。その羽を手に入れた人は、生涯好きな人とずっと一緒にいられるのですって」
好きな人とずっと一緒にいられる羽か…きっと迷信だろうが、それでもなんだか嬉しい。あの美しい鳥を見られただけで、私は既に幸せだ。
「この羽は私の宝物にしますわ。それにしても、お義姉様は物知りなのですね」
「まあね、実は私の家の領地にも、サンクトスが生息していると言われていて。私もユーリちゃんくらいの年だったかしら?領地の森でサンクトスを見かけて、たまたま羽を拾ったの。その後大好きだったオルガノと恋人同士になれて、そして私は彼と結婚できたのよ」
なんと!お義姉様もサンクトスを見て、羽を拾っていただなんて。
「私も最初は迷信だと思っていたけれど、それでも私は大好きな人と結婚できた事実は変わらないわ。だからきっと、ユーリちゃんも素敵な殿方と結ばれるはずよ。私はそう信じているわ」
そう言ってお義姉様がほほ笑んでいる。
「お義姉様、色々と教えてくださり、ありがとうございます。なんだか私にも、素敵な殿方が現れる様な気がしてきましたわ」
お義姉様の話を聞いて、私にも本当に素敵な殿方が現れるのではないか、そんな気がして来たのだ。いつか私も、お義姉様みたいに大好きな人とずっと一緒にいられたら…
羽を見つめながら、来るかどうかわからない幸せな未来を夢見ずにはいられなかったのだった。
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