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第13話:ずっと孤独だった~ミリアム視点~
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“私たちの可愛いミリアム。今日もいい子にしていてね”
“ミリアムは本当に可愛いね。僕の大切な妹だよ”
幼い頃、何度となく聞いてきた言葉。私には両親、それに12歳と10歳上の兄がいる。両親も兄たちも、私の事をいつも可愛がってくれていた。私は両親や兄たちから愛されている、ずっとそう自分に言い聞かせて来た。
でも…
国王と王妃でもある両親はいつも忙しくて、私の傍にいてはくれない。一番上のお兄様は私の事を可愛い可愛いと言いながらも、公務と勉学、さらに婚約者との時間が大切な様だ。二番目のお兄様は、私が8歳の時に、グランズ王国の第一王女と結婚し、グランズ王国に行ってしまった。
彼らは私を愛している、誰よりも大切と口では言っても、決して行動に移してはくれないのだ。私はただ、両親とお兄様が傍にいてくれたら、それだけで嬉しいのに…
そんな私は、この国の第一王女だ。教育係からは常々
“あなた様は王女殿下なのです。我が儘を言ってはいけません。相手に感情を読まれてはいけません。常にブライドを持ち、凛としていなければいけないのです”
そう言われて育った。そう、私は我が儘を言ってはいけないのだ。どんなに寂しくても、心にぽっかり穴が空いていても、お忙しい両親やお兄様に傍にいて欲しいと言ってはいけない。
ただ両親やお兄様も、私に寂しい思いをさせているという自覚があるのか、事あるごとにプレゼントを贈ってくるのだ。他国の珍しいお菓子やおもちゃ、宝石、ドレスにぬいぐるみ。部屋には両親やお兄様がくれたプレゼントで溢れかえっていた。
私はこんなものはいらない、ただ…お父様やお母様、お兄様が傍にいてくれたら、それだけで幸せなのに…
でも、私は王女なのだから、我慢しないと!そう自分に言い聞かせ、日々過ごしてきた。そんな私も、気が付けば10歳、そろそろ他の貴族との交流をとの事で、ある公爵家のお茶会に初めて参加した。
もしかしたらここで、お友達が出来るかもしれない。そんな期待を抱いて参加したのだが、何分私は、今まで教育係くらいしか人と関わってこなかった。だから、どう接してよいのか分からないのだ。
ただ教育係からは“王女らしくなさっていればよいのです”というアドバイスをもらった。だから私は、王女として恥ずかしくない様に振舞ったのだが…
なぜか皆、最初は笑顔で話しかけてきて下さるのに、途中から顔を引きつらせて去って行ってしまうのだ。それがものすごくショックだった。
それでもお友達が欲しくて、何度かお茶会に参加したのだが、お友達は出来なかった。
どうしてお友達が出来なにだろう。私はただ、皆様と仲良くしたいだけなのに…
でも、自分で分かっている。どうしても素直になれない私は、つい上から話しをしてしまうのだ。それがきっと、よくないのだろう。素直に“お友達になってください”と言えればいいのだが、正直に話すことが出来ないのだ。
「本当に私って駄目ね…」
よく考えたら、両親やお兄様にすら相手にされていない私が、他人でもある令嬢や令息に相手にされる訳がない。11歳で婚約をした婚約者にも、もちろん相手にされていないし…
次第に他の貴族から避けられる様になった私は、人と関わる事を諦めた。1人でいようと決めたら、なんだか心が少し軽くなった。
そして月日は流れ、私は14歳になった。面倒な貴族学院に入学したのだ。既に友達を作る事を諦めていた私は、“1人でも平気です”という顔をして、背筋を伸ばし学院に通った。
周りの貴族も、私に話しかけてくるものはいない。でも、それでいい、私は1人でも平気だから!
でも…
楽しそうにおしゃべりをしている令嬢たちを見ると、ほんの少しだけ羨ましく感じるときもある。でもいくら羨ましがっても、決して手に入らない事は分かっている。
羨ましがるだけ無駄なのだ。
そんな日々を送っていたある日。
「ミリアム、明日からラフリーの義妹が、貴族学院に通う事になっているの。とてもいい子だそうだから、あなたとお友達になれるかもしれないわよ」
お母様が急にそんな事を言い出したのだ。従兄妹のラフリー兄様は、アラステ王国の公爵令嬢と結婚した。彼女の妹が今、この国に避難しているらしい。どうやらアラステ王国の王太子は、婚約者だったその子に婚約解消を迫り、あろう事か側妃になる様に迫ったらしい。
その上断られると、権力を利用して彼女を地下牢に押し込めたそうだ。本当にあり得ない話だ。頭のおかしな王太子から身を守るため、姉でもあるクレスティル公爵夫人を頼って、この国に来ていると叔母様が言っていた。
そんな子が、明日から貴族学院に通うのか…婚約者に裏切られ、家族からも無理やり引き離されて、たった1人で知らない国で暮らしているだなんて…どれほど心細くて、辛い思いをしたのだろう。
出来れば彼女と仲良くなって、彼女を支えてあげたい。でも…私みたいな女と仲良くなんて、したくはないわよね。私は皆から避けられる様な人間なのだから…
“ミリアムは本当に可愛いね。僕の大切な妹だよ”
幼い頃、何度となく聞いてきた言葉。私には両親、それに12歳と10歳上の兄がいる。両親も兄たちも、私の事をいつも可愛がってくれていた。私は両親や兄たちから愛されている、ずっとそう自分に言い聞かせて来た。
でも…
国王と王妃でもある両親はいつも忙しくて、私の傍にいてはくれない。一番上のお兄様は私の事を可愛い可愛いと言いながらも、公務と勉学、さらに婚約者との時間が大切な様だ。二番目のお兄様は、私が8歳の時に、グランズ王国の第一王女と結婚し、グランズ王国に行ってしまった。
彼らは私を愛している、誰よりも大切と口では言っても、決して行動に移してはくれないのだ。私はただ、両親とお兄様が傍にいてくれたら、それだけで嬉しいのに…
そんな私は、この国の第一王女だ。教育係からは常々
“あなた様は王女殿下なのです。我が儘を言ってはいけません。相手に感情を読まれてはいけません。常にブライドを持ち、凛としていなければいけないのです”
そう言われて育った。そう、私は我が儘を言ってはいけないのだ。どんなに寂しくても、心にぽっかり穴が空いていても、お忙しい両親やお兄様に傍にいて欲しいと言ってはいけない。
ただ両親やお兄様も、私に寂しい思いをさせているという自覚があるのか、事あるごとにプレゼントを贈ってくるのだ。他国の珍しいお菓子やおもちゃ、宝石、ドレスにぬいぐるみ。部屋には両親やお兄様がくれたプレゼントで溢れかえっていた。
私はこんなものはいらない、ただ…お父様やお母様、お兄様が傍にいてくれたら、それだけで幸せなのに…
でも、私は王女なのだから、我慢しないと!そう自分に言い聞かせ、日々過ごしてきた。そんな私も、気が付けば10歳、そろそろ他の貴族との交流をとの事で、ある公爵家のお茶会に初めて参加した。
もしかしたらここで、お友達が出来るかもしれない。そんな期待を抱いて参加したのだが、何分私は、今まで教育係くらいしか人と関わってこなかった。だから、どう接してよいのか分からないのだ。
ただ教育係からは“王女らしくなさっていればよいのです”というアドバイスをもらった。だから私は、王女として恥ずかしくない様に振舞ったのだが…
なぜか皆、最初は笑顔で話しかけてきて下さるのに、途中から顔を引きつらせて去って行ってしまうのだ。それがものすごくショックだった。
それでもお友達が欲しくて、何度かお茶会に参加したのだが、お友達は出来なかった。
どうしてお友達が出来なにだろう。私はただ、皆様と仲良くしたいだけなのに…
でも、自分で分かっている。どうしても素直になれない私は、つい上から話しをしてしまうのだ。それがきっと、よくないのだろう。素直に“お友達になってください”と言えればいいのだが、正直に話すことが出来ないのだ。
「本当に私って駄目ね…」
よく考えたら、両親やお兄様にすら相手にされていない私が、他人でもある令嬢や令息に相手にされる訳がない。11歳で婚約をした婚約者にも、もちろん相手にされていないし…
次第に他の貴族から避けられる様になった私は、人と関わる事を諦めた。1人でいようと決めたら、なんだか心が少し軽くなった。
そして月日は流れ、私は14歳になった。面倒な貴族学院に入学したのだ。既に友達を作る事を諦めていた私は、“1人でも平気です”という顔をして、背筋を伸ばし学院に通った。
周りの貴族も、私に話しかけてくるものはいない。でも、それでいい、私は1人でも平気だから!
でも…
楽しそうにおしゃべりをしている令嬢たちを見ると、ほんの少しだけ羨ましく感じるときもある。でもいくら羨ましがっても、決して手に入らない事は分かっている。
羨ましがるだけ無駄なのだ。
そんな日々を送っていたある日。
「ミリアム、明日からラフリーの義妹が、貴族学院に通う事になっているの。とてもいい子だそうだから、あなたとお友達になれるかもしれないわよ」
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そんな子が、明日から貴族学院に通うのか…婚約者に裏切られ、家族からも無理やり引き離されて、たった1人で知らない国で暮らしているだなんて…どれほど心細くて、辛い思いをしたのだろう。
出来れば彼女と仲良くなって、彼女を支えてあげたい。でも…私みたいな女と仲良くなんて、したくはないわよね。私は皆から避けられる様な人間なのだから…
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