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第12話:友達が増えました
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「おはようございます、ミリアム様」
「おはよう、キャリーヌ。今日も相変わらず元気ね。今日は移動教室よ。行きましょう」
ミリアム様と一緒に、別の教室へと向かう。
貴族学院に入って早1週間。すっかりミリアム様と仲良くなった。毎日の様に、ミリアム様と一緒に過ごしている。
ミリアム様はどうやら、ご自分の気持ちを表現するのが苦手な様だ。それでも私には、とても親切にしてくれる。相変わらず令嬢たちは私に一切近づいてこないが、それでもミリアム様がいてくれるから、毎日とても楽しいのだ。
今日はミリアム様の為に、料理長にお菓子を作ってもらって来たのだ。ミリアム様、喜んでくれるかしら?授業中、つい関係のない事を考えてしまう。いけないわ、授業に集中しないと。
今は令息と令嬢別々の授業。令嬢は刺繍、令息は剣の授業を受けている。
その時だった。
「どうしましょう…裁縫セットを忘れてきてしまったわ…」
隣の席の令嬢が、顔を真っ青にして呟いている。
「よろしければ、こちらの裁縫セットを使ってください」
「でも、キャリーヌ様がお困りになられますわ…」
「私は大丈夫ですわ。2つ持っておりますの。ですから、遠慮せずに使ってください。困った時は、お互い様です」
今日はたまたま古い裁縫セットと新しい裁縫セット、2つ持ってきていたのだ。新しい裁縫セットを、令嬢に渡した。
「ありがとうございます。助かりますわ」
嬉しそうに令嬢が裁縫セットを受け取ってくれた。私の裁縫セットが役に立つだなんて、2つ持ってきてよかったわ。
裁縫の授業が終わった後、自分の教室に戻ってきた時だった。
「キャリーヌ様、先ほどは裁縫セットを貸していただき、ありがとうございました。それから、先日はキャリーヌ様に酷い態度を取ってしまい、申し訳ございませんでした」
先ほど裁縫セットを貸してあげた令嬢が、話しかけてきたのだ。
「お役に立ててよかったですわ。先日の件は、気にしないで下さい。もしよろしければ、私と仲良くしてくださると嬉しいですわ」
「もちろんですわ。あっ…でも…その…キャリーヌ様はミリアム殿下と、お友達なのですよね?私たちが一緒にいては、ミリアム殿下が嫌がるのでは…」
「どうしてミリアム様が、あなた様達の事を嫌がるのですか?ミリアム様は、そんな人ではありませんよ。確かにミリアム様は、ご自分の気持ちを伝えるのが苦手なところがありますが、きっと皆さまと仲良くしたいと考えておりますわ。ねえ、ミリアム様」
遠くで様子を見ていたミリアム様に向かって話しかけた。
「わ…私は別に、皆様と仲良く何てしたい訳では…」
「また訳の分からない事を言って!本当にミリアム様は、ご自分の気持ちを伝えるのが苦手ですわね。申し訳ございません、ミリアム様は少し混乱している様でして。ほら、ミリアム様、落ち着てい下さい」
ミリアム様の背中を優しくさすった。すると
「あの…私はその…こんな性格ですが、もしよろしければ、私とも仲良くしてくださると嬉しいですわ…もちろん、無理強いはしませんが…」
俯き加減で、ミリアム様が呟いた。彼女なりに、一生懸命自分の気持ちを伝えたのだろう。そんなミリアム様を、ギュッと抱きしめた。
するといつの間にか集まっていた令嬢たちが、顔を見合わせている。そして
「ミリアム殿下がそうおっしゃって下さるのなら、ぜひよろしくお願いします。キャリーヌ様も、どうか仲良くしてくださいね。そうですわ、早速今日のお昼、皆で食事をしましょう」
「そうしましょう。キャリーヌ様、あの…初日は申し訳ございませんでした。変な嫉妬をしてしまって…」
「他国からいらっしゃったキャリーヌ様にあんな態度を取ってしまった事、令嬢として恥ずかしい限りですわ。私もぜひ仲良くしてくださいませ。ミリアム殿下も、よろしくお願いします」
令嬢たちが次々に話しかけてくれたのだ。
「ありがとうございます、皆様とこんな風にお話しできて嬉しいですわ。ねえ、ミリアム様」
「え…ええ、そうね」
一瞬悲しそうな顔をしたミリアム様。あら?どうしたのかしら?もしかして、ミリアム様は皆と仲良くなるのが嫌だったのかしら?
ミリアム様の様子が気になりつつも、昼食は令嬢たち皆で食べる事になった。どうやらまだ、大勢の令嬢たちと離すことが苦手なミリアム様は、どうしていいのか分からない様で、キョロキョロしていた。
そんなミリアム様を、それとなくフォローする。最初はぎこちなかったミリアム様だったが、令嬢たちと話しているうちに、少しずつ慣れて来た様だ。令嬢たちも
「ミリアム殿下はずっとお1人でいらしていたので、お1人でいるのがお好きなのだと思っておりましたわ」
「私もそう思っておりましたわ。ミリアム殿下には話しかけてはいけない気がしておりましたが、今日お話しが出来てよかったです」
そう言ってほほ笑んでいた。
ミリアム様も
「わ…私は1人が好きな訳ではなくて…その…自分の気持ちをうまく話せなくて…でも今日、皆様とお友達になれてよかったですわ。その…こんな私ですが、どうぞよろしくお願いします」
そう言って頭を下げていた。少しずつ自分の気持ちを正直に話せるようになってきたミリアム様。そんなミリアム様に、ギュッと抱き着いた。
「キャリーヌ、急にどうしたの?」
「ミリアム様、私ともずっとお友達でいて下さいね」
「当たり前じゃない。あなたは初めて出来た私の大切なお友達よ。あなたのお陰で私…いいえ、何でもないわ。これからもずっとずっと私たちはお友達よ」
そう言って少し恥ずかしそうに笑ったミリアム様。彼女とお友達になれて、さらに同じクラスの令嬢ともこんな風に仲良くなれて、本当によかったわ。きっとこれから、もっともっと楽しい事が待っているのだろう。
皆の笑顔を見ながら、そう思ったのだった。
※次回、ミリアム視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
「おはよう、キャリーヌ。今日も相変わらず元気ね。今日は移動教室よ。行きましょう」
ミリアム様と一緒に、別の教室へと向かう。
貴族学院に入って早1週間。すっかりミリアム様と仲良くなった。毎日の様に、ミリアム様と一緒に過ごしている。
ミリアム様はどうやら、ご自分の気持ちを表現するのが苦手な様だ。それでも私には、とても親切にしてくれる。相変わらず令嬢たちは私に一切近づいてこないが、それでもミリアム様がいてくれるから、毎日とても楽しいのだ。
今日はミリアム様の為に、料理長にお菓子を作ってもらって来たのだ。ミリアム様、喜んでくれるかしら?授業中、つい関係のない事を考えてしまう。いけないわ、授業に集中しないと。
今は令息と令嬢別々の授業。令嬢は刺繍、令息は剣の授業を受けている。
その時だった。
「どうしましょう…裁縫セットを忘れてきてしまったわ…」
隣の席の令嬢が、顔を真っ青にして呟いている。
「よろしければ、こちらの裁縫セットを使ってください」
「でも、キャリーヌ様がお困りになられますわ…」
「私は大丈夫ですわ。2つ持っておりますの。ですから、遠慮せずに使ってください。困った時は、お互い様です」
今日はたまたま古い裁縫セットと新しい裁縫セット、2つ持ってきていたのだ。新しい裁縫セットを、令嬢に渡した。
「ありがとうございます。助かりますわ」
嬉しそうに令嬢が裁縫セットを受け取ってくれた。私の裁縫セットが役に立つだなんて、2つ持ってきてよかったわ。
裁縫の授業が終わった後、自分の教室に戻ってきた時だった。
「キャリーヌ様、先ほどは裁縫セットを貸していただき、ありがとうございました。それから、先日はキャリーヌ様に酷い態度を取ってしまい、申し訳ございませんでした」
先ほど裁縫セットを貸してあげた令嬢が、話しかけてきたのだ。
「お役に立ててよかったですわ。先日の件は、気にしないで下さい。もしよろしければ、私と仲良くしてくださると嬉しいですわ」
「もちろんですわ。あっ…でも…その…キャリーヌ様はミリアム殿下と、お友達なのですよね?私たちが一緒にいては、ミリアム殿下が嫌がるのでは…」
「どうしてミリアム様が、あなた様達の事を嫌がるのですか?ミリアム様は、そんな人ではありませんよ。確かにミリアム様は、ご自分の気持ちを伝えるのが苦手なところがありますが、きっと皆さまと仲良くしたいと考えておりますわ。ねえ、ミリアム様」
遠くで様子を見ていたミリアム様に向かって話しかけた。
「わ…私は別に、皆様と仲良く何てしたい訳では…」
「また訳の分からない事を言って!本当にミリアム様は、ご自分の気持ちを伝えるのが苦手ですわね。申し訳ございません、ミリアム様は少し混乱している様でして。ほら、ミリアム様、落ち着てい下さい」
ミリアム様の背中を優しくさすった。すると
「あの…私はその…こんな性格ですが、もしよろしければ、私とも仲良くしてくださると嬉しいですわ…もちろん、無理強いはしませんが…」
俯き加減で、ミリアム様が呟いた。彼女なりに、一生懸命自分の気持ちを伝えたのだろう。そんなミリアム様を、ギュッと抱きしめた。
するといつの間にか集まっていた令嬢たちが、顔を見合わせている。そして
「ミリアム殿下がそうおっしゃって下さるのなら、ぜひよろしくお願いします。キャリーヌ様も、どうか仲良くしてくださいね。そうですわ、早速今日のお昼、皆で食事をしましょう」
「そうしましょう。キャリーヌ様、あの…初日は申し訳ございませんでした。変な嫉妬をしてしまって…」
「他国からいらっしゃったキャリーヌ様にあんな態度を取ってしまった事、令嬢として恥ずかしい限りですわ。私もぜひ仲良くしてくださいませ。ミリアム殿下も、よろしくお願いします」
令嬢たちが次々に話しかけてくれたのだ。
「ありがとうございます、皆様とこんな風にお話しできて嬉しいですわ。ねえ、ミリアム様」
「え…ええ、そうね」
一瞬悲しそうな顔をしたミリアム様。あら?どうしたのかしら?もしかして、ミリアム様は皆と仲良くなるのが嫌だったのかしら?
ミリアム様の様子が気になりつつも、昼食は令嬢たち皆で食べる事になった。どうやらまだ、大勢の令嬢たちと離すことが苦手なミリアム様は、どうしていいのか分からない様で、キョロキョロしていた。
そんなミリアム様を、それとなくフォローする。最初はぎこちなかったミリアム様だったが、令嬢たちと話しているうちに、少しずつ慣れて来た様だ。令嬢たちも
「ミリアム殿下はずっとお1人でいらしていたので、お1人でいるのがお好きなのだと思っておりましたわ」
「私もそう思っておりましたわ。ミリアム殿下には話しかけてはいけない気がしておりましたが、今日お話しが出来てよかったです」
そう言ってほほ笑んでいた。
ミリアム様も
「わ…私は1人が好きな訳ではなくて…その…自分の気持ちをうまく話せなくて…でも今日、皆様とお友達になれてよかったですわ。その…こんな私ですが、どうぞよろしくお願いします」
そう言って頭を下げていた。少しずつ自分の気持ちを正直に話せるようになってきたミリアム様。そんなミリアム様に、ギュッと抱き着いた。
「キャリーヌ、急にどうしたの?」
「ミリアム様、私ともずっとお友達でいて下さいね」
「当たり前じゃない。あなたは初めて出来た私の大切なお友達よ。あなたのお陰で私…いいえ、何でもないわ。これからもずっとずっと私たちはお友達よ」
そう言って少し恥ずかしそうに笑ったミリアム様。彼女とお友達になれて、さらに同じクラスの令嬢ともこんな風に仲良くなれて、本当によかったわ。きっとこれから、もっともっと楽しい事が待っているのだろう。
皆の笑顔を見ながら、そう思ったのだった。
※次回、ミリアム視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
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