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第34話:楽しい時間を過ごしました
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「ダルク様、結構購入いたしましたね」
「ああ、実は家族から、せっかくカリオス王国に行くのだから、すぐにでも絹を使ったスーツやドレスを買って送れと言われてね。母上と義姉上からは、寸法と細かなデザイン付きイラストまで渡されたんだ」
そう言ってダルク様が苦笑いをしている。なんだかんだ言って、ご家族とは仲良しなのだろう。それにしても、さっきデザインをちらりと見たが、結構細かく記載されていた。きっとあらかじめ、デザイナーに描かせたのだろう。
「私ばかり買ってしまって、すまなかったね。これ、ハンカチ。アンジュ嬢に似合いそうな可愛らしい花柄の物あったから、つい買ってしまった。よかったら受け取ってくれ」
「まあ、私にですか?ありがとうございます。せっかくなので、頂きますわ」
どうやら私の為に、ハンカチまで買ってくれていた様だ。優しいわね。
「ダルク様、お腹が空きませんか?そろそろ昼食にしましょう」
次に向かったのは、私がよく友人たちと行くお店だ。ここのハンバーグが絶品なのだ。
「我が国では牛肉の生産にも力を入れております。このお店は、ハンバーグが美味しいので、ぜひ食べて下さい」
「ハンバーグ?そう言えばカリオス王国では、その様な食べ物があると聞いたことがある様な…」
そうか、ミラージュ王国にはハンバーグが存在しないのだったわ。
「ハンバーグとは、お肉をミンチにし、丸めて焼いたお料理ですわ。このお店では、我が国で育てた牛肉を、粗目にミンチにした、肉々してジューシーな美味しいハンバーグがいただけるのですよ」
「そうなんだね、それは楽しみだ」
早速料理が運ばれてきた。今回はハンバーグがメインディッシュの、フルコースになっている。
「野菜も新鮮でおいしいな。それにこの野菜、見た事がないが…」
「それはアスパラガスと呼ばれる野菜です。ミラージュ王国では、あまり見かけませんでしたね」
「アスパラガスか、これは美味しいな」
どうやらダルク様は、アスパラガスが気に入った様だ。前菜やスープ、サラダを頂いた後は、いよいよメインディッシュ、大きめのハンバーグが運ばれてきた。
「鉄板が熱くなっておりますので、火傷には十分気を付けて下さいね」
「こんなお料理は初めて見た。それにハンバーグと呼ばれるものから、肉汁が溢れ出している。早速頂いてみるよ」
1口サイズに切ったハンバーグを、ゆっくり口に入れるダルク様。
「これはうまい。ジューシーで肉の味がしっかりついていて、それにこのソースとの相性も抜群だ。こんなおいしい料理は、初めて食べた」
「ダルク様ったら、大げさですわね」
「いいや、大げさなんかではない。このハンバーグ、ミラージュ王国でも人気が出そうだ。もしよければ、ミラージュ王国でもお店を出してもらいたいくらいだ」
もう、ダルク様ったら、本当に大げさなのだから。それにしても、本当にダルク様は、表情が豊かになった。それにダルク様と一緒にいると、なんだか落ち着くし楽しい。
すっかりハンバーグが気に入ったダルク様は、お替りをしていた。意外とよく食べる様だ。
最後はデザートだ。今日のデザートは、新鮮な苺をたっぷり使った、タルト。美味しそうね。
早速1口。うん、甘くて美味しいわ。私は甘いものが大好きなのだ。夢中で食べていると、なんだか視線を感じる。
スッと顔を上げると、ダルク様と目があった。
「アンジュ嬢は甘いものが大好きなんだね。私のもあげよう。私は甘いものがあまり好きではないから。それにハンバーグを食べすぎて、お腹がいっぱいでね」
「まあ、よろしいのですか?嬉しいですわ」
早速ダルク様から貰ったタルトも頂く。本当に美味しい。
「アンジュ嬢の幸せそうな顔を見ていると、私まで幸せな気持ちになれる。君は本当に、魅力的な女性だ…こんな私まで、変えてしまったのだから…」
最後の方が良く聞こえなかったわ。
「ダルク様、あの…最後の方が良く聞こえなかったのですが」
「ごめんごめん、気にしないでくれ」
なぜか急にダルク様が慌てだした。変なダルク様ね。
食事が終わると、再び街に繰り出し、ダルク様と一緒に見て回った。
「見て下さい、ダルク様、このお店、絹を使った製品を専門に扱っているお店です。カーテンやクロスなど、色々なものが売られているのですよ」
「本当だ、色々なものに、絹が使われているのか。これはすごいな」
目を丸くして、ダルク様がいろいろな物を手に取ってみている。ここでも、色々と買いこんでいた。
その後も時間をかけて、ゆっくりと見て回る。ただ、なんだか足が痛い。たくさん歩いたから、靴ずれをしたかしら?今日は王宮に向かうとあって、ヒールで来たのよね。ヒールで長時間歩いたから、きっとすれてしまったのだろう。
でも、ダルク様に心配をかけたくない。どうしよう…
「ああ、実は家族から、せっかくカリオス王国に行くのだから、すぐにでも絹を使ったスーツやドレスを買って送れと言われてね。母上と義姉上からは、寸法と細かなデザイン付きイラストまで渡されたんだ」
そう言ってダルク様が苦笑いをしている。なんだかんだ言って、ご家族とは仲良しなのだろう。それにしても、さっきデザインをちらりと見たが、結構細かく記載されていた。きっとあらかじめ、デザイナーに描かせたのだろう。
「私ばかり買ってしまって、すまなかったね。これ、ハンカチ。アンジュ嬢に似合いそうな可愛らしい花柄の物あったから、つい買ってしまった。よかったら受け取ってくれ」
「まあ、私にですか?ありがとうございます。せっかくなので、頂きますわ」
どうやら私の為に、ハンカチまで買ってくれていた様だ。優しいわね。
「ダルク様、お腹が空きませんか?そろそろ昼食にしましょう」
次に向かったのは、私がよく友人たちと行くお店だ。ここのハンバーグが絶品なのだ。
「我が国では牛肉の生産にも力を入れております。このお店は、ハンバーグが美味しいので、ぜひ食べて下さい」
「ハンバーグ?そう言えばカリオス王国では、その様な食べ物があると聞いたことがある様な…」
そうか、ミラージュ王国にはハンバーグが存在しないのだったわ。
「ハンバーグとは、お肉をミンチにし、丸めて焼いたお料理ですわ。このお店では、我が国で育てた牛肉を、粗目にミンチにした、肉々してジューシーな美味しいハンバーグがいただけるのですよ」
「そうなんだね、それは楽しみだ」
早速料理が運ばれてきた。今回はハンバーグがメインディッシュの、フルコースになっている。
「野菜も新鮮でおいしいな。それにこの野菜、見た事がないが…」
「それはアスパラガスと呼ばれる野菜です。ミラージュ王国では、あまり見かけませんでしたね」
「アスパラガスか、これは美味しいな」
どうやらダルク様は、アスパラガスが気に入った様だ。前菜やスープ、サラダを頂いた後は、いよいよメインディッシュ、大きめのハンバーグが運ばれてきた。
「鉄板が熱くなっておりますので、火傷には十分気を付けて下さいね」
「こんなお料理は初めて見た。それにハンバーグと呼ばれるものから、肉汁が溢れ出している。早速頂いてみるよ」
1口サイズに切ったハンバーグを、ゆっくり口に入れるダルク様。
「これはうまい。ジューシーで肉の味がしっかりついていて、それにこのソースとの相性も抜群だ。こんなおいしい料理は、初めて食べた」
「ダルク様ったら、大げさですわね」
「いいや、大げさなんかではない。このハンバーグ、ミラージュ王国でも人気が出そうだ。もしよければ、ミラージュ王国でもお店を出してもらいたいくらいだ」
もう、ダルク様ったら、本当に大げさなのだから。それにしても、本当にダルク様は、表情が豊かになった。それにダルク様と一緒にいると、なんだか落ち着くし楽しい。
すっかりハンバーグが気に入ったダルク様は、お替りをしていた。意外とよく食べる様だ。
最後はデザートだ。今日のデザートは、新鮮な苺をたっぷり使った、タルト。美味しそうね。
早速1口。うん、甘くて美味しいわ。私は甘いものが大好きなのだ。夢中で食べていると、なんだか視線を感じる。
スッと顔を上げると、ダルク様と目があった。
「アンジュ嬢は甘いものが大好きなんだね。私のもあげよう。私は甘いものがあまり好きではないから。それにハンバーグを食べすぎて、お腹がいっぱいでね」
「まあ、よろしいのですか?嬉しいですわ」
早速ダルク様から貰ったタルトも頂く。本当に美味しい。
「アンジュ嬢の幸せそうな顔を見ていると、私まで幸せな気持ちになれる。君は本当に、魅力的な女性だ…こんな私まで、変えてしまったのだから…」
最後の方が良く聞こえなかったわ。
「ダルク様、あの…最後の方が良く聞こえなかったのですが」
「ごめんごめん、気にしないでくれ」
なぜか急にダルク様が慌てだした。変なダルク様ね。
食事が終わると、再び街に繰り出し、ダルク様と一緒に見て回った。
「見て下さい、ダルク様、このお店、絹を使った製品を専門に扱っているお店です。カーテンやクロスなど、色々なものが売られているのですよ」
「本当だ、色々なものに、絹が使われているのか。これはすごいな」
目を丸くして、ダルク様がいろいろな物を手に取ってみている。ここでも、色々と買いこんでいた。
その後も時間をかけて、ゆっくりと見て回る。ただ、なんだか足が痛い。たくさん歩いたから、靴ずれをしたかしら?今日は王宮に向かうとあって、ヒールで来たのよね。ヒールで長時間歩いたから、きっとすれてしまったのだろう。
でも、ダルク様に心配をかけたくない。どうしよう…
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