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第10話:カリアにも心配をかけました
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病院につくと、手際よく処置を行う医師。
「大した事はありませんが、念のため包帯を巻いておきました。ばい菌が傷口に入らない様に、消毒を定期的に行ってください」
「ありがとうございました」
医師に頭を下げ、病室を出る。
「ダルク様、わざわざ付き添って頂き、ありがとうございました」
「いいえ、私の事は気にしないで下さい。ただ…あなたは令嬢なのです。もう少しご自分を大切された方がいいかと思います。今回は大した傷ではなかったかもしれませんが、一歩間違えれば大けがをしていたかもしれませんので」
「はい、今後は気を付けますわ。それでは…」
「お嬢様!!!」
この声は…
声の方を振り向くと、カリアが血相をかけてこちらに走って来る姿が目に入る。
「お嬢様、お怪我をされたとの事ですが、一体何があったのですか?まさか、クラスメイトに暴力を振るわれたのですか?もうこんな恐ろしい国に、お嬢様を置いておく訳にはいきません。一刻も早く、カリオス王国に帰りましょう。旦那様も奥様も、レイズ様も心配されております。とにかく一刻も早く…」
「落ち着いて、カリア。傷は大したことはなかったのよ。それに…」
「何が大したことがなかったですか?包帯を巻いていらっしゃるではありませんか?制服にも血が付いておりますし。大丈夫です、あなた様にはあなた様を心配してくれる沢山のご友人がいらっしゃるのです。確かにデイビッド様もいらっしゃいますが、ここで酷い虐めを受けるよりかはマシです。これ以上、お嬢様の心に傷を残すような事だけは、私は避けたいのです」
全く私の話を聞かないカリア。でも、それだけ心配をかけたという事なのね。
「ありがとう、カリア。でも、本当にこの傷は虐めによるものではないのよ。ちょっと雛鳥を助けようとして、鳥に襲われて…」
「えっ、雛鳥をですか?鳥に?」
「ええ、そうよ。それに私、やっとお友達も出来たの…」
冷静さを取り戻したのか、ふとダルク様の存在に気が付いたカリア。
「あなた様は、お嬢様のクラスメイトの方ですか?」
「はい、ダルク・ファリグラスと申します」
顔色一つ変えずに、クールに挨拶をするダルク様。
「お見苦しいところお見せしてしまい、申し訳ございませんでした。そうですか、お嬢様にこんなにも素敵な殿方のお友達が!デイビッド様よりもずっと知的で、素敵な殿方ではありませんか」
なぜここでデイビッド様の名前が出てくるのだろう。そう言えばカリアは、デイビッド様の事を嫌っていたわね…
「カリア、落ち着いて。彼はただのクラスメイトで、たまたま私が怪我をしたときに近くにいらしたため、付いて来てくださっただけよ。それに私のお友達は、スカーレット様という、とても素敵な令嬢だから。その辺は勘違いしないで」
そう伝えたのだが…
「お嬢様は、本当に素直で心お優しいお方です。自国で深く傷つき、静養もかねてこの地にやって参りました。どうか、どうかお嬢様の事を、よろしくお願いいたします。この通りです!」
何度も何度もダルク様に頭を下げるカリア。
「カリア、落ち着いて、ダルク様も困って…」
はいなさそうね。相変わらず表情一つ変えずに、こちらを見ている。
「カリア殿とおっしゃられましたね。アンジュ嬢が悪い人ではないという事は、私共も理解しました。それに、殿下の婚約者、スカーレット様もアンジュ嬢の事を気に入っておりますので、もう大丈夫かと。アンジュ嬢、改めて私からも謝罪させてほしい。今まで酷い事をしてしまい、本当に申し訳なかった」
相変わらず表情1つ変えずに、頭を下げるダルク様。
「あの、頭をお上げください。本当に私はもう…」
「まあ、お嬢様がお友達になられたお方は、王族の婚約者の方なのですか?」
私の言葉を遮るのは、カリアだ。
「はい、我が国の王太子殿下、イカロス殿下の婚約者で、公爵令嬢のスカーレット様です」
スカーレット様って、公爵令嬢だったの?きっと身分の高い人だとは思っていたけれど…私、そんな高貴な身分の方と、お友達になったのね。
「そうでしたか…どんな方であろうと、どうかお嬢様の事をよろしくお願いいたしますと、お伝え願えますでしょうか?」
「承知いたしました。それでは私はこれで。アンジュ嬢、また明日」
「はい!ダルク様、今日はありがとうございました」
ダルク様に向かって、頭を下げた。やはり表情は変えず、そのままダルク様は病院を出て行った。本当にクールな方だわ。
「お嬢様、素敵な殿方ではありませんか?わざわざお嬢様の怪我を心配して付いて来てくださるだなんて。私はお嬢様がミラージュ王国に嫁ぐことになっても、付いて行きますからご安心ください」
なぜか満面の笑みで訳の分からない事を言っているカリア。
「何か誤解している様だけれど、私とダルク様はそんな関係ではないわ。正義感が強い方なのよ。ただそれだけ」
決して私とダルク様は、そんな関係ではない。カリアは少し思い込みが激しいところがある。そもそもダルク様はとても素敵な男性だ、きっと婚約者の方がいらっしゃるだろう。
「大した事はありませんが、念のため包帯を巻いておきました。ばい菌が傷口に入らない様に、消毒を定期的に行ってください」
「ありがとうございました」
医師に頭を下げ、病室を出る。
「ダルク様、わざわざ付き添って頂き、ありがとうございました」
「いいえ、私の事は気にしないで下さい。ただ…あなたは令嬢なのです。もう少しご自分を大切された方がいいかと思います。今回は大した傷ではなかったかもしれませんが、一歩間違えれば大けがをしていたかもしれませんので」
「はい、今後は気を付けますわ。それでは…」
「お嬢様!!!」
この声は…
声の方を振り向くと、カリアが血相をかけてこちらに走って来る姿が目に入る。
「お嬢様、お怪我をされたとの事ですが、一体何があったのですか?まさか、クラスメイトに暴力を振るわれたのですか?もうこんな恐ろしい国に、お嬢様を置いておく訳にはいきません。一刻も早く、カリオス王国に帰りましょう。旦那様も奥様も、レイズ様も心配されております。とにかく一刻も早く…」
「落ち着いて、カリア。傷は大したことはなかったのよ。それに…」
「何が大したことがなかったですか?包帯を巻いていらっしゃるではありませんか?制服にも血が付いておりますし。大丈夫です、あなた様にはあなた様を心配してくれる沢山のご友人がいらっしゃるのです。確かにデイビッド様もいらっしゃいますが、ここで酷い虐めを受けるよりかはマシです。これ以上、お嬢様の心に傷を残すような事だけは、私は避けたいのです」
全く私の話を聞かないカリア。でも、それだけ心配をかけたという事なのね。
「ありがとう、カリア。でも、本当にこの傷は虐めによるものではないのよ。ちょっと雛鳥を助けようとして、鳥に襲われて…」
「えっ、雛鳥をですか?鳥に?」
「ええ、そうよ。それに私、やっとお友達も出来たの…」
冷静さを取り戻したのか、ふとダルク様の存在に気が付いたカリア。
「あなた様は、お嬢様のクラスメイトの方ですか?」
「はい、ダルク・ファリグラスと申します」
顔色一つ変えずに、クールに挨拶をするダルク様。
「お見苦しいところお見せしてしまい、申し訳ございませんでした。そうですか、お嬢様にこんなにも素敵な殿方のお友達が!デイビッド様よりもずっと知的で、素敵な殿方ではありませんか」
なぜここでデイビッド様の名前が出てくるのだろう。そう言えばカリアは、デイビッド様の事を嫌っていたわね…
「カリア、落ち着いて。彼はただのクラスメイトで、たまたま私が怪我をしたときに近くにいらしたため、付いて来てくださっただけよ。それに私のお友達は、スカーレット様という、とても素敵な令嬢だから。その辺は勘違いしないで」
そう伝えたのだが…
「お嬢様は、本当に素直で心お優しいお方です。自国で深く傷つき、静養もかねてこの地にやって参りました。どうか、どうかお嬢様の事を、よろしくお願いいたします。この通りです!」
何度も何度もダルク様に頭を下げるカリア。
「カリア、落ち着いて、ダルク様も困って…」
はいなさそうね。相変わらず表情一つ変えずに、こちらを見ている。
「カリア殿とおっしゃられましたね。アンジュ嬢が悪い人ではないという事は、私共も理解しました。それに、殿下の婚約者、スカーレット様もアンジュ嬢の事を気に入っておりますので、もう大丈夫かと。アンジュ嬢、改めて私からも謝罪させてほしい。今まで酷い事をしてしまい、本当に申し訳なかった」
相変わらず表情1つ変えずに、頭を下げるダルク様。
「あの、頭をお上げください。本当に私はもう…」
「まあ、お嬢様がお友達になられたお方は、王族の婚約者の方なのですか?」
私の言葉を遮るのは、カリアだ。
「はい、我が国の王太子殿下、イカロス殿下の婚約者で、公爵令嬢のスカーレット様です」
スカーレット様って、公爵令嬢だったの?きっと身分の高い人だとは思っていたけれど…私、そんな高貴な身分の方と、お友達になったのね。
「そうでしたか…どんな方であろうと、どうかお嬢様の事をよろしくお願いいたしますと、お伝え願えますでしょうか?」
「承知いたしました。それでは私はこれで。アンジュ嬢、また明日」
「はい!ダルク様、今日はありがとうございました」
ダルク様に向かって、頭を下げた。やはり表情は変えず、そのままダルク様は病院を出て行った。本当にクールな方だわ。
「お嬢様、素敵な殿方ではありませんか?わざわざお嬢様の怪我を心配して付いて来てくださるだなんて。私はお嬢様がミラージュ王国に嫁ぐことになっても、付いて行きますからご安心ください」
なぜか満面の笑みで訳の分からない事を言っているカリア。
「何か誤解している様だけれど、私とダルク様はそんな関係ではないわ。正義感が強い方なのよ。ただそれだけ」
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