いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

えっしゃー(エミリオ猫)

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アルフを歓迎したい(side原作&転生デニス)

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【 side原作(アルフ視点)】


   デニス義兄上がアッカー家の館を案内してくれた。
庭には、大きなリンゴの樹があった。

  「お前にこの樹のリンゴを1個やろう。
      採っていいぞ。」

  「ありがとうございます。」

    1番近くの赤く美味しそうなリンゴに手を伸ばす。

  「ああ、待て待て。」

   義兄に止められ、手を止めた。


「お前は、このアッカー家の主、頂点となる者だ。 
    そんな下に実ったリンゴを食べるなど、不相応だろう。
   あの、樹のてっぺんに実ったリンゴを食べるといい。さぁ どうぞ。」


   そう言って樹の上を指さした。

   ボクは義兄の圧に何も言い返せず、仕方なく樹に足をかけ、登ろうとしたのだが…

「あっ!!」

   足をすべらせて  ゛バキバキ!メキメキ!゛と大きな音をたて、樹の枝を折りながら落ちてしまった。


「!痛ッ……………ッ!!」


「何の音ですか?!」


   庭師の格好をした使用人が駆けてくる。
   リンゴの樹は枝が何本か折れ、実も半分落ちてボロボロになっていた。

「…ごめんなさい……!!」

「かまいません!大丈夫ですか、坊っちゃん!」

「フン、不甲斐ない。」


   義兄はそのままどこかへ行ってしまった。
庭師はボクを手当てしながら、申し訳無さそうに言った。

「大丈夫ですか?
   このような事になって、本当に申し訳ありません。 …でも、デニス様をどうか、恨まないでやって頂けますか。
   あの方も、お辛い立場なのです。」

   ボクは何とも言えない気持ちになった。

   体も心も痛い。

   この家で上手くやっていけるだろうか。


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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


【side  転生デニス】



 「デニス、アルフに館を案内してあげなさい。」

 「はい父上。アルフ、付いておいで。」

 「よろしくお願いします。」


    フフフフフ。

  このオレは転生デニス!!

  原作デニスとは違うのだよ!!


  大きなリンゴの樹の前へ来た。

「アルフ!美味しそうなリンゴだろう?
この優しい義兄様が、お前の為にひとつ採ってやろう!」

 「ありがとうございます。」

 「アルフは、アッカー家の主となる者だからな!
あの、てっぺんのリンゴをやろう!」

――アルフが内心では、リンゴを丸噛りしたく無いなぁ、でも善意だし、言えないなーなんて思っている事は知らず…―

   オレは樹に足を掛けた。
   この樹は何度か登ってリンゴをつまみ食いしたからな!慣れっこだぞ!


  さっさっと樹に登っていく。

「よっよっよっ!…とれた!」

  と、ニッコリ振り返った途端、


「危ないっ!!!」

゛ザザザザバキバキバリバリーー!!!゛

   オレは足をすべらせた!弘法も筆の過りか!
枝を折りながら落下する!

「うぁぁぁぁーーーー?!!」

  しかも!!

「あああああああっ!?」

  見てらんないよ!見せられないよ!

   運悪く枝に引っ掛かった服が引っ張られ、
ビリーー !と縦に真っ直ぐ破れた!


  あらわになる背中!!枝に残される布きれ!


  ズボンも引っ掛けたらしく、
   落下直前にツルン!と
  ズボンまで枝に奪われた!!


   樹の下には、
   落ちた真っ赤なリンゴに囲まれ、
   上半身は乱暴されたようなボロボロの布切れをまとい、
   下半身はパンツもさらわれたらしく
スッポンポンにブーツという、
   何ともアヤシイ状態で、ペタンと座り込んでいる義兄。


 「見るなよっ!見るなっ!」


   オレは恥ずかしくて半泣きになった。
   すると庭師の格好をした使用人が走って来た。

「何やってんですか!デニス様!!」

「うっうっ、ト…トム…!」

「ああもう!オイラの丹精たんせい込めたリンゴの樹がメチャクチャだ!!さっさとどっか行って下さい!!」

庭師はカンカンに怒っている。

「そ…そんな…原作と態度が違いすぎる…!
   酷いぞトム!!」

  そう言って怒って立ち上がったら、アレが丸見えでぶらんぶらんと揺れた!

  アルフがうめいた。

「バカ…バカだっ!………!!!」









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