いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

転生令息デニス

   オレの名はデニス＝アッカー伯爵令息18才。
アッカー家のひとり息子である。

  オレは今、父の前で項垂うなだれていた。

 「はぁ…またこんな成績をとってきたのか」

   はっきり言って、オレは頭が悪い。
父上から教わっている領地経営もちんぷんかんぷん。
   どうしてこんなにできないのか。
   自分で自分が情けない。

 「デニス、わかっていると思うが、最終学年までこの成績では、お前を跡継ぎには出来ない。
   近日養子をもらってくる。」

「 はい……わかりました。」



   そして義弟がやってきた。

「アルフといいます。15才です。
   よろしくお願いします。」

「はうあーーーーーー！！！」


   オレは義弟を見て白目をむいた。
なんてこった…！オレはどうやら物語の中に転生していたらしい。
   主人公である義弟にやきもちを焼いて、グレていじめる。
   そして主人公を倉庫に閉じ込める途中で、
倉庫の丸太が倒れてきて、押し潰されて亡くなる悪役じゃないか！


   イヤだ！死にたくないから弟を可愛いがるよ！！！



  ……ところが………。

「おい、バカ兄。返事しろよ。」

「…ハイ…。」

「チッ、グズ兄が…。」


   ……どうしてこうなった？！
   オレは、平穏な未来の為に義弟を可愛いがった。

「兄さんとオヤツにしないか？」

「兄さんとキャッチボールしようか！」

   義弟が潰れそうなほど抱きしめながら、頑張ってフレンドリーに接した！！

   なのに…

「オヤツは程々にした方がいいですよ。」

「ボクはキャッチボールよりも、勉強がしたいのですが。」

  そしてしまいに、

「兄さんは気楽でいいですね。」

   と、すんごく冷たい目で見られた…
   使用人達も、オレが跡継ぎで無くなったせいか、バカにしてるのが空気でわかるんだよ…。

   フツーは、「義弟なのに可愛いがってくれるなんて！！お義兄様大好きー！！」ってなつくところじゃないの？！
   完全にバカにされてます！

   てか、物語では、いじめられても健気な良い子だったのに！性格酷くない？？


「うっうっ、お義兄様は悲しいよ…」

「自分で〃お義兄様〃とか言うな、キモ。」

「デニス、勉強のジャマだから向こうへ行ってなさい。」

   父上まで…酷い…。


  そうして今日も、平穏？な1日は過ぎるのだ。