後宮の右筆妃

つくも茄子

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第一章

62.犯人2

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 元宝林の死から数日経っても宮殿から一歩も出ることを許されなかった。外出禁止はもちろんのこと、部屋から出ていいと言われるまでは寝所から出るなと言われたからだ。どうやら私の身に危険があるからという事で宮殿に留め置かれたようだ。確かに毒殺されそうになったのだから、そういう措置も仕方ないかもしれない。場所が姉上の宮殿である事が唯一の救いだった。

 事件の事は早く忘れた方がいいと皆が言うけれど、どうしても考えてしまう。

 アレは本当に元宝林の仕業だったのかと――

 もしそうだとしたなら、彼女が女官を殺した理由が分からない。
 公式発表は「国家試験問題の売買に関わる仲間割れ」となっていたけれど……。
 あの後、後宮に捜査のメスを入れられた結果、元宝林が試験問題の横流しに関与していたことが明るみに出た。彼女は賄賂を受け取る代わりに試験問題の流出に協力していたということだ。女官達が殺された動機もそこにあるらしい。試験問題は国の重要な機密情報。それを漏洩させれば罪に問われることになる。その見返りとして受け取った金銭は莫大なものに違いない。それこそ高官達の不正献金並み、下手をすればそれ以上の金額だろうと予測された。元宝林はそれを使って贅沢三昧していたらしい。

 それを聞いた他の妃達は大いに納得していた。
 何でも元宝林の実家は貧しく陛下の寵愛もここ数年なかったというのに金遣いの荒さが目立ち、妃達は眉をひそめていたという。しかも親兄弟の官位を金で買い取っていたという話だった。低い官位ならば大金を払えば手に入る。それだけではなく、実家に多額の援助をしていたともいうのだから……。幾ら皇子の生母とはいえ、寵愛を失っている元宝林にそこまで肩入れする貴族はいない。御機嫌伺にくる者すら極少数というのだから、彼女の金の出所に関しては誰もが首を傾げ疑問に思っていたらしい。

 それも裏があった訳で、後宮の者達は納得したらしい。
 でも……私は引っかかっていた。


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