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~朱雀の章~

第109話閑話 鳳凰side

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運悪く皇帝とその配下に見つかった。

深手を負わされて必死に逃げた。
いつの間にか海を越えていたようだ。海を越えた先も大陸と大差ない、と思っていた。まさか、あのようにを持った人間が存在するとは。近年稀に見る美しさだ。しかも為政者としても申し分ない才覚と人柄ときている。青年がこの国の『帝』となり名を「朱雀帝」と称するようになった頃、朱雀の弟が現れた。

あれには驚いた。

人が持つには実に禍々しい気配を有していた。一瞬、人に化けた妖怪かと思ったぞ。妖力に近いだった。しかも大妖怪が持つ程の量を身の内に取り込んでいる。

よくもまあ……人として生きていられるものだ。



「光、鳳凰様に失礼だよ」

「兄上!」

「私の治世に現れてくださったのだ。出来る限りの『おもてなし』をしなければ罰が当たるというものだよ」

「兄上!!」


やはり異常だ。
ゆっくりと移動し、朱雀の隣に座る。
朱雀の弟は光という名前だが、「光」というより「闇」といった方が正しい気がするぞ。神獣と分かっていて睨み付けてくる豪胆さは認めよう。朱雀にも懐いているようだしな。

ここ御所が新しい家になるのだ。
この不可思議な生き物を観察し見極める時間は十分ある。

近づけば肌で感じるほどの「気」だ。
そんな訳の分からない物を背負い込みながら平然としている人間に苦笑してしまう。この人間は自分が何者なのか分かっていない。


人として生涯を終えるか、それとも人以外のに進化するのか。


 
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