【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子

文字の大きさ
54 / 70

元宰相side

しおりを挟む

 やはり、自分の家の領地となると愛着はひとしおじゃ。退職金をせしめてきたのは間違いなかったのぉ。これほど役に立つとは思わんかった。これなら五年もせんうちに王都と同レベルの生活水準に持っていけるというものじゃ。
 元々、我が領の民間レベルは高い方じゃった。それでも王都には負ける。じゃが、上の者が本気で動けばあっという間に追いつくもの。最近では近隣の領主が我が領地の著しい発展を目の当たりにし、併合を申し込んできた。クックックッ。儂は国王ではないので併合は出来ん。そのような権利はないからのぉ。しかし、“抜け道”というものは存在しておる。

 領主が困窮のために領地を他の貴族に売り渡す――

 これは領民の生活を守るために設置された法でもある。
 そのため購入する側は高値で買わねばならず、金額も指定されている。売る側が不利にならないための措置じゃ。それも貴族が貴族に売る事しか許されない。裕福な庶民は金で爵位を買う。それは良い。ただ、成り上がりの中には質の悪い者もいる。そんな連中に詐欺同然で領地を奪われないための法でもあったが、まさか、自分自身がそれを利用する日がこようとは思わんかった。人生何が幸いするか分からん。


『本当に宜しいのですか? 我が領は湿地帯が多く土地がやせ細っています』

『毎年、川の氾濫が酷いのです。新しい事業の目途も立たない有り様で……』

『鹿や猪が田畑を荒らして……最近では領民の被害も相次いでおります』


 新たに手に入れた土地は領主達が言っていたように旨味がない土地じゃった。売りたくとも買い手が無かったのじゃろう。相場の倍の値段で購入すると伝えると逆に恐縮しておった。
 確かにデメリットばかりの土地じゃ。買い手もつかん。要は土地にあった開拓をしていけば良いだけの話。数年は赤字続きになるが長期戦で考えれば黒字になる。その結果が周りの地域にも良い影響を与えてくれるじゃろう。
 
 難しいのは土地ではない。
 領民の方がもっと厄介じゃ。食うに困って犯罪に手を染めた者達。家族を養うために山賊になった者までおる。兎に角、新しい土地の住民は荒くれ者が多い。まるで暴れ馬の如し……安心せい!儂は乗馬は得意中の得意じゃ!必ず飼いならしてくれようぞ!



 

しおりを挟む
感想 158

あなたにおすすめの小説

押し付けられた仕事は致しません。

章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。 書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。 『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

婚約者が私の妹と結婚したいと言い出したら、両親が快く応じた話

しがついつか
恋愛
「リーゼ、僕たちの婚約を解消しよう。僕はリーゼではなく、アルマを愛しているんだ」 「お姉様、ごめんなさい。でも私――私達は愛し合っているの」 父親達が友人であったため婚約を結んだリーゼ・マイヤーとダニエル・ミュラー。 ある日ダニエルに呼び出されたリーゼは、彼の口から婚約の解消と、彼女の妹のアルマと婚約を結び直すことを告げられた。 婚約者の交代は双方の両親から既に了承を得ているという。 両親も妹の味方なのだと暗い気持ちになったリーゼだったが…。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

お前を愛することはないと言われたので、姑をハニトラに引っ掛けて婚家を内側から崩壊させます

碧井 汐桜香
ファンタジー
「お前を愛することはない」 そんな夫と 「そうよ! あなたなんか息子にふさわしくない!」 そんな義母のいる伯爵家に嫁いだケリナ。 嫁を大切にしない?ならば、内部から崩壊させて見せましょう

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

処理中です...