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~第二章~
43.閑話1
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精霊界の奥深く、精霊王の住む城が存在している。
「精霊王、黒の妖精が……」
「また人間界を見ているのか?」
「はい……」
「まぁ、そのうち飽きるだろう」
「それを言い続けて十数年が経ちます」
「……」
何も言えない。
本来、妖精は悪戯好きの気分屋だ。
好き嫌いが異常に激しい。その分、興味を持っても長続きしない。夢中になっても一時の事だった。
それが、まさか……ここまで夢中になるとは……。
「そろそろ対策を立てるべきかと」
「うむ……」
「今は何も起きていませんが、これから先の事は分かりません」
「うむ……」
「人間達の間では妙な信仰が多発しております。例の子供がそれに巻き込まれないとも限りませんし、何よりも信仰の対象になる恐れもあります」
「うむ……」
「精霊王、ご決断を!」
「…………」
そう急かすな。私だって迷っているのだ。
例の子供。
彼は、今のところ特に問題を起こしている訳ではない。だが、あれだけの祝福を与えられた存在が人間の世界に留まっている。それが問題だった。
どうしたものか。
あの子供は理性的だ。驚くほどに。
それでも道を踏み外さないとは限らない。
いや、子供が問題なくとも周囲に与える影響は絶大だ。
現に、子供の高い能力に目を付けた人間の欲望は計り知れない。子供を利用しようと企む汚い人間達。実に問題だ。
ただ……子供を守ろうとする人間もいる。
欲深い人間だけではないようだ。
それでも子供をこちら側の世界に保護するのを躊躇するのは、黒の妖精の異様なまでの子供への執着心だ。あの時のようにベッタリになるのではないかとの懸念がある。
子供は十五歳になった。
こちら側に来させるにはギリギリの年齢だ。
稀に大人になっても来れる場合もある。例の子供はどうだろうか。見た限りでは精神年齢が高い。
はぁ……どうしたものか。
こればかりは私一人で決定する事はできない。
精霊王達の意見を聞くか。
彼らもこの件について気にしている様子だしな。
仕方がない。一度、招集しよう。
本当にどうしてこうなったのか。
「精霊王、黒の妖精が……」
「また人間界を見ているのか?」
「はい……」
「まぁ、そのうち飽きるだろう」
「それを言い続けて十数年が経ちます」
「……」
何も言えない。
本来、妖精は悪戯好きの気分屋だ。
好き嫌いが異常に激しい。その分、興味を持っても長続きしない。夢中になっても一時の事だった。
それが、まさか……ここまで夢中になるとは……。
「そろそろ対策を立てるべきかと」
「うむ……」
「今は何も起きていませんが、これから先の事は分かりません」
「うむ……」
「人間達の間では妙な信仰が多発しております。例の子供がそれに巻き込まれないとも限りませんし、何よりも信仰の対象になる恐れもあります」
「うむ……」
「精霊王、ご決断を!」
「…………」
そう急かすな。私だって迷っているのだ。
例の子供。
彼は、今のところ特に問題を起こしている訳ではない。だが、あれだけの祝福を与えられた存在が人間の世界に留まっている。それが問題だった。
どうしたものか。
あの子供は理性的だ。驚くほどに。
それでも道を踏み外さないとは限らない。
いや、子供が問題なくとも周囲に与える影響は絶大だ。
現に、子供の高い能力に目を付けた人間の欲望は計り知れない。子供を利用しようと企む汚い人間達。実に問題だ。
ただ……子供を守ろうとする人間もいる。
欲深い人間だけではないようだ。
それでも子供をこちら側の世界に保護するのを躊躇するのは、黒の妖精の異様なまでの子供への執着心だ。あの時のようにベッタリになるのではないかとの懸念がある。
子供は十五歳になった。
こちら側に来させるにはギリギリの年齢だ。
稀に大人になっても来れる場合もある。例の子供はどうだろうか。見た限りでは精神年齢が高い。
はぁ……どうしたものか。
こればかりは私一人で決定する事はできない。
精霊王達の意見を聞くか。
彼らもこの件について気にしている様子だしな。
仕方がない。一度、招集しよう。
本当にどうしてこうなったのか。
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