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花言葉
【 7 】 対談
しおりを挟むケンは、ふわっと立ち上がる。
潮風も、ふわりと立ち込める。
「 アンジュちゃん、行こう。」
彼が、手を繋ごうと、
アタシに腕を伸ばす 。
まだ 、アタシの気持ちは 、
何も定まっていない 。
だけど、
さっき 彼が言っていたように、
時間は 容赦なく過ぎていく… 。
彼の顔を見上げる 。
彼は 、
アタシ以上に、アタシを解ってる。
そんな気がする。
アタシは、爪が食い込むほどに、
握りしめていた拳を、
ゆっくりと 開いた 。
この手を掴んだら … 、
" 私 " は 、幸せになれるのかな…?
腕を伸ばす勇気が出ないアタシを、
彼は 黙って見つめながら、
待っていてくれる 。
「 …… うん 、行こう 。」
アタシは流木から立ち上がり 、
太ももや、お尻に付いた砂を払う。
彼の手は 、掴まなかった 。
黙々と、顔を後ろに向けたまま、
手のひらで砂を払っていると、
ケンが ゆっくり歩いて 、
アタシの後ろに回る 。
彼は、また しゃがみ、
アタシの足に付いた砂を、
黙って 一緒に手で払ってくれた。
ごめん … 、ごめんね 、ケン 。
アタシは、あなたに、
何もしてあげられない… 。
ケンの手が 、
アタシのお尻の砂ばかりを、
払っている事に気付く 。
ニコニコしながら、
ずっとお尻ばかりを触る彼 。
「 …… わざと、だろ?」
アタシは真顔で彼に聞く 。
「 なんか、
触りたくなっちゃった♪
戻って軽く食べたら、
俺が住んでる家に行こっか♪
部屋見せたいな♪」
単純に、お尻触ってたら、
ヤリたくなったんだろうな… 。
と、思ったけど、
それは、言わないであげた 。
アタシも 、
ケンの優しさに触れていたら 、
ケンと、
セックスしたくなってきたから。
愛する人がいても 、
誰とセックスするかは 、
また 、別モノなんだな… と、
改めて 確信した 。
ケンが今 、
アタシの体を欲しがっている気持ちと、
アタシが今 、
ケンの体を欲しがっている気持ちは、
交わる事は ない 。
人は 、そう簡単には…
変わらないのだから 。
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