26 / 31
第一部
幕間:ある夜の少年
しおりを挟む
side:元
アキが、帰ってこない。
こんなに雨が降っているのに。
「アキ帰ってこないのかな」
雨が降る日は、アキは一目散に僕のところに来てくれたのに。雷が怖いと言う僕に、ずっと寄り添ってくれてたのに。
「友達のところに泊まってるんだよ」
やさしく僕の背をさする健斗。
健斗と、アキが浮気していたのを見た時は本当にショックだった。ずっと信じてた2人が、まさか浮気するなんて思っていなかったから。
でもよく考えてみればアキは健斗の元彼だから、未練があったのかもしれない。それに僕の体が弱いせいで健斗にもいろんな我慢を強いているのかもしれない。
でも、生まれて初めてといってよい程に怒って、泣いて、それから健斗と2人で話し合った。浮気されたから気持ちが冷めるなんてことはなかった。
悲しくてたまらないのに離れたくない。
健斗と離れられないのに、健斗を悪者として嫌い続けるなんて勇気はなかった。アキを心の中で悪者にしたのは、アキならそれでも離れないでいてくれると思ったから。だって大事な兄弟だから。
そうすれば、時間が経てば僕も許せる日が来ると思う。アキとも、健斗とも仲直りして、全てが良くなると思った。
「アキは、逃げてばっかり」
思った以上に拗ねた声が出た。
浮気が見つかったすぐ後からアキは数回しかこの部屋に戻って来ていない。友達の部屋にいる、と噂されているのを聞いていた。
話し合いに来ようともしないアキに苛々してしまう。校則違反して、浮気もして、逃げてばかりで最低だ。
それなのに去年の1年間以外、ずっと一緒に生活して来たからかアキのことを心配する気持ちもある。
アキ、本当に僕がきらい?僕がきらいだから、健斗を奪おうとしたの?こんなに雨が降ってるのに僕の様子を伺いすらしないの?
悲しくて涙が溢れる。そんな様子を見た健斗は優しく僕を抱きしめてくれる。
「大丈夫だよ、元」
「健斗…うん」
そう、大丈夫だよ。
だってアキだもんね。兄弟喧嘩に慣れてないから、お互いにどう出ればいいのかわからないだけだよね。
アキは、大丈夫。
僕から離れたりしないから。
アキが、帰ってこない。
こんなに雨が降っているのに。
「アキ帰ってこないのかな」
雨が降る日は、アキは一目散に僕のところに来てくれたのに。雷が怖いと言う僕に、ずっと寄り添ってくれてたのに。
「友達のところに泊まってるんだよ」
やさしく僕の背をさする健斗。
健斗と、アキが浮気していたのを見た時は本当にショックだった。ずっと信じてた2人が、まさか浮気するなんて思っていなかったから。
でもよく考えてみればアキは健斗の元彼だから、未練があったのかもしれない。それに僕の体が弱いせいで健斗にもいろんな我慢を強いているのかもしれない。
でも、生まれて初めてといってよい程に怒って、泣いて、それから健斗と2人で話し合った。浮気されたから気持ちが冷めるなんてことはなかった。
悲しくてたまらないのに離れたくない。
健斗と離れられないのに、健斗を悪者として嫌い続けるなんて勇気はなかった。アキを心の中で悪者にしたのは、アキならそれでも離れないでいてくれると思ったから。だって大事な兄弟だから。
そうすれば、時間が経てば僕も許せる日が来ると思う。アキとも、健斗とも仲直りして、全てが良くなると思った。
「アキは、逃げてばっかり」
思った以上に拗ねた声が出た。
浮気が見つかったすぐ後からアキは数回しかこの部屋に戻って来ていない。友達の部屋にいる、と噂されているのを聞いていた。
話し合いに来ようともしないアキに苛々してしまう。校則違反して、浮気もして、逃げてばかりで最低だ。
それなのに去年の1年間以外、ずっと一緒に生活して来たからかアキのことを心配する気持ちもある。
アキ、本当に僕がきらい?僕がきらいだから、健斗を奪おうとしたの?こんなに雨が降ってるのに僕の様子を伺いすらしないの?
悲しくて涙が溢れる。そんな様子を見た健斗は優しく僕を抱きしめてくれる。
「大丈夫だよ、元」
「健斗…うん」
そう、大丈夫だよ。
だってアキだもんね。兄弟喧嘩に慣れてないから、お互いにどう出ればいいのかわからないだけだよね。
アキは、大丈夫。
僕から離れたりしないから。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。


王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。


嫌われ者の僕
みるきぃ
BL
学園イチの嫌われ者で、イジメにあっている佐藤あおい。気が弱くてネガティブな性格な上、容姿は瓶底眼鏡で地味。しかし本当の素顔は、幼なじみで人気者の新條ゆうが知っていて誰にも見せつけないようにしていた。学園生活で、あおいの健気な優しさに皆、惹かれていき…⁈学園イチの嫌われ者が総愛される話。嫌われからの愛されです。ヤンデレ注意。
※他サイトで書いていたものを修正してこちらで書いてます。改行多めで読みにくいかもです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる