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49話・条件

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 フィア婆様が持っているアイテムを貸して貰えるように直接頼むと、貸してくれるとの事だが、その前に、そのアイテムを使う理由を聞かれたので、簡単に説明する。

「…てな感じで、声が漏れないように、そのアイテムを貸して欲しいんです」

 説明し終えると、

「なる程ねぇ… 理由は分かったよ。まさか、そんな面し… ゴホンッ、聞いた事のないスキルがあるなんて、長生きはするもんだよ」

 ニヤリと笑いながらそう言っているが、目の奥は、獲物を狙う獣のようにギラリとしていた。
 何となく面倒な事になりそうだなと思いつつ、そこに触れないように、再度貸して貰えるか尋ねてみると、

「さっきも言ったけど、貸すのは構わないよ。ただ、貸す変わりに2つ条件をつけさせて貰うよ」

「条件ですか… いったい何ですか?」

「まず1つ目は、それをやるのは、私の目の前でしておくれ」

「俺は構いませんが、ラスはどうだ?」

「私も、大丈夫です」

「ラスもこう言ってますし、1つ目の条件は大丈夫です。2つ目は、何ですか?」

「なぁに、簡単さ。ラスにやる予定のスキルを覚える奴を私にもやってくれないかい?」

 やっぱり来たかと思いながら、少しジト目でフィア婆様をみる。

「ほ… ほら、私は一応ここの管理者だからね。院で暮らしている子が何かをする前に、危険がないか試す義務があるんたよ」

 少し焦りながら、取って付けたような言い訳をしてくる。
 さて、どうしたものかと考えている間に、近くにいたシェーンに小声で援護してくれと頼み出す始末。
 まシェーンも少し呆れながら、俺の答えを待つよう伝えている。

「はぁ… フィア婆様はこう言ってくれているけど、ラスは、フィア婆様の後でもいいか?」

「はい。私なら大丈夫です」

「そうか… これをするとかなりの痛みを伴いますが、フィア婆様はいいんですか?」

 一応再度、痛みがある事を伝えるが、

「あぁ、構わないからやっておくれ」

 全く意味がなかった。
 これを使って、特に俺が不利益をこうむる訳ではないので、やってあげる事にした。

「…分かりました。なら、フィア婆様にもやりますから、まずは、そのアイテムを貸して下さい」

「そうこないとね!! アイテムは、私の執務室に保管してあるよ。ほれ、セウン。早く行こうじゃないか」

 そう言いながら、バシバシと俺の背中を叩いてくる、フィア婆様。

「はいはい、分かりました」

 俺とラス、シェーン、フィア婆様の4人で、そのアイテムの置いてあるフィア婆様の執務室へとむかった。
 因みに、シエルとマオは、子供たちと寝ている事だったので、放置しておく。
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