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閑話・マレン(過去編) 2

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 私は、部屋に戻り、布団にまた寝転がり、再度視覚の共有する為、集中する。
 少し時間がかかったが、なんとか共有できた。
 共有した視界は、まだ少し揺れている。
 どうやら、まだお父さんは、歩いているみたいだ。

「でも、どこにむかっているんだろ…」

 むかっている場所が気になったので、ばれない範囲で、周りを見渡すように指示する。
 しがみついた状態で、更に視線も低く、少し見えにくかったが、お父さんが今いる、大まかな現在地がおぼろげに分かった。
 だけど、ただでさえ視界が揺れていたのに、無理に辺りを確認させたせいで、先ほどよりも、気持ち悪くなってくるが、我慢したまま視覚の共有を続けた。
 しばらく歩いた所で、揺れが止まる。
 
「…どこかについたのかな?」

 私は、すぐその場から下りて、男(お父さん)を見上げるように指示する。
 すぐに、その場から下り、視線を上にやらせると、お父さんと見知らぬ、女の人が話していた。

「誰だろ、この女の人? お友達かな?」

 話している内容まで理解できないが、何だか親しげに見える。
 お父さんは、そのまま女の人と家の中へと入ろうとしたので、私も、慌てて家の中へと入るように指示する。
 なんとかスレスレで、家の中に入る事が出来た。

「危なかった… はっ!! お父さんは?」

 目の前に、足下があったので、そのまま見上げさせたら、お父さんと女の人と唇同士をあわせている姿があった。その光景に、少し驚いていると、突然女の人がこちらを指差してきた。
 お父さんも、振り返り、逃げ出す前に、足を振り下ろした所で、視界の共有が途切れた。





 俺は今、妻に内緒でとある女性に会いに来ていた。
 族に言う、不倫と言うやつだ。
 彼女とは、仕事先で出会い、妻の妊娠を気に関係をもってしまった。かれこれ、8年くらいになる。
 妻に不満がある訳ではないが、ずるずると関係が続いている。
 彼女の家に到着し、扉をノックすると、彼女が出てくる。

「お待たせ。」

「いらっしゃい、待ってたわ。今日は、何て言って出てきたの?」

「いつも通り、仕事って言って出てきたよ。」

「そう… それじゃあ、早速中へ入って。」

「あぁ。入らせて貰うよ。」

 俺は、中へと入る。
 扉が閉まるのも待たず、彼女が唇を奪ってきたので、流れに任せる。
 すると、

「きゃー!! そこに、蜘蛛がいる!!」

 彼女が指差す方を見てみると、小さな蜘蛛がいた。

「早く殺してちょうだい!!」

「分かった。ちょっと、待ってて。」

 俺は、小さな蜘蛛に近づき、足を振り下ろし、その命をたつ。
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