婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人

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第6章 太陽の聖女と星の聖女

第272話 今後の相談

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 日が沈み、コリンやロレッタさんと合流すると、まずは食事を……という事で、この街にある食堂へ。
 ちなみに、イナリは既に何かのお肉を狩ってきたみたいだけど、ここで出すのはよろしくないと理解してくれているみたい。
 後で、こっそり調理してあげようと思う。

「えっと、コリンとロレッタさんに確認なんだけど、ここで本格的に復興のお手伝いをしようかなって思ったんだけど……どうかな?」
「僕は構わないよー! ただ、ビアンカさんに相談しても良い気がするけど」

 確かに……この街へ入る時の話では、旧聖都に人が居る事を国が認識していないって言っていたから、ビアンカさんに直接話が出来る私たちが言ってあげると、いろいろと話がややこしくない気がする。
 コリンの尤もな意見で、現聖都に戻るべきかと考えていると、暫く何か考えていたロレッタさんが口を開く。

「私も……コリンさんの意見に賛成です。個人で出来る事には限界がありますし、何より後で揉める原因になってしまうと思います」

 ロレッタさんの話を聞くと、仮にここに居る人たちだけで復興が完了した場合、作業をした人としてない人、復興作業をしたかったけど、国の避難しろという指示にきちんと従った人……と、確実に亀裂が入るだろうという話だった。
 コリンの話もロレッタさんの話も、実に的確過ぎてぐうの音も出ないので、明日の朝から聖都へ戻る事に。

「ただ……そうは言っても、私はトリスタン王子の動向が気になるんです」
「確かに……もう一度占ってみる?」
「そう……ですね。その上で、問題無さそうでしたら、微力ながら復興の支援をさせていただければと」

 という訳で、ロレッタさんの占いの結果次第という事になり、星が瞬くのを待つ事に。
 その間に、私たちが使わせてもらっている空き家で、イナリの持ってきた謎のお肉を調理する。
 見た感じは……豚肉っぽいかな?
 シンプルに焼いて、塩コショウで味付けして、味見……は止めておこう。
 また変な魔法が使えるようになったりしてしまいそうだし。

「イナリー、お待たせー」
「おぉ、流石はアニエスだな。早速いただこう」
「お姉ちゃん。僕も少し欲しいなー」

 結構な量があるけど、イナリはペロッと平らげ、コリンの言葉を予想していたので、少し残していた分を出してあげると、美味しそうに食べる。
 一応、ロレッタさんにも聞いてみたけど、流石に夕食の後にお肉料理は重いからと、辞退。
 うん。この二人が食べ過ぎなだけで、それが普通だから気にしないでね。
 ただ、これがお肉料理じゃなくて、デザートだったら私もロレッタさんも食べていたかもしれないけど。
 ……甘いものは別腹って言うしね。
 それから、少しして月が高く登り、夜空に星が輝き始める。

「これだけ星々が輝いていれば、十分です。では……参ります」

 外に出てロレッタさんが祈りを捧げると、いつも占いの時に見ている通り、星が降りてきているかのように周囲が輝きだす。
 幻想的な光景に見惚れていると、ロレッタさんが顔を上げる。

「トリスタン王子は、ここから更に南西へ行ったところに居るようです」
「じゃあ、前にここを通っただけ……と言っていたのは本当なのね」
「そのようです」

 懸念していたトリスタン王子も、特に気にしなくて良さそうなので、改めてビアンカさんの所へ戻ろう……って、何故かロレッタさんの表情が硬い気がする。

「ロレッタさん。何か気になる事でも?」
「……はい。アニエスさん。その……前にいただいた、魔力を増幅させるポーションをいただけないでしょうか?」
「魔力を増幅……?」
「はい。あのポーションを飲んだ状態であれば、また違う答えが聞けるかと」

 ロレッタさんが真剣な表情で私を見つめてくるけど、魔力を増幅って……あっ! 神水の事を、そう言って誤魔化したんだった!
 ひとまず断る理由もないので、カバンの中から出した体で、神水をロレッタさんに差し出した。
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