精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

文字の大きさ
36 / 79
第2章 精霊と学校へ通う元聖女

挿話8 新米メイドユフィ

しおりを挟む
「リディア様の護衛を務めさせていただいている、クロードと申します。以後、よろしくお願いします」

 ど、どういう事なの!?
 こんなイケメンが、バカ女の護衛ですって!?
 長身で、痩せているのに筋肉もしっかりある細マッチョ。綺麗な金髪はサラサラしているて、優しそうな顔をしているけれど、瞳から意志の強さが伺える。
 なにこれ!? 王族であるお兄様たちに引けを取らない気品もあるし、超絶イケメンじゃない!
 ふふ……これはチャンス。
 バカ女をダシにして、この男性とお近づきになるのよ。

「しかし、ソフィさんの仰る通り、あの何でも商売にしてしまう文化は独特でしたね」

 む……クロードは私の話に応えているけれど、視線が常にバカ女へ向けられている。
 一方でバカ女は、クロードの視線に気付いていないのか、それとも私に余裕を見せつけたいのか、ずっと馬車の窓から外を見ていた。
 これは、取れるものなら、取ってみれば? という事だろうか。
 ふんっ! だったら、この護衛の男をバカ女から奪って、その余裕の態度を絶対に後悔させてやるんだから。

「ソフィさん、リディア様のお世話をよろしくお願いいたします」

 クロードが最後までバカ女の事を見つめながら、帰って行った。
 まったく……すぐ傍に綺麗で可憐な少女が居るというのに。
 一先ず、バカ女の家に入ると、

「私の部屋は、ここです。ここで色々と作業をするので、この部屋は掃除不要というか、入らないでください」

 一階にある、出入り口のすぐ傍の一部屋は立ち入り禁止だと言われた。
 つまり、あの部屋にバカ女の秘密があるという事ね。
 ふふ……夜にバカ女が寝た後、漁りまくってやろう。
 聖女の力だとかって偽っていたバカ女が、アメーニア王国から精霊石を盗んで隠し持っていたりしたら最高なんだけど。
 それを証拠にバカ女を脅して、聖女だって偽る方法を聞き出し、私がこの国で新たな聖女になるの。
 この国は山の中にあるから、立地的にはイマイチだけど、メイドの振りをするよりは良さそうだしね。

「しかし……あのバカ女は一体何をしているのかしら」

 私が二階の部屋で一休みした後、リビングへ移動し、キッチンにあったフルーツを片手に、そこら辺にあった冒険譚を勝手に読んでいるんだけど、バカ女は一度も部屋から出てきていない。
 既に日が落ちて外が暗くなっているし……そうだ。食事をお持ちしました……的な感じで部屋に入れば良いんだ。
 流石に初日から入るなと言われた部屋に入るのはマズいが、これなら問題ないはずよ。
 私だって夕食を食べたいし、キッチンには食材が大量にあったから、何でも作れるわね。
 じゃあ、何かを作って……

「え? 私が作るの!? ……どうやって?」

 良く考えたら、料理なんて一度もした事がないわ。
 だけど、今まで様々な料理をこの目で見て、この舌で味わってきた。

「と、とりあえず、パンに肉屋や野菜を挟めば……痛っ!」

 初めて調理用ナイフを手にしたため、少し指を切ってしまって血が少し流れ出る。

「ど、どうして私がこんな事を……くっ! あのバカ女めっ!」

 苛立ちでそこら中の皿を投げかけたけど、何とか気持ちを抑える。
 この生活も、あのバカ女の弱みを握れば終わるわ。
 少しの我慢よ。
 何度か指を怪我しながら、とりあえず料理っぽい物を用意したので、バカ女の部屋へ突撃し、

「失礼します。お食事を……? って、鍵が掛かってる!?」
「あ、後で食べるので、リビングに置いておいてください」

 へ、部屋に入れないっ!?
 こ、この努力は何だったのよっ!
 ムカついたので、バカ女に作った料理を自分で食べて……

「……ま、不味い。す、少し修行が必要ね」

 鶏肉は生で食べる物では無いと学んだ。
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

聖獣使い唯一の末裔である私は追放されたので、命の恩人の牧場に尽力します。~お願いですから帰ってきてください?はて?~

雪丸
恋愛
【あらすじ】 聖獣使い唯一の末裔としてキルベキア王国に従事していた主人公”アメリア・オルコット”は、聖獣に関する重大な事実を黙っていた裏切り者として国外追放と婚約破棄を言い渡された。 追放されたアメリアは、キルベキア王国と隣の大国ラルヴァクナ王国の間にある森を彷徨い、一度は死を覚悟した。 そんな中、ブランディという牧場経営者一家に拾われ、人の温かさに触れて、彼らのために尽力することを心の底から誓う。 「もう恋愛はいいや。私はブランディ牧場に骨を埋めるって決めたんだ。」 「羊もふもふ!猫吸いうはうは!楽しい!楽しい!」 「え?この国の王子なんて聞いてないです…。」 命の恩人の牧場に尽力すると決めた、アメリアの第二の人生の行く末はいかに? ◇◇◇ 小説家になろう、カクヨムでも連載しています。 カクヨムにて先行公開中(敬称略)

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。 全123話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!

チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。 お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。

子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!

屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。 そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。 そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。 ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。 突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。 リクハルド様に似ても似つかない子供。 そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

処理中です...