精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

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第2章 精霊と学校へ通う元聖女

第28話 アクセサリー量産開始

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『リディアー。どうして、あの元王女をメイドとして受け入れたのさー。ここは、あの女を笑い飛ばす所だよー? ざまぁ!! って』
(でも、王女様が別の国でメイドとして働いているっていう事は、それなりの罰を受けたって事だと思うんだー)
『甘いっ! 甘いよっ! ウチには分かるっ! あの女は、絶対にそんな殊勝な事は考えていなくて、偽名を使って玉の輿とかを狙っていると思うんだよねー』
(えっ!? それって、どういう事!?)
『ウチが精霊たちから聞いた話だと、この国のとある騎士隊長は家柄も良く、男前で、珍しく女慣れしていない。そこへ、ぐいぐい攻める女が出てきたら……』
(ま、待って、エミリー。その騎士隊長さんって誰の事を言っているの!? もしかして、クロードさん!?)
『さー、誰の事かなー? ……まぁそれはともかくとして、簡単に気を許しちゃいけないんだからね!?』

 流石にユフィさんも変な事はしないだろうし、そもそも王女様ではなくなっているので、出来ないと思う。
 だから、エミリーが考え過ぎだと思うんだ。

「では、ユ……ソフィさん。これから、よろしくお願い致しますね」
「えぇ。リディア……さん。よろしくお願いします」

 ユフィさんがペコリと優雅にお辞儀をする。
 なんだかんだ言っても、元王女様なのよね。
 私にはこういう気品ある動作が出来ないから、ちょっと羨ましい。
 そんな事を考えていると、

「リディア様。では、ご自宅までお送りいたします。えっと、ソフィさん……でしたっけ。リディア様の護衛を務めさせていただいている、クロードと申します。以後、よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ。私はソフィ=アメー……アメールです。リディアさんの身の回りのお世話を精いっぱい務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします」
「えぇ、お願いいたします。では、ソフィさんも馬車へ乗ってください。リディア様のご自宅へお送りいたしますので」

 クロードさんが来て、私とユフィさんを馬車へ。
 私の正面にクロードさんが座り、私の横にユフィさんが座っているのだが、

「まぁ、クロードさんって、ウラーイーツ連合国へ行った事があるんですね? あの国は独特の文化で慣れるまで大変ですよね」
「いえ、行った事があると言っても任務で訪れただけですが。しかし、ソフィさんの仰る通り、あの何でも商売にしてしまう文化は独特でしたね。まさか、あんな物を売り物にしているとは思いませんでした」

 さっきからずっと、ユフィさんがクロードさんと喋っている。
 しかも、私の知らない国の話なので、話に参加する事も出来ない。

『ほらー! だから言ったのにぃー』
(い、今はクロードさんが初めて来たユフィさんに、街を案内してあげているのよ。私の時もそうだったじゃない)
『いやいやいや、この女……元王女だけあって、いろんな国に行った事があるみたいだし、それなりの話術も持っているから、本当にうかうかしてられないよー?』
(だ、大丈夫だもん。こ、これから……これから私も頑張るんだから)
『まぁとにかく……冗談抜きで気を付けるんだよ。これからは、家の中でも防御系の力を宿したアクセサリーを身につけておいてね』

 流石にそれはやり過ぎだと思うんだけど、今の状況が状況だけに、何も言い返せない。
 そうこうしているうちに自宅へ到着し、

「それではリディア様。また翌朝にお迎えに参りますね」
「はい。クロードさん、ありがとうございます」
「いえ、お気になさらず。ソフィさん、リディア様のお世話をよろしくお願いいたします」

 そう言って、クロードさんが王宮へと戻って行く。

「じゃあ、ソフィさん。入ってください」
「はいはーい」
「私の部屋は、ここです。ここで色々と作業をするので、この部屋は掃除不要というか、入らないでください。それ以外の部屋は好きに使っていただいて構いませんので」
「え? 見た感じ、結構な部屋数があるけど、二階の部屋とか全部使って良いの?」
「はい、どうぞ」
「……分かったわ。じゃあ、一先ずそういう事で」

 部屋の説明を終えると、ユフィさんがすぐさま二階へ姿を消す。

『あー、とりあえずサボりたいだけ……なのかな? まだ警戒を解いちゃダメだからね?』
(はいはい)

 心配性なエミリーはさておき、私は早速アクセサリー作りを始める事にした。
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